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楽しんで頂けたら嬉しいです
「僕には君が必要なんだ...。」
顔を下げ胸の辺りに手をやりギュッとつかみながら震える声。
「だから。」
そこで言葉は一旦とぎれる。
「だから......」
意を決したように顔をこちらに向け、すうと息を吸い込んだのが分かった。
その、目の前の男の子の一挙一動を目に焼き付けるように食い入るように見つめる。
次の言葉を今か今かと待ち構え、ドキドキしながらボタンをポチリ。
「僕とこれからずっと一緒にいてくれませんか?」
画面の中のイケメンと目が合ったかと思うとぐっと距離が近くなる。
まあ、アップになっただけなのだけど...。
私的には距離が縮まったと思い込んでいるのでいいのである。
あぁぁぁ、その熱を孕んだ目で見られると萌える!!もはや燃える!!ああぁぁぁあ!!!!可愛いのにカッコイイよぉぉぉぉお!!
なんだよ、イケメンかよ!イケメンだよ!!
萌えすぎて、ぐはあとなりながら悶え、枕をバシバシと叩く。
はあぁ、と幸せのため息がでる。
やばいわぁ、絵も美しいし、ボイスも最高だし、キャラに対して共感出来るところやグッとくる設定、泣かせにくるストーリー。最高だわ。
これは殿堂入りだわ。
よし!もう一周行きますか!!
気合を入れて髪の毛を結び直した。
既にほかのキャラクターも攻略を終え、1番最初にクリアをした、性格やら声やらもう、全部好き!というキャラの裏のストーリーの2度目も先程見終えた私はまた、最初からやり直そうと思ったところでおもった。
めっちゃトイレ行きたい。
ゲームをやっている最中は夢中になり過ぎていたのか全く便意を催さなかったけど、終わった達成感なのか、限界ギリギリだったのか、めっちゃトイレ行きたい。
動いたら出そう...。少し、遠い目をしながら思った。しかし、幼稚園生でもあるまいに漏らすのはちょっと...。
トイレが1階にしか無いのが悔やまれる。
時間は夜中の2時を回っていたので家族を起こさないようにゆっくりと慎重に歩みを進めた。
やっとこさ、トイレに着いて、ほっとひといき。
トイレから出て、手を水で軽く洗うと、さあ、また、推しに会いに行こう!最初からではなくまずはスチルを全部じっくり見直すのもいいかもしない、今回のゲームはスチルにミニストーリー(ボイス付き)が着いてる豪華仕様。
嬉しくてるんたったと階段を上っていた。
ここで1つ、注意事項を言っておこう。
うちの階段は注意が必要なのである。
なぜなら、本棚に入り切らない漫画が階段の端っこに置いてあるから。よく、誰かが踏んで滑って怪我をする。
何故、そんな事を考えているのかと言うと絶賛滑り中だからである。
ツルッといってしまった。
かなりまずい...。
これは、死ぬんじゃないかな...。全く受け身を取れない状況、しかもあと、2段で2階にたどり着ける高さ...。最悪だ。
落ちている最中なのか嫌に身体はスローモーションで色々思考できていたが1番強く思ったのがこんな事ならもっとエンディングの余韻に浸っておけばよかった...。
ああ、残念、無念、また、明日。
あっ、明日は無いのか。
私は最後まで思考が残念だな。そう思いながら目を瞑った。
ボキリ。
痛っっ。と痛みを感じたと思うと意識が無くなっていた。
お読み下さりありがとうございました。