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第四話
■後日談
<数日後>
シオンの容体はずいぶん落ち着いているので点滴をしている。
相変わらず目が見えないようだった。
視覚障害の原因は現在不明だ。
シオンを救ってくれた医師にお礼をするためにコハクは人を送った。
だが帰ってきたのはその医師はいなかったという報告だけだった。
そこは空き家だったという。
医師側が一時的に滞在していただけだったのだろうかと思ったが、そうではないらしい。
なぜなら民族の記憶からすっぽり抜けていたらしい。
医師の名前は知らないし、この村に医師は居ないと口をそろえて言う。
いかにも曖昧で不気味な話だが、迅速に対応してくれてシオンが助かったという事実は鮮明に残っている。