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二人のスタートライン  作者: 赤白 青
5/7

運命のバレンタイン


年が明け、寒さもピークを迎えるこの時期に私はあることを決意していた。

和田くんに恋をした時からすぐに決めていた。私の想いと一緒にチョコレートを渡すんだ。

そう、明日はバレンタインデー。世の恋する乙女たちの勝負の日である。



ーーーーーーーーーーーーー


バレンタインデー当日

クラスの中はいつもと変わらずざわめきがあるが、やはりいつもと少し違う気がする。男子はいつもより少しカッコつけたり、好きな女子の方をチラチラみたり、引き出しの中をやたら確認したりしている。

女子の方はと言うと、どの子に渡すのか何人かのグループになって話したりしている。

私もわったーとかずと同じように話をしている。わったーは立花くんに、かずは高橋くんにあげるみたい。4人とも同じ陸上部なので、今日は部活がないが部室に呼び出してそれぞれに渡す予定みたい。

私のプランはこうだ。昼休みまでに和田くんの机の中にこの手紙を入れる。手紙の内容は昨日··いや、1ヶ月近くかけて考えたわ。

和田くんへ

同じクラスの片山希美です。話があるので、放課後花壇の前に来て下さい。


少し素っ気ない感じもするが、いろいろ考えた結果手紙で気持ちを伝える訳ではないので、これぐらいでいいのではないかという結論に至った。

そして、この手紙を読んで放課後花壇に来てくれた和田くんにチョコレートを渡す。というシンプルな作戦だ。


キーンコーンカーンコーン

チャンスは突然やってきた。3時間目の移動教室の時に途中まで行くと教科書を一冊持ってき忘れているのに気付いた私はダッシュで教室に戻った。

そして、その時に誰も居なくなった教室を見て今がチャンスと思い、和田くんの机の中に手紙を入れることに成功した。

意外にあっさり手紙を入れることに成功し、頬を緩ませながら移動先の教室まで軽く走り席に着くと、隣の青江さんが私を見て陸上部は走るの好きなんだね。っと言われ、私は思わず苦笑いしてしまった。


昼休みになり、後は放課後を待つのみと私は早々にお昼を食べ終えると行きなれた場所ではあるが、下見と水やりを兼ねて花壇へ向かった。

花壇に水をやりながら、放課後のことを考える。

「はぁぁぁ~緊張するな~」


「あれ?今日片山さんの当番だっけ?」

「えっ?」


私の後ろから私が一番聞きたい人の声が聞こえた気がした。

振り返るとそこには、なんで?なんで?こんな所に和田くんが?


「なんで?和田くん、約束は放課後のハズだけど?」

「なんでって今日の水やりって俺の当番だった気がしたんだけど違った?」


そうでした―!私としたことが、まさかの当番勘違い。スマホを見ると確かに今日は和田くんの当番と表示している。


「ごめん。私勘違いしちゃったみたい。けど、もう水あげちゃってるから今日は私がこのままやっちゃうよ。」

キャーキャーキャー私の心の中は発狂中。

顔が熱い、顔が熱い。


「そかそか、ありがとう。で、放課後なんか約束してたっけ?」


私はビクッと肩が震える。

「いや~その~あの~え~と···」


和田くんは首をかしげている。

これはあれか、完全に手紙を読む前に来ちゃったパターンだわ。

私もいろいろなパターンを考えていたけど、これは想定外のパターンだわ。



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