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ある会話
「その手紙の内容が内容だったので…。」
御子神はAliceと云うCafeで、そう云った会話を聞いた。このAliceと云うCafeは落ち着いた雰囲気があるので御子神はよく訪れている。御子神はカウンターの端に座っており、その会話はどうやら御子神の後方にあるテーブル席から聞こえてきている様だった。
「でもさ…。悪巫山戯にしろ、悪戯にしろ、それは度が過ぎているだろ?」
どうやら聞こえてくる声から想像するに、数人の若い男女が、とある手紙について話し込んでいる様子だった。御子神は読んでいた小説に栞を挟み込み、少しその会話を聞く事にした。
「それはそうなんだけどさ。もし…。もしもだよ。その手紙を書いたのが当の本人なのだとしたら…。」
「そんな事は有り得ないだろ?」
「うん…。そんな筈は無いよな…。でも…。この筆跡は…。」
御子神は脳内で断片的な言葉を物語として組み立てていく。今までの会話から形作ったストーリーは…。まるで小説の様な内容になっていた。
【死者から手紙が届いた。】のだそうだ…。