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二人のスタートライン  作者: 赤白 青
7/7

運命の糸が交差する


放課後

真っ直ぐ帰る気にならなかったので、少し図書館に寄ることにした。

「はぁ~~」

一時間程だらだらと本を広げ、ボーッとしていた。

「のんちゃん、こんなとこに居たんだ。」

「あれ?わったーどうしたの?部室行かなかったの?」

わったーが突然声をかけて来てくれて、私の横に座った。


「行ったよ。さっきまでは、かずと四人で一緒だったんだけど、先生からのんちゃんに伝言頼まれちゃったから伝えにきたの。」

「伝言?」

「うん。なんか花壇にじょうろ出しっぱなしになってたから片付けとけだって。」

昼休みにちょっと水やりやってて和田くんが来たから片付け忘れちゃってたんだ。

「じゃあ確かに伝えたからね。ウチは行くよ。」

わったーは席を立ち上がって図書館から出て行った。

っと思ったらすぐに戻ってきた。

「可愛そうだから、早く行って上げてね。頑張って」

「どういうこと?」

「ふふっ、また明日ね♪」

わったーは笑顔で私に手を振りながら、帰って行った。


私もそろそろ帰ろうかと、花壇へ急いで向かった。

「あったあった。全くこれぐらいなら片付けといてくれればいいのに。」

花壇に置き去りにされていたじょうろを拾うと、所定の位置に戻した。

「はぁ~~なんで和田くんにあんなこと言っちゃったんだろ」

「やっときてくれた。」

振り返るとそこには和田くんが立っていた。

「な、な、なんで和田くんがここに?」

私は動揺と緊張で声が震えていた。

「なんでってひどくね?手紙読んだからきたんだよ。」

和田くんの右手には私が机に入れておいた、手紙をヒラヒラともっている。

「けど、私の話はもう···」

私はもう昼休みに全てを伝えて散った気でいた。それなのにこの無神経男はまだ言ってくるのか。私は俯きながらだんだん小声になっていった。

「うん。だから俺からも話をしなきゃって思ってさ。待ってたんだよ。」

和田くんが一歩ずつこっちに近づいてくる。話ってなに?どうせフラれるんでしょ。

「昼休みはすげぇ驚いたんだけどさ。片山さんの気持ちは嬉しいんだけど···」

「わかってるわよ!どうせ私みたいなじゃなくて、可愛くて、スタイルがいい子がいいんでしょ!わかってるわよ!」

私は涙をこらえ切れなかった。泣き叫ぶように和田くんに言葉を返した。

「う~ん?それもあるけど、俺の好きな子は、油断してるときに突然話し掛けると変な声で反応したり、班を決める時には友達に抱きついたりしてるね。けどその姿がとっても可愛らしく思えるんだ。それに、席替えした後なのに席が悪かったのか授業に全くやる気をなくしてたり、体育祭では最下位だとわかってても全力でクラスや友達の為に頑張れる。そして、いつもは大人しいのにいざ友達の為なら、男子にだって負けない強さを魅せるカッコいい子だよ。」

「えっ?」

私は話を聞き、涙を溜めながら顔を上げると、そこには顔を真っ赤にして、一生懸命話してくれている和田くんの顔があった。


「その子には一目惚れしちゃって、頑張って同じ係りになれたのは良かったんだけど、恥ずかし過ぎて全然話す機会なかったんだ。なのに、その子からバレンタインチョコもらえるなんて困っちゃったよ。だって絶対興味ないと思ってたから。」

「う、う、嘘でしょ」

私は手を口に当てながら、ポロポロと涙を流している。涙が止まらない。


「ホントはさ、その子とクラス別れちゃうかも知れないから、3月の終業式の後に俺から彼女に告白しようと思ってたんだ。この花壇でね。

けど、まさか先に告白されるとは思ってなかったからさ。だから、ごめん。片山さんからの告白は受けられないよ。」

「えっ?」

私の頭の思考がストップした。あれ?これってどういうこと?やっぱフラれるの?


「俺から言わして欲しい。

片山さん、あなたの事が好きです。大好きです。良かったら付き合って下さい。」


私の目から再び涙が溢れ出てきた。そしてそのまま和田くんに抱きつくと何度も頷いた。

和田くんは緊張していてたのか、震えていた。勇気を出してくれた和田くんがもっともっと好きになった。

「うん、うん、私も大好きだよ。」






私と和田くんとの運命の糸は全く交差してないと思っていたけど、実はずっと交差していたんだ。

交差してると思って一歩踏み出せば、見える景色は全く違って、全てがバラ色に見えた。

踏み出す一歩の勇気を持てるか持てないか、それが恋の結果を左右する。

私達は、二人で別々の場所で恋のスタートラインに立ったんだけど、恋のゴールテープは二人で一緒にきることが出来て良かった(*´ノ∀`*)










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