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俺、異世界召喚される-1

 俺の名前は沖田雄介おきた ゆうすけ、十六歳。

 ごく普通の高校生だ。

 そんな俺が代わり映えのしない学校の帰り道に、何か面白いことでもないだろうかと友達と話していた時の事である。


『つまり、今は“暇”ってことですね!』

「そうだな」


 俺は謎の少女の声に、深々と頷きながら同意したのだが、すぐに今のは誰だと周りを見回した。

 だがこの周辺には友達以外に人の気配はない。

 ここは住宅街の一角、アスファルトに生えた電柱……隠れられるような場所はそれくらいしかない。


 だがそこに見当たらなければ、生け垣の中といった話になるが……それ以上、声が聞こえることはなかった。

 いぶかしむ俺に友達たちがどうしたと聞いてくるので、今さっきの出来事を話して、なんだか謎の声に導かれて異世界に転移でもしてしまいそうだな、などと友達と冗談を言いながら俺は何事もなく帰宅して、ベッドに横になろうとして……。


『ふむ、これで目撃者は一人もいなくなりましたね~』

「……さっきの女の子の声がする。って、足元に光の魔法陣が! うわぁあああああああ」


 そこで俺は、謎の声、しかも俺が一人になるのを待っていたらしい少女の声が響くと同時に、異世界にでも連れていかれそうな光の魔法陣が俺の足元に浮かんで、眩しい! と目をつむった。

 数秒後。

 光がやむと同時に俺は目を開くと、目の前には銀髪でピンク色の目をした美少女が俺の顔を覗き込んでいた。


「う、うわぁああああ」


 慌てて俺が後ずさろうとするも、地面に立っている感触がないのに気付く。

 よくよく周りを見ると、暗い宇宙の中……プラネタリウムの中に迷い込んでしまったかのような場所に俺はいた。

 そして目の前の少女は、よく見ると宙に浮いているように見える。


 いったい何が起こったのか。

 俺が困惑していると彼女がにこりと微笑んで、


「初めまして。私はあそこの世界の女神をしているルシエラと申します」

「えっと、初めまして。俺は沖田雄介です」

「ユウスケさんですね。実はですね、私の世界で今後何か大変な敵が現れる……かもしれないのです。そのもしものために異世界人である貴方を読んでみました。勇者召喚、というもの? ですね」


 そう彼女、ルシエラはにこにこと嬉しそうにほほ笑みながら俺に言う。

 だがそこで俺は気づいた。


「この声は、俺が帰り道出来たものと同じ」

「そうですよ。たまたまあなたの世界で~、私たちの世界に適性があって、能力が発現する人を探していたら丁度見つけてしまったのです。うん、もし見つからなかったらどうしようって思ったよ……」


 ぼそりとそう付け加えた彼女、ルシエラだが、俺としては、


「物語で読む分にはいいのですが、こうして呼ばれると俺としても不安が……」

「そのための準備期間です。本当にそういった大変なことが起こるかどうか、実の所よく分からないので、多分私の世界で“遊んで”貰うだけになると思うんですよ」

「……嘘だ、きっと何か誤魔化しがあるんだ。それにこういう時こそお約束を無視して聞きたいことがある」

「? なんでしょう」

「女神さまが直接頑張ればいいのではないでしょうか」


 そう俺は、目の前の彼女に返したのだった。

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