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プロローグ-1

 エリカ・スラディアはSSSランク冒険者である。

 15歳にしてここまで上り詰めたのは、確かに“才能”があったといえるのかもしれない。

 だがエリカは思う。


 才能だけでどうにかなるならば、SSSランクになるために私はこんな苦労はしなかったと。

 そういった意味で私は自身の力を過信しすぎていたのかもしれない。

 また、意固地になっていたのかもしれない。


 もしもあの時、ああしていれば私は……パーティの追放などされなかっただろうか?

 否。


「あんな気持ち悪い相手は私の方からお断りよ」


 そう小さく呟く。

 “見かけがいいだけの女”と最後に吐き捨てたあのパーティの……思い出すだけで怒りが湧いてくる。

 だから、この選択は正しかった。


 そんな事を考えてしまうのは、きっと私が今、追い詰められているからだ。

 そう思いながら私は目の前の怪物に向かって、剣を構える。

 追放されて、さすがの私も一人でここ周辺にある魔王の城に飛び込むほど、向こう見ずではない。


 蛮勇と無謀の違いなど分かっている。

 だから私はあの場から引き返して新しいパーティを募ろうと来た道を歩いていたのだ。

 すでに魔王の部下が攻めてくるために彼らの動きがそのまま道になっていたので、その魔王の城に向かうのは容易だった。


 だがその道しか魔王やその部下たちが通らない、とは限らない。

 結果として私は、運の悪いことに帰り道、この魔王の城に続く道の方に丁度森から出てきた魔王とその部下二人と遭遇してしまった。

 今回現れた魔王は、そこそこ……否、かなり強い部類であるらしく、部下二人を倒すだけで私といえど魔力がつきかけていた。


 魔力も人並み以上、むしろ数百年に一人といった才能であるらしい。

 それがこの様である。

 魔王は私を嬲り殺すのが楽しいらしく、先ほどまで部下二人を倒すまで傍観していた。


 だがようやく二人を倒した私に、この魔王は手を出そうとしている。

 黒い角の生えた人のような形をした存在だが、人類を滅ぼすのを目的とした殺戮する存在である。

 だが、残虐な感情といったものもこの魔王の領分であるらしく、それ故に私はまだ生かされている。


 もう限界に近い私を痛めつけて息の根を止め、この魔王が“遊ぶ”ために。

 それでも私は、SSSランク冒険者として、そして、私としての誇りを失うつもりはない。

 だから、この命が果てるまで戦い抜いて見せる。


 私はそう決めた。

 そして私が攻撃を仕掛けようとした瞬間、


「よいしょっと……ここか? ルーシー」

「たぶんそうだね。あ、いたいた、“魔王”がいる。あれ、そこにいるのは“姫ちゃん”?」


 そこで変わった格好の同い年くらいの男と、私を知っているらしい? 変わった格好の同い年くらいの女の子が突然目の前に現れた。

 いったい何が、と私が思っているとそこで男の方が、


「あ、あの獲物は俺達がもらうから」

「あ、はい」


 軽い調子で、それこそそこにあるリンゴを一つ貰っていいかな? とバイキングで言われたような気軽な雰囲気だ。

 何かがおかしい、そう私が疑問を覚えるもすぐに……それ以上に色々とおかしいものに私は遭遇したのだった。




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