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番外編【だらけきった日】


皆さん、こんばんは!

嫌な月曜日にささやかなプレゼント!

ご要望がございましたので番外編の投稿です!


ご要望、ありがとうございました!

そして、総合30万PV突破です!

ありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!


 

 ーとある日ー


 抱擁されているかのように温かく包み込む日差し。

 遠くで穏やかな風が草木と踊り、鳥たちが歌っている。


 そんな心落ち着く青空の下、世界樹の周りにある草原に俺たちはいた。


「あー……なんもしたくねぇ………」


 ハンモックに揺られながら俺は脱力感丸出しで呟く。


「なーんにもしてないけどねー……」


「これ、いいのかしら……」


 同じくハンモックに揺られてだらだらと過ごすラウとローナ。


 え?ハンモックはどこから出した?

 もう言わなくてもわかるだろ?


 ……どうやってハンモックを設置したか?

 権能《劔》を変形させて長い杭を地面に打ち込んだ。イメージ的にはバレーネットを引っ掛ける為の棒かな。

 あと、ハンモックは【ローナ・俺・ラウ】の順番で並んでいる。

 近くにはテーブルと飲み物も置いてある。


 権能万歳。使い勝手が良すぎてもう手放せないね。


 《手放す=死、ですけどね。当然、主様が死ぬ事はありませんが。》


 なにそれこわい。


「ローナ、別にいいんだよ……むしろ何もしない事が大事なんだ……心穏やかに過ごし、気を休めるのも生きる者の仕事だ。」


 少し戸惑いのある声で言ったローナに俺は笑いながら意味のわからない理屈でを押し通そうとする。


「そ、そうなの……?」


「そうなのだ。」


「……うん、わかったわ。タケシが言うならそうなのね。」


「流石は創造神(ローナ)。いい選択だ。」


 ローナが納得したのを見て、俺はほくそ笑む。


 彼女がハンモックで揺れると大きな丘も揺れる。

 あぁ、福眼福眼……ありがたやぁ……


「とか言っておにーさんが何もしたくないだけでしょー?」


 すると、ラウが横から声をかけてきた。


「む、なぜバレた……」


「いつもの覇気がないよ。」


「やる気の電源切ってるからな。」


 ラウの別に鋭くもなんともない指摘に対して雑に答える。

 だって、ラウも気の抜けた声だし。


「それはいつもの事では?」


 そんな折、俺の顔に陰が差し込んだ。


「なんだ、ベル。寂しくなったのか?」


 やって来たのはベル。

 俺は彼女に対して挑発的に笑いかけた。


「そんな訳ないでしょう。思考回路まで止まったのですか?というか、腹立たしい笑みですね。」


 ベルは相変わらず毒を吐く。


「お褒めに預かり光栄だよ。つか、止まってるのはお前の表情筋だろ。

 表情筋エクササイズ教えてやろうか?ほーら、ニコーっとしてみ?」


 そんな彼女に俺は両手の人差し指で口角を引き揚げておちょくる。


「あははっ!おにーさん、なにそれ!」


「ふふふっ、変な顔。」


 ラウとローナにはウケたみたいだが


「……」


「わぁーお、鉄仮面。クールビューティーも大変だな。」


 ベルはクスリともしない。

 冷めた目で俺を見下ろしてくる。ゴミを漁るカラスを見つけたような目だ。


 もし、ローナやラウにこんな目を向けられたら俺は立ち直れなくなる自信しかないぜ!


 《無駄に勢いよく発言することでもないですね。》


「んで、どした?」


「フェンリルとサーベルティーガーが起きたのでこちらに案内しただけです。」


「がう。」「……グル。」


 すると、俺の側にフェルとサティの頭がニュッと出てくる。


「おう、ありがとう。」


「虫酸が走ります。」


「そこは素直に受け取ろう?」


 俺以外には良心的なベル。

 しかし、俺にはこの態度だ……ま、別にいいけど。気にならないし。


「がう、くぅん………クゥ。」


 そんな事をのんきに考えていると、フェルが両前脚を俺の胴体に乗せて甘えてくる。


「おー、よしよし。ハンモック千切れるからやめようなー?俺が降りるから待ってほしいなー」


「がう!がうがう!」


 俺が話しかけると、フェルは大人しく引き下がって目を輝かせる。

 それはまるで『おりた!早く早く!』とでも言っているかのようだ。


「よしよし、良い子だ。フェルは賢いなー!」


「♪」


 ハンモックから降りて地面に座り、フェルの頭を膝の上にのせてわしゃわしゃと撫でる。

 サラサラとしていて、本当にいい手触りだ。


「それでは。」


 すると、ベルが一言そう言ってくるりと踵を返した。


「ん?ハンモックに乗らないのか?」


 俺はフェルを撫でながらベルに聞く。


「いえ、結構です。」


 キッパリと断ったベルに


「今日一番のおススメだぞ。これ乗ってるとダメになる。その証拠にほら、ラウを見てみろ。」


 ラウを指差しながら言う。


「んー、どうしたのー?」


 ラウはハンモックに揺られて、ひどくだらしない表情をしている。流石、世界樹の精霊(笑)。


「……言及致しかねますね。」


 ベルは少し興味が湧いたのか、今度は一蹴しなかった。


「ローナの方も見てみな。」


「えっと、どうかしたの……?」


 ローナもローナで、かなりリラックスした様子でハンモックに身を委ねている。


「ローナ、気分は?」


「素晴らしいわ。簡単な物だけれど、もの凄く落ち着くの。タケシ、教えてくれてありがとう。」


 彼女に感想を聞くと、嬉しそうに声を弾ませて答えてくれた。気に入ってくれたようで何より。


「だ、そうだ。どうする?」


「…………」


 ベルに対して再度確認を取ると、彼女は目を瞑って黙り込んだ。


「!……ふふっ、ベルちゃんもどうかしら?」


 すると、ローナが何かに気がついたらしく、ハンモックから降りてベルに声をかける。

 彼女は駄々をこねる子どもを見たかのような優しい微笑みを浮かべている。


 ヤバい、今のローナの笑顔すごくキュンとした。


「……そうですね。白き主のお誘いであれば断るのは気が引けます。」


 ローナの言葉を受けてベルは瞳を開いて応えた。


「なら、はい、こっち使っていいわよ。」


 ベルの返答にローナは笑顔を浮かべて自身が乗っていたハンモックを譲った。


 ……あぁ、なるほどね。ベルのやつ俺の誘いに乗るのは(しゃく)だったのか。

 ローナはナイスプレーだな。どこぞのだらけきった世界樹の精霊(笑)とは格が違う。


 《事実、神としての格が違いますからね。

 ……まぁ、譲ったのはもっと単純で別のことだと思いますが。》


 え、そうなの?……あ、俺が自分で気がつかなかった事で重要じゃない場合は言わなくていいぞ。

 シュティに頼るクセがつきそうだから。


 《素晴らしい心がけかと。》


 若干面倒な性格をしたベルの動機について考えを巡らせ、シュティと話す。


「ふむ、悪くないですね。」


「そりゃ重畳。」


「じゃあ、わたしはこっちね。」


 そうこうしていると、ローナは俺が使っていたハンモックに乗り込む。


「ふふ、やっぱりいいわね。」


 彼女はなぜか先ほどよりも柔らかく弾んだ声で言った。

 いずれにせよ、楽しそうでなによりである。


「クゥ、クゥン……」


 すると、フェルが耳を垂れて下から見つめてくる。


「ん、手が止まってたか。ほれほれ、これで満足かい?お姫様よー」


「がう♪」


 フェルは目を細めながら尻尾をパタパタと振ってご満悦の様子。


「あれ、そういえばサティは?」


 フェルに関連して思ったのだが、先ほどからサティの自己主張がみられない。


「ずっとおにーさんの後ろで座ってるよ?」


 俺の疑問にラウが指摘する。


「あ、ほんとだ。全く気配なくておにーさんビックリ。」


「………グル。」


 ラウの指摘を受けて後ろに首を回すと、サティが俺にくっついた状態で座っていた。

 サティの瞳からは『何か文句でも?』と言いたげな雰囲気を感じる。


「いや、文句とかないっす。それよりサティ、背もたれにしていい?」


「…グル。」


「あざっす。」


「………グル。」


 サティから承諾の意思表示をもらったのでもたれかかる。


「あー……いいな、これ。背中にモフモフ、膝にもモフモフ……ここが天国か。」


 俺が何気なく言うと


「?、天国ならいつでも連れていってあげるわよ?」


「はい、ローナさんの天然(スキル)発動でぇーす。」


 ローナが怖いことを言った。

 神様に天然を付与してしまうとこうなる。いい教訓だな。


 《それはいったい誰が参考にするのでしょうか……》


 うん、確かに。


 シュティの言葉に納得していると


「ふ……!」


 不意にローナの奥の方から吹き出しそうになった人物が。


「お、ベル今笑った?」


「はて、なんのことでしょうか。生憎ですが、貴方の言葉を理解出来ません。」


 ベルに問いただすが、彼女は当然とぼける。


「認めちまいなぁ!楽になれるぜぇ?」


 ふざけてベルに言葉をかけると


「不愉快です。」


 –––シュシュン!


「曲芸だ!?」


 なぜか空からナイフが二本降ってきた。彼女はそこから一切動いていないにも関わらず、だ。


 それに、着地点はどちらも俺の左足側。

 フェルやサティから離れた場所に降らせている気遣いが憎い。


「ねぇ、おにーさん。なんかわたしだけ部外者みたいなんだけどー、かまってー」


 今度はラウが片腕をぶらーんと垂れ下げながら話しかけてきた。

 むー、っと不満を表情に出している。


「えー……」


「なんでわたしだけ嫌そうな顔!?」


 なんとなく嫌そうな表情をしてみると、思った通りの反応をしてくれる。


「ぶっ、あははは!!真に受けてやんのー!」


「わたしだけ扱い酷いよね!?」


 思わず吹き出してゲラゲラ笑っていると、ラウは抗議の声をあげる。


「え?だって構ってほしいんだろ?構ってるじゃん。」


「出た……おにーさんの屁理屈。」


 俺の言葉にラウは心底嫌そうな表情を浮かべて言った。


「別にいいじゃん。」


「よくない!ローナさんからも何か言って!」


「あ、テメ!卑怯だぞ!?」


 ちょいとやり過ぎたせいで、ラウはローナに助けを求め出した。


「タケシ……」


「な、なんでしょうか。」


 ローナから何を言われるのかとビクビクしていると


「腕……大丈夫なの?」


 なぜか心配の声をかけられた。


 彼女の心配の意図がわからなかった俺は視線を腕に移す。


「ん?なにが………って、フェル!?」


「………がう。」


 そこには右腕にがっちりと噛みついたフェルの姿が。

 しかも、大層ご機嫌ナナメなご様子で俺の腕をハムハムしている。


「フェ、フェル……?離そう?話せばわかる……だから、離そう?」


「……………」


「あ、待ってごめん!ハムハムしないで!狼の牙は流石にヤバい!怖いって!俺の腕はゴムじゃないの!めっ!」


 フェルを諭そうと試みるが、見事に無視された上に腕をゴムボールのように噛まれる。


「あははは!!!おにーさんが悪いんだよ!フェルちゃん!もっとやってもいいよ!おにーさんって頑丈だから!」


 その様子を見てラウは大爆笑。


「変なことフェルに吹き込むな!……フェル、いい子だから離してくれるかな?」


「…………」


 フェルに話しかけるが、目線すら合わせない。

 無言でひたすらハムハムしてくる。


「Oh,my God!!」


「呼んだかしら?」


「ごめん!ローナじゃない!というか叫んだ意味も特にない!」


 ローナのウキウキした声に俺は即座に返す。


「………グル。」


 あたふたしていると、サティがフェルに視線を向けて鳴いた。


「……クゥ。」


 するとあら不思議。フェルはスッと俺の腕から口を離した。鶴の一声とはこのことか。


「サティ、助かった!」


「……グル。」


「それから、フェルはやり過ぎだぞ?」


「がう……」


「よーし、わかってくれたらいいんだ。グッドガール。」


 フェルはサティに怒られて反省したらしく、耳を垂れてシュンとしている。


「……ブラッシングでもするか。」


「!……♪」


 しかし、ブラシを取り出して毛を()いてやるとたちまちご機嫌に。


「この甘えん坊めー」


「がう♪」


 フェルにブラッシングしながら話しかけると、尻尾がどこかへ飛んでいきそうな勢いで振っている。



 その後、しばらくのんびりしていると


「ねぇ、おにーさん。」


 ラウから話しかけられる。


「んー?なんだね、ラウ君。」


 ラウに反応こそ返しているが、俺はサティにもたれかかったまま、フェルを抱き込んで寝転んでいる。


「暇。」


「えぇ……暇って言われても。」


「なにかない?」


「期待されてるような事はなんもねぇな。というか、それがいいんだろ。今日は何もしない日です。」


「うーん……」


「澄み渡る青い空、風になびく草原、豊かな自然とその香り、眩しい太陽、うっすら見える月、側にそびえ立つ大木、ローナにラウ、サティとフェル、そしてベル……俺からすればこれだけ贅沢なのもそうないぜ?」


「あはは、おにーさんらしいや。でも、確かにみんなでのんびり出来るのはいいねー」


「そうだろ、そうだろー……あー、サラサラでモフモフ、これいいわー……サティもフェルも最高。可愛いし、かっこいいし、モフモフだし、文句ないな。」


 俺は独り言でサティとフェルを絶賛する。


「……タケシ、わたしの髪も触る?サラサラよ。」


 すると、ローナが唐突にそう言ってきた。


「また今度な。女神が魔獣に対抗意識を燃やさないでくれ。」


 しかし、その腹の内はわかっている。


「うっ……わたしの心を読んだの?」


 ほらね、ビンゴ。


 核心をつつかれたローナはおずおずと聞いてくる。


「声と言葉のチョイスでわかる。」


「心を読んだり頭の中を見るよりタチが悪いですね。」


「うるせぇやい。」


 ローナの質問に答えていると、ベルが横やりをぶっ刺してきた。


「おにーさんが照れてるのがわかるのと一緒?」


「それなら納得できるわね。」


 側ではラウとローナが勝手に納得している。

 多分、間違ってないので訂正はしない。訂正しようとしても俺にダメージがくるだけとみた。


「はぁー、のんびり悠々自適って最高……」


「がうぅ……」


 俺の呟きに同意するかのごとく唸るフェル。


「おー、そうかそうか。フェルはわかってくれるか!いい子だなぁー!」


「クゥ♪」


 頭を抱き込むとフェルはそのままグリグリと押し付けてくる。


「あはは、ぐだぐだー」


「でも、悪くないわね。」


「……言及致しかねます。」


 その光景にラウは笑いながらそう言い、ローナも同意する。ベルは同意こそしないが、否定もしない。




 こんな風に特に目的も、やる事もない一日をみんなでのんびりと過ごしたのだった。




「おにーさん、何か食べたい。」


「なら、ケーキやるよ。」


「やった!ありがとう!」


「あ、わたしも欲しいわ。」


「あいよ。」


「………」


「ベルの分も勝手に置いとくぞー」


「……そうですか。」


 無愛想なベルだが、後になって皿を見るとケーキはキッチリなくなっていた。




作者「ヤッベェ、仕事辞めて個人投資家になりまたい。あと、小説書く時間がもっと欲しい!

てか、自分の好きなように生きたい。」


隊長「そうか、勝手にしろ。」


作者「年内に結果と安定性を示して仕事なんて辞めてやるー!!」


隊長「妙に計画性だけはあるな。」


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