表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/168

#099 : 竜王の矜持☆正義の一閃


◆ 王城・城門前広場


──あっ。


サクラ「……あー、やだやだ。正義って書いて“めんどくさい”って読むやつだ、あれ」


私の視界の端に、白銀の鎧が見えた。

あの正義の女──ユリシア…ユリ様だ。


そう思ったと同時に反射的に、近くにいた“手頃な辰夫”を掴んでいた。


むんず!


辰夫「えっ?」


サクラ「──辰夫ロケットォゥッ!!!」


辰夫「ええええええええええええッッ!?」


エスト『ひぃッ!?』(すたたたたー!)

小娘は飛んでいく辰夫を見て逃げた。

次はエストミサイルだと悟ったらしい。賢い。かわいい。


その一方。

辰夫(人型)がキリモミ回転で、鋼鉄の弾丸のようにユリシアへと飛んでいく。


辰夫「いいいいいいッ!!」


ガァァァァン!!

火花が散った。


ユリシアは即座に大剣を構えたけど、その衝撃で足元の石畳が砕けてひび割れた。


ユリ様「……ふん。不意打ちとは姑息な。」


サクラ「辰夫。その正義バカはお前に任せた」

私は軽く顎でユリ様を指す。


辰夫「いきなりロケットするから、文句のひとつも言いたかったところですが……」


(沈黙)


辰夫「ハハッ!!!……それなら溜飲が下がりますなぁ!」


辰夫は軽やかに笑って、すっと地面に降り立った。


彼は軍服の上着を脱ぎ捨て、ゆっくりと前に出た。

竜ではなく、人の姿のままで。


辰夫「この人型で戦うのは、実に──数百年ぶり」


サクラ「おいおい、気合入りすぎでしょ。殺すなよ?面倒だから」


エスト『ええ〜!?辰夫いいなぁ〜戦いたい〜!お姉ちゃん〜私も〜!』


サクラ「だーめ」


エスト『んもー!』

ほっぺた膨らませて抗議してくる小娘が、まあ、かわいい。


(小娘は怖い思いや痛い思いはしなくていいのよ。そういうのは私と主に辰夫と辰美の役目)


──激突、開始。


辰夫「竜爪ッ!!」

ユリ様「──ッ遅い!」


風を裂く拳、鉄を打ち抜く刃。

辰夫の拳を、ユリシアは紙一重でかわした。


ユリ様「聖撃・穿剣!!」

銀の一閃が火花を散らし、辰夫の肩をかすめる。


ガッ!!

辰夫の反撃の拳が地面を抉り、石片が宙を舞った。


土煙の中、ふたりはすでに跳び退き、距離を取っていた。


──静寂。


──天の声──

*本作はコメディ小説です。

*ただいま、バトル要素が濃すぎてジャンルを一時的に見失っております。

*作者が一番ビックリしてます。

*こういうのも書けるんだ…私…?

*私…成長している…?って言ってます。

*作者が「ジャンプの掲載順、今どこだっけ?」みたいな顔してます。

*作者もバカです。もうしばらくお待ちください。

───────


辰夫「……強いな。」

ユリ様「そちらも、恐ろしい反応速度ですな」

二人ともニヤリと笑った。


息を切らす気配もない。


拳に宿る意志。剣に宿る魔力。

周囲の空間が軋み始めていた。


サクラ「……え、ちょっと待って」

私は眉をしかめ、ぽつりと漏らす。


サクラ「あれ?ヘタレ辰夫だよね?……なんか、空気読んでなくね?」


エスト『ねー!?お姉ちゃんだったら、戦い始めて3秒でオチつけて笑い取ってるよ!?』


小娘がツッコミを入れてくる。やるじゃん。


──目の前では地面が爆砕し、戦士たちが飛び交っていた。


辰夫「竜爪、連弾──壱、弐、参!!」


辰夫の拳が空間を断ち切るように繰り出される。

それをユリシアは最小限の動きで回避、防御。


──そして。


地面が砕け、門柱が崩れ、城壁が揺れた。


ユリ様「この距離なら──」

ユリシアが剣を構えた瞬間、剣身に電光が走る。


辰夫「雷撃剣・天雷一閃!!」

バリバリバリバリッ!!


雷鳴のごとき斬撃が、辰夫へと駆け抜ける。


辰夫「おお!?」

辰夫の左腕に、より濃密な竜鱗が浮かび上がった。


ガガガガガッ!!

雷撃が竜鱗に弾かれ、四方八方に散っていく。

石畳に着弾した雷が、次々と爆発した。


ユリ様「…!?……何者だ貴様……雷をも弾くとは」


辰夫「はっはっは!結構痺れましたぞ」

辰夫が苦笑しながら左腕を振る。


ユリ様「しかし──まだまだ!」

ユリシアが剣を両手で握り直す。


ユリ様「雷神招来・連続雷撃!!」


ドドドドド!! バリバリバリ!!


──天から、無数の雷が降り注いだ。


サクラ「うわあああああ!?」

エスト『きゃあああああ!?』


サクラ「おい!こっちまで飛んできてるぞ!?」

私と小娘の目の前に雷が落ちた。反射的にダッシュした。マジ危ねぇ。


その中で──辰夫は冷静に構えを取っていた。


辰夫「竜鱗!!」

左半身全体が、鎧のような竜鱗で覆われた。


バリバリガガガガガッ!!

雷撃を、竜鱗が次々と弾いていく。

まるで雷雨の中で傘を差してるかのような余裕っぷり。


辰夫「行くぞッ!!人間ッ!!」

ユリ様「来いッ!!」


激突。


雷鳴のような衝撃音。視界が白く染まる。


──そして、土煙を裂いて、ふたりは同時に飛び出した。


ユリシアの剣が鋭く袈裟斬りに閃く。

辰夫の竜鱗の腕が、それを受け止める。


ギィィィィン!!

火花と雷光が飛び散った。


──その時。


辰夫「そろそろ──温めていた“奥の手”を出すぞ?」

辰夫が口元だけで笑った。


辰夫「おおぉぉぉぉおおお!!」

辰夫が叫ぶと同時に全身に鱗が走る。

そして左半身が、竜へと変貌。


──ドラゴン・ハーフモード。


サクラ「ダサッ!左半分ドラゴンで右半分人型!」

エスト『上半身とか下半身じゃなくて左右が半分なんだ…』

私と小娘はヤジを飛ばす。


ユリ様「……なるほど、本体はドラゴンか…ふふ…恐ろしいな…」


辰夫「そうだ。本来の姿だと、城が壊れるからな──」


サクラ&エスト『「アイツらあの姿にツッコまないの?」』

私と小娘がツッコむ。


ユリ様「いくぞ!はぁああああああ!」

辰夫「おう!うぉおおおおおおお!」

盛り上がるユリ様と辰夫。


完全スルーされる私たち。


サクラ「無視…?…私たち…目立ってなくね?」

エスト『そうだよね……』


私が不満を漏らすと小娘も不安げに答える。


──もはや、笑い声すら入る余地がなかった。

その直後 ──。


ユリ様「雷鳴剣・最終奥義──神雷断絶剣!!」


サクラ「え?ちょっと待って!?名前が長い!!」

エスト『全部漢字なんて覚えられないよ…』


よし、魔王軍は漢字だけの長い技名を付けたら死刑というルールを追加しよう。


ユリシアの剣が、これまでとは桁違いの雷撃を迸らせた。


ピカァァァァァァッ!!ドゴォォォォン!!

空が真っ白に染まり、轟音が王都全体を揺らした。


辰夫「おおおおお!?」

辰夫の竜鱗が、雷の奔流を必死に受け止めていた。


バリバリバリバリッ!ガガガガガッ!


──さすがの竜鱗も、限界に近づいていた。


辰夫「くっ……これは……」


ユリ様「はああああッ!!」


ユリシアの渾身の一撃。

辰夫の竜鱗防御。


──ドゴォォォォォォン!!


衝撃が王都の空気を震わせる。



(つづく)


作者「あれ!?これジャンプ連載してるの!?(混乱)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ