第1章 輪廻転生魔法
さて、昨日に引き続き白雪と禁断のアダム第2回目の投稿です!初めましての方は初めまして!八御門 ツカサです。どうか楽しんでいってください!
――ジュデイン皇国――
この大陸の北部を占める大国。
皇都ジュデインの皇宮に1人の皇子が誕生した。
名はアダム・ヴォルフガング・ジュデイン。
皇位継承権第13位の末っ子だ。
(さて、今回は何年後の世界かな。今回も無事転生に成功したようでなにより)
産まれたばかりのアダムは自分の四肢と意識が健在であることを確認して安堵した。
最初の転生では意識の覚醒に時間を要したために大幅なタイムロスを呈した。まさか6歳まで前世の意識が覚醒しないとは。
そもそも転生魔法は精神魔法、空間魔法、時間魔法、そして治癒魔法の複合魔法であり、非常に高度な魔法故に扱いが難しい。それに加えて輪廻転生魔法は転生を繰り返すため、永続的に魂を保持し、誕生し続けられるようにしなくてはならない。
最初に行使した輪廻転生魔法では自分の存在を定義する魂そのものに魔法式を鎖状に刻みつけていた。
しかし、これだけでは十分な効果は発揮されない。
年老いた身体では魔法式を構築できても実行するための器に限界がある。過剰な負荷に身体が耐え切れない可能性が少なからずあったために、敢えて魔法式の工程を一部省いて行使した。
とはいえ、せいぜい2~3年で覚醒すると思ったが、いやはや老化とは怖いものだと当時は笑ってしまった。
それからしばらくして輪廻転生魔法を完全な形に再構築するための準備を進めた。
再構築と言っても、輪廻転生魔法そのものは発動中なので一から魔法理論を構築して発動し直すことはしない。
そうしてしまうと、発動中のものに更に乗算される形となってしまい、余分な負荷がかかる上に望んだ効果を得られない。そればかりか、魔法式に齟齬が発生する可能性や確率が高まり、魔法そのものが破綻してしまうといったことも否めない。
これを回避する意味も含め、正しい魔法理論はすでに発動中の魔法を乱さないように、魔法式の延長線上に継続して書き足すといった形をとった。
幸いこうすることを見越して最初の輪廻転生魔法は続きを書き加えられるような形に構築していた。保険は大事だ。
そして、若いうちに完全形の輪廻転生魔法を再構築した。自分の魂そのものに刻みつけている魔法式はそのままに、それとあわせて世界に、理に、魔法式を刻みつけることによって、内側の「魂」と外側の「世界」双方向から魔法を維持、観測、発動することで輪廻転生魔法は完成する。
その甲斐あって、次回からの転生では誕生の瞬間に意識を覚醒させることに成功していた。
白雪と禁断のアダム第2話いかがでしたでしょうか。前回とは違い長文での投稿でした。この物語の世界の魔法について掘り下げました!
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