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二人のスタートライン  作者: 赤白 青
1/7

運命の糸が交差する


人を好きになる理由って案外人には理解されないことも多い。けど私はそれでも言いんだ。これは私だけの大切な思い。大切な大切な誰にも内緒の思い。


私の名前は、片山希美

突然だけど、自己紹介するね。

畑山中学1年3組の片山希美。好きな食べ物はクレープ、あとは甘いもの全般かな。血液型はA型。誕生日は3月1日。部活は陸上部。あとはえーとえーと。もうとりあえずこんなもんかな?まだ聞きたいことあったら言ってねww


私の好きな人との運命はなかなか交わることはなかった。けどたった一回だけ交わった。それは忘れもしない、入学してすぐ、まだ緊張でクラスに上手く馴染めてなかった頃、クラスの係りを決める時のことだった。


「おい、誰かいないのか~」

坊主頭の担任の先生が黒板を見て、いろいろな係りにクラスメートの名前が書かれているが、まだ誰の名前も書かれていない係りを見ている。

クラスは私語をしながら、少しざわざわしているが誰も立候補する気配はない。


「誰もいないなら、しゃーねぇ。先生が決めるぞ。今日は何日だ?

えーと、4月15日か。なら出席番号の4番の男子と15番の女子だな。」


先生はパラパラとページを捲り出席簿を開いて、出席番号4番の男子と15番の女子の名前を確認した。


「よし。石原と片山の二人が園芸係で決まりな。」


「えーー嫌ですよ、先生。なんで俺が花壇に水なんかやらないといけないんですか?しかもこんな暗いやつと」


石原は席を立ち、先生に抗議しながら私を指差している。暗いって、、、まだあんまり話したこともない女子にそんなことを言う男子。苦手だな~嫌だって言うなら私も賛成だわ。


「わがまま言うな。他に立候補いないんだから仕方ないだろ。誰かがやらなきゃいけないんだよ。」

「ぜってぇ~嫌だ。マジめんどくさい。しかもこんなやつと、、」


石原が私を睨んでくる。別に私があんたを指名したわけじゃないのだから睨まれる筋合いはないと思うのだが。それに私も彼は嫌いだ。デリカシーを感じられない。

私と石原の間になんとも言えない空気が流れる。

その時、私の後ろから声が聞こえた。


「先生、俺が替わりにやりますよ。」

その言葉は私を飛び越えて先生に届いた。

「和田いいのか?」

「はい。植物そんな嫌いじゃないし。」

和田くん?まだクラスメートの名前と顔がうろ覚えでよく思い出せない。

「ならさっさと立候補しろよ。めんどくせぇやつだな。」

石原が文句を言ってるが面倒な係りから外れた為、少し頬が緩んでいる。分かりやすいやつだ。


「よし、なら園芸係は和田と片山で決定だな。これで全部の係り決まったな。」


キーンコーンカーンコーン

係りが決まると同時にチャイムが鳴り、先生は黒板に書かれたクラスメートを書き写すと足早に去っていった。

私はホッと胸を撫で下ろし俯いた。良かった。石原じゃなくて。


「片山さん、よろしくね。」

「えっ?」

突然誰かに話しかけられて慌てて顔を上げるとそこには和田くんがいた。

「あわわわ、こちらこそよろしく。」

「ふふふ」

和田くんは慌てる私を見て少し笑うと自分の席に戻って行った。

良かった、和田くんで。私は心の中でそう思いながら、胸が高鳴って頬が赤くなるのを感じていた。

あ~もしかして私恋しちゃったかも。これが、和田くんへの恋のスタートラインに立った瞬間だったのだと思う。


こうして私と和田くんの運命の糸が交差したのだった。



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