油断、ダメ、絶対!
皆さま、こんばんは!
1ヶ月ぶりですね……えぇ、ほんとうに申し訳ないです。生きてます。
しかし!少し前から長めの春休みが始まりました!その期間!なんと!2ヶ月!
一月に書けなかった分も書いて書いて書いて書いて書いて書いて書きまくります!
ふはははは!我が世の春!ここに来たれり!
4月1日からは会社勤務が始まりますが、それまで出来る限り書きまくって投稿だぁー!!!
はいそこー!嘘乙、なんて言わなーい!
「こんにちは、リーシア。」
「はい、お兄様!」
どうも、皆さんこんにちは。俺です。
突然なのですが、早速問題発生です。
「お兄様、だって、ローナさん。」
「えぇ、お兄様、ね。」
「まさかもうこちら側で妾を?」
「うわぁ……おにーさん、それはない。」
「……わたし泣いてもいいと思うわ。わたしのいない間にこんな小さい子を現地妻にしてるのだもの。
ベルちゃん、ちょっとくらいなら投げてもいいわよ。」
「串刺しにしてもよい正当な理由と許可が降りました。」
転移してすぐ修羅場です。やばいです。
転移したと思ったらなぜかリーシアがスタンバってました。
俺が来るのを待ち構えていたのか、それとも気配を察知したのかどうかはわかりませんが、俺を見るなり無邪気に駆け寄ってくるリーシアがなんだか怖いです。
無邪気の狂気とはこの事でしょうか?あるいは凶器?
それと、後ろでローナ達がなにやら話しています。
ただ、ベルの雰囲気が嬉々としているのを感じるあたり、俺にとって良からぬ事であるのは間違いありません。
「グルルゥ………」
「…………グ。」
「……グゥル。」
しかも、フェルがなんか怒ってます。
サティが抑えてくれていますが、それでも止めるまでにちょっと考えたのか、少しの間がありましたし、サティの瞳がなんか冷たいです。
こっちもそれなりにやばいです。
「妻だなんてそんな……困ります///……まだ早いですわ……///」
リーシアはリーシアでなんか自分の世界に入って照れてます。顔を赤くしてうつむきながら両手を頰に当てている仕草は可愛いですが、今はそんなこと言っていられません。
とにかく誤解を解く他に手段はありません。
「えっと!じゃあ!まずローナ達に紹介しようか!」
「問答無用です。」
「えっ?あっ………」
即座に判断した俺がローナ達に向き直って誤解を解こうとすると、目の前に数十本のナイフが音もなく展開されていました。
シュティ!頼んだ!
《承知しました。》
–––ギィィギギィィギギギギッン!!
脳内でシュティにバトンタッチしたその刹那、辺りに激しく波打つ金属音。
シュティが作成した盾で全てのナイフを押し返したのだ。
「あっっっぶねぇ!!」
本当に顔から10cmくらいしか離れていない至近距離での防御に、俺も流石に肝が冷えた。
しかも、本当に串刺しにするつもりだったのか、全身くまなく突き刺さる量だ。
ベルのやつ結構本気で投げやがった!後ろにリーシア居るんだぞ!?当たったらどうする!?
《問題点そこですか。》
普通に考えてそうだろ!出会い頭に身内が領主の娘を串刺しとか問題しかないわ!
《確かにそうですね。》
だろ!?
「お、お兄様!?あの……いったい、なにをなされているのでしょうか?……それに、そちらの方々は?」
すると、今のナイフを弾いた音で我に返ったらしいリーシアが強張った表情を浮かべて俺に聞いてきた。
「えっと……ひとまず、リーシアに紹介しよう。
白い長髪の人がローナ、緑色の髪をした子がラウ、灰色の髪でやたらとナイフを投げてくる危険人物がメイドのベルで、そこにいるのが前に紹介したフェンリルのフェル、紅のサーベルティーガーがサティだ。
一応は全員が俺と住んでる。」
自分でもわかるほど引きつった笑みでリーシアに紹介すると
「っ……はい、ご紹介ありがとうございます。お兄様。」
リーシアはほんの一瞬だけ目元を歪めてお辞儀つきのお礼を口にする。
……まぁ、リーシアが言いたいこと何となくはわかる。だって、この前来た時には『一緒に住んでる人は居ない』と言ってあるのだ。そりゃこんな反応もするわな。でも、嘘はついてないぞ。あの時点では確かにそうだったから。
言い訳は後でさせてもらおう。
「リーシア、言いたい事はいくつかあるかもしれないが……後で説明させてくれ。とりあえずはローナ達にリーシアのことを紹介する。」
「はい………」
「すまない、ありがとう。」
どこか影のあるリーシアの表情を見て、謎の罪悪感にとらわれつつも、ローナ達に彼女を紹介することにした。
さて、問題はここからだな……
「ローナ、ラウ、ベル、サティ、フェル落ち着いて聞いてくれ。この子はリーシア・リンドブルム。ここの領主の娘さんだ。」
慎重に言葉を選んでローナ達に紹介する。
「そして、現地妻ですか?」
すると、ベルがゴミを見る目で見つめながら口を挟んできた。
「だから違うって……話を聞け。この子は前に助けた事があるんだ。そして、前回この街に来た時に仲良くなっただけ。あくまでも妹みたいなもんさ。」
「っ………!」
この時、目の前の女性陣に気を取られていた青年は側にいた少女の表情の変化に気がつかなかった。
その少女は身に纏ったドレスを両手で強く握りしめ、切なく苦しげな表情でうつむく。
「……本当みたいね。でも、タケシはそれを本気で言っているの?」
そして、ローナが険しい表情で言った。
「そうだけど……それが?」
ローナの言葉に俺が答えると
「……そう。ねぇ、ラウちゃん。」
「!……うん、わたしは良いと思うよ。あの子が本気なら、だけど。」
「そうね、わたしもそう思うわ。」
「?」
ローナは微笑みを浮かべ、ラウと何かを示し合わせたのか、互い頷きあっている。
「お嬢様、申し訳御座いません。わたくしとした事が出遅れました。」
「あら、セル爺。遅いですわ。」
「申し訳御座いません。」
ローナ達の謎の行動に俺が疑問符を浮かべていると、セル爺さんが唐突に姿を現した。
「セル爺さん、こんにちは。」
「はい、こんにちは、ようこそおいで下さいました。
……不躾な質問で申し訳ありませんが、あちらの方々は?」
セル爺さんに挨拶をすると、一度俺の後方に視線をむけ、また俺に視線を戻して聞いてきた。
「あー……あはは、すみません。一応、全員私の身内なんですが……ちょっと大所帯になっちゃいました。」
それに俺が苦笑しながら答えると
「いえいえ、お嬢様の恩人たる貴方様のご友人であれば何も問題は御座いません。……しかし、いやはやこれまた驚きですなぁ。」
セル爺さんは余裕ある大人の笑みで歓迎の言葉をくれた。
……ほんと、どこかの誰かさんにも見習ってほしいね。
《無理でしょうね。》
俺が誰かさんに対しての不満を抱いていると、シュティが反応する。
うん、わかってる。
俺が諦めと共にそう返すと
《いえ、そうではなく……》
?
シュティは釈然としない反応を示した。
俺がそんなやり取りをしていると
「それでは、皆様にわたくしの自己紹介を。
わたくしはこの館の執事を務めさせて頂いております、セルディアスと申します。以後、お見知り置きを。」
「わたくしもまだでしたわね。
わたくしはこの館の当主の娘、リーシア・リンドブルムと申します。そして、お兄様の『義理の妹』です。以後、お見知り置きを。」
セル爺さんとリーシアが口上を述べて丁寧なお辞儀をした。
ただ……なぜか、リーシアがお辞儀した後に俺の腕をとった。
すると、ローナが柔らかな笑みを浮かべてこう言った。
「あら、これはご丁寧にありがとう。わたしもお返ししなくちゃね。
わたしはタケシの『魂約者』で『正妻』のローナ・シミズと申します。以後、お見知り置きを。」
「ホワッツ!?」
んんんぅぅ!?なんかおかしい単語が混ざってない!?
しかし、リーシアの行動よりもローナの言葉の内容に驚かされることになった。
さらに、驚く俺を追撃するかのようにラウも口を開いた。
「わたしの名前はラウ。わたしもおにーさんの『魂約者』で『契約者』、そして『最初の側室』だよ。これからよろしくね。」
ちょっとラウ!?なに勝手に話を盛ってるの!?
だいたいは当てはまってるけどなんか節々おかしくない!?そしてなんでそんなにいい笑顔なんだ!?
ツッコミどころ満載のローナ達に気を取られていると
「わたくしはただの冥土で御座いますが、失礼のないよう名乗らせて頂きます。
わたくしはベルと申します。仮契約ではありますが、シミズ様を主人として専属冥土をさせて頂いております。以後、お見知り置きを。
そして、リーシア様。先程は驚かせてしまい、大変申し訳御座いませんでした。」
ベルが口上とリーシアに対する謝罪を述べて完璧なお辞儀をした。
よかった……ベルはまともだった……って、あれ?俺に挨拶してきた時より数段丁寧じゃね?
……まさかあれか?ベルの奴、外面だけは良いタイプか?タチ悪いなおい……いや、むしろ部外者にまで同じ態度だったらそっちの方が危ないな。
うん、ベルが性格悪くて良かった!
《主様、失礼にも程があります。》
俺がベルの態度に思考を巡らせていると、シュティからそんな指摘を受けた。
だって、事実だし。
《……まぁ、そうですね。》
いや、同意するんかい!!
結局は俺の意見に賛同するシュティについツッコんでしまった。
「それでは皆様、立ち話も良いものではありますが、領主様にもご挨拶頂きたい。
僭越ながらわたくしがご案内させて頂きます故、どうぞこちらへ。」
とりあえず、一通り自己紹介を終えたところでセル爺さんがキリよく話を持ち出してくれた。
流石、仕事の出来る人格者は違うな。
「ありがとうございます。みんな、行こう。」
セル爺さんの言葉を受けて俺がローナ達にうながすと
「はい、お兄様♪」
真っ先にリーシアが笑顔でそう言い、俺に並んで歩き始めた。
「ふふ、あの子って意外と積極的なのね。
でも、わたしはタケシがどれだけ女性を囲っていても気にしないわ。さっきはあんな事言ったけど、タケシはそういう人だもの。」
「なーんかモヤモヤするなぁ……まぁ、わたしもおにーさんのモノだから別にいいけど……二番目はわたしだからね。」
「真性の変態とはああも分け隔てなく女性をたぶらかすものなのでしょうか。忌むべき才能ですね。」
だが、後ろでもの凄い風評被害を被っている気がしてならない。
《主様、少しよろしいでしょうか?》
ローナ達の会話に聞き耳をたてていると、シュティが真面目な声で話しかけてきた。
いや、シュティの声ってほとんど抑揚がないからあんまり違いとかなくてわかりづらいけど。
《それでもある程度は理解してくださる主様に感謝致します。》
あ、うん。それで用件は?
《はい、これはご忠告を兼ねたお願いなのですが……》
うん、どうした?
《この館にいる間は出来る限りアルラウネの側に居てあげてください。》
………もとからそのつもりだが、どうしてわざわざ?
《それはわたくしからは言えません。申し訳御座いません。》
そうか……よし、わかった。
シュティからの忠告だ。無視するわけにもいかないし、もとからラウとはそう約束してるからな。
《幾たびのご無礼にも関わらず、わたくしの言葉に耳を傾けてくださり、誠にありがとうございます。》
気にしなさんな。
……しかし、シュティから念押ししてくるぐらいだから、ラウのソレは相当根深いんだな。今のところは特に問題なさそうに見えるけど……
《いえ、主様の為に平静を装っているだけです。》
……マジで?
《はい、あまり言いたくはありませんが彼女の心内は穏やかとは言い難いかと。》
そうか……俺は全然気がつかなかった……不甲斐ないばかりだ。
《わたくしが告げ口するような形になってしまった事、深くお詫び致します。》
俺がラウの変化に気がつかなかったのが悪いんだ。シュティは悪くないぞ。
《そのご慈悲に与らせて頂きます。ありがとうございます。》
いや、こちらこそありがとう。
シュティとのやりとりもあり、後ろにいるラウの方に少し視線を向けてみると……
「…………っ!どーしたの?おにーさん?」
彼女は油断していたのか、複雑そうな表情を浮かべていた。
しかし、すぐに俺の視線に気がついて笑顔を浮かべた。
「……いや、なんでもない。」
「そう?」
「……あぁ。」
その笑顔を見て、やっと気がついた。
今、『確かにラウは無理をしている』と。
ラウのいつもの笑顔は朝日に照らされた花のように輝いていて可愛らしい……だが、今のは月光にすら照らされない、今にも枯れそうな笑顔。
そして、この状況でかける言葉が見つからない自身の不甲斐なさが、彼女に言葉をかけられない自身の愚かさが心に突き刺さる。
「お兄様?どうかされましたか?」
すると、隣を歩くリーシアが声をかけてくる。
「いや…………」
俺はそれに答える事が出来なかった。
本当はここでラウの隣に戻るべきなのだろう……けれど、それは………いや、一つだけ手があるな。
どうにか一つだけ案をひねり出した俺はリーシアに質問する。
「リーシア、応接間に着いたら君はどこに座るつもりだ?」
「お兄様はお客様ですので、わたくしの立場上、お父様の隣ですわ。」
「そうか、わかった。」
すると、想定した通りの言葉が返ってくる。
よし、これならローナとラウが俺の両サイドに座ってもらう事が出来るな……ラウのフォローもなんとかなるだろ。
そんな甘い考えも束の間
「ですが、お兄様がお許しくださるのならお兄様の隣がいいですわ。」
予想外の展開へと発展する。
恥ずかしそうに上目遣いで俺を見るリーシア。今日はやけにグイグイと距離を詰めてくる。
……まいったな。そうなるとローナに大人の余裕をみせてもらうしかないが……うん、あとで謝ろう。
「わかった。……ローナ、悪いが応接間ではラウの隣でもいいか?」
「えぇ、わかったわ。」
「すまない、ありがとう。」
リーシアの言葉に頷き、ローナに一声かけると、彼女は笑いながら了承してくれた。
それと、ローナはなんとなく余裕のある笑みを浮かべていた。
微笑ましいものを見るような、そんな笑い方。
「……最低です。」
そんな中、ベルが静かに呟いた言葉が俺にはひどく大きく聞こえた。
その直後、俺たちは応接間の前に着いた。
「皆様、到着致しました。少々お待ちくださいませ。」
セル爺さんがそう言って俺たちに一礼し、扉をノックする。
––コンコンコン
「あいているよ。」
「失礼致します。ルイス様、シミズ様御一行をお連れしました。」
「うん、ありがとう。それじゃあ、お通しして。」
「承知しました。それでは皆様、どうぞ中へ。」
ルイスさんとの会話の後、セル爺さんは俺たちにそう促した。
「ありがとうございます。さぁ、みんな。」
俺が代表してお礼を口にして、ローナ達と一緒に部屋へと入る。
「こんにちは、ルイスさん。
本日は私たちをお招きいただき、ありがとうございます。」
「こんにちは、シミズ君。
ううん、気にしないでいいよ。君がまた来てくれたことが僕たちにとっては幸運だからね。」
「そう言っていただけるとありがたいです。」
俺とルイスさんが笑い合いながら挨拶を済ませると、ルイスさんは俺の後ろにいるローナ達に視線を向けてた。
「お初にお目にかかります。わたしはローナ・シミズと申します。タケシの正妻として共に暮らしている者です。
以後、お見知り置きを。」
「お初にお目にかかります。わたしはラウ・シミズ。おにーさんの側室です。以後、お見知り置きを。」
「お初にお目にかかります。わたくしはベルと申します。仮契約ではありますものの、シミズ様を主人として専属冥土をさせて頂いております。
以後、お見知り置きを。」
すると、ローナから順番に挨拶の言葉を口にした。
「初めまして。ご丁寧にありがとうございます。
僕の名はルイス・リンドブルムと申します。リンドブルム領が領主にして、サンスクリード王国にて剣聖の称号と辺境伯を王より賜っております。
以後、お見知り置きを。」
そして、ローナ達からの挨拶にルイスさんも笑顔で応える。
「あ、そうだ。ルイスさん、魔獣の子たちは俺から紹介しますね。
この子がフェンリルのフェルで、この紅いサーベルティーガーがサティです。ほら、フェル、サティ、挨拶して。」
「ガウ。」
「…グル。」
ここで俺がフェルサティを紹介した。
二頭に挨拶を促すと、フェルとサティは一つ鳴いてそれに応えた。
「うん、ありがとう。これからよろしくね。
それにしてもフェンリルにサーベルティーガーの特異個体か……本当に君はすごいね。」
フェルたちに挨拶をしてくれるルイスさんは、ほんの少しだけ引きつった笑みで俺に言った。
「あはは、俺もこれは想定外でした。偶然なんです。」
「その偶然がまた恐ろしいね。」
俺も苦笑まじりに答えると、ルイスさんがそんな事を口にする。
「……けど、親近感がわくよ。」
「えっと……?」
苦笑しながらルイスさんが呟くように放った言葉に戸惑う俺。
「あぁ、いや、気にしなくていいよ。独り言さ。」
「そうですか?」
「うん。」
「わかりました。」
けれど、ただの独り言らしいので気にしないことにした。
「じゃあ、挨拶もこの辺にしておこうか。皆様、おかけになって下さい。」
「「「「ありがとうございます。」」」」
ルイスさんはまた柔らかな表情に戻し、みんなに席に座るように促してくれた。フェルとサティは少し体が大きいのでソファの後ろに座っている。
……そして、当然のようにリーシアは俺の隣に座った。いや、うん、俺が『いいよ』って言ったから問題ないけど、よく考えたらルイスさんに失礼かも……
「それにしても、シミズ君。君もなかなか隅に置けないね?こんなに美人、美少女の奥さんを貰ってるなんて。」
俺が少しの不安まじりに考えていると、ルイスさんはリーシアの事を一切指摘せず、にこにこしながら言った。
ルイスさんの表情を見る限りではその言葉は嫌味ではなく、単純にそう思っているだけのようだ。
「あはは……まだ、俺が正式にプロポーズしてないので婚約止まりなんですけどね。」
俺は頭をかきながら苦笑して答えた。
まぁ、実際は付き合うとか婚約とか全行程をカットして結婚してる様なものだけど……
「それでも少し前に来た時から今日までの日数を考えるとすごいよ。どうやって心を射止めたんだい?」
「色々とありまして……成り行き、でしょうか。」
興味深そうな瞳でこちらを見つめるルイスさんに、俺は極端な説明を口にした。
おら、嘘は言ってねぇだ。ローナもラウも事後承諾だし……俺、なにも知らなかったし……かなり得してるけどさ。
「ふっ、あはははっ!成り行きって……あはは!すごいね!本当に!それ以外に言葉が見つからないよ!……おっと、ごめんね。馬鹿にしてるわけじゃないんだ。
ただ、成り行きでそんな事が出来るのは君くらいじゃないかい?僕の娘も似たようなものだからね。」
すると、ルイスさんは愉快そうに笑ったかと思えばすぐに表情を戻してそう言った。
「そう、でしょうか?」
「うん、そうだと思うよ。こうも簡単に複数の女性をオトしてみせたのは君が初めてだよ。」
「それって褒めてませんよね?」
けど、俺個人としては完全に女性をはべらす最低な男みたいで嫌なんだよな……
《なにを今更。》
ごめんなさい。
シュティのもっともな意見に謝っていると、ルイスさんが言った。
「いやいや、褒め言葉さ。セル爺、そうだよね?」
「ほっほっほっ、そうですなぁ。魅力ある者の特権かと。」
「ほらね?」
「あはは……どう反応すればいいのやら……困りましたね。」
そうして、ルイスさんとセル爺さんのコンビネーションに困っていると
「当たり前です。タケシは至上にして至高。わたしたちを理解した上で選んでくれて全てを振り払ってくれたのです。」
「うんうん、おにーさんは女の子の心を簡単に掴んじゃうもんね。わたしもあっさりやられたよ。」
「初対面の吸血鬼に血を吸わせようとする究極的な変態ですから。」
「お、お兄様はかっこよくて、強くて、お優しいですから!」
ローナとラウが『当たり前だ』と言わんばかりに言葉を放つ。
……っておい、いま明らかにおかしいの混ざってたぞ。つか、リーシアまで参加してるし!?
「うん、流石だね。君はとても愛されている。僕の目に狂いはなかったようで一安心さ。」
リーシアも参加しているにも関わらず、ルイスさんは何事もなかったかのように話し続けている。
そこは何かしら反応しようよ!?どうして、こんなあっけからんとしてられるんだ!?
俺だったら娘がそんな事してたら不安で仕方ないぞ!それでもって最終的には泣くぞ!?
「あぁ、そういえば、リーシアから聞いてると思うけど、今日はお昼をご一緒しようと思っていてね。
いつ頃にしようか?」
俺が胸中で叫んでいると、ルイスさんから質問された。
「そうですね……こちらは普段から昼食の時間が決まっている訳でもないので、そちらのご都合でお願いします。」
「そうかい?じゃあ、12時くらいにしようか。」
「はい、ありがとうございます。」
視界の端にある時計を確認すると、現在の時間は11時を過ぎたあたり。後、1時間は暇だな。
「みんなもそれでいいよな?」
「えぇ、いいわよ。」
「わたしもー」
「承知しました。」
「ガウ!」
「グル。」
一応、みんなにも確認をとるが、特に問題もないようだ。
「うん、決まりだね。それじゃあ、僕はまだ少しやらなくちゃいけない事があるから、これで失礼するね。
セル爺、皆様を来客用の部屋にご案内してくれるかな。」
「承りました。」
「シミズ君、また後でね。リーシアのこともよろしくね?
奥様方もここを我が家と思ってくつろいで下さい。」
そして、ルイスさんは柔らかな笑みを浮かべてそう言い残し、部屋を後にした。
「皆様、わたくしがお部屋までご案内させていただきます。」
「はい、お願いします。セル爺さん。」
俺がセル爺さんの言葉に頷くと
「その前に一ついいかしら?」
「はい、いかがなさいましたか?」
ローナが口を開いた。
「わたしとラウちゃんはタケシと同室がいいわ。」
「承りました。それでは、そのように。」
すると、ローナはとんでもない事を要求し、セル爺さんはソレを承諾してしまった。
………ローナがやりやがった!?家では別室にしてたから完全に油断してた!!
「あの、ローナ?何を言って……?」
俺が戸惑いながらもローナに聞くと
「え?だって、全員個室だと迷惑でしょう?だから、極力貸してもらえる部屋を少なくしようと思ったのだけれど……」
不思議そうに首をかしげてそう言った。
「あぁ……うん、そうだな。」
「?」
ローナの天然スキルの発動に、俺はただ頷くしかなかった。
《明らかにわざとではないので叱る事も出来ませんね。》
あぁ、まったくだ……
シュティの冷静な一言に力なく同意する。
「それでは皆様、こちらへどうぞ。」
セル爺さんが扉を開けて俺たちを外へ誘導する。
「お兄様お兄様、わたくしは昼食までお兄様とお話したいです。」
セル爺さんの後ろを歩いていると、リーシアが俺の袖を軽く引きながら言った。
「おう、いいぞ。……って言っても話せる事とかあんまりないと思うけどな。」
笑いながらそう返し、多少の自虐混じりに言うと
「お兄様とお話できるだけで充分ですわ。」
「そいつは嬉しいね。」
リーシアは嬉しそうにはにかみながら答えた。
ここまで楽しみにしてくれてるとはねぇ……お義兄さん嬉しいよ。
「今日はせっかくの晴天ですし、お庭でいかがでしょうか?」
「うん、そうしようか。」
「はい!」
「ほっほっほっ……お若いですなぁ。」
リーシアとの会話の中、セル爺さんはしみじみといった様子で呟いた。
そんな事もありつつ、客間の前に到着した。
それにしてもすごいぜこの館。客間しか設けてない別館があるんだ。これもうホテルだろ。
「到着しました。
シミズ様とローナ様、ラウ様御一行はこちらのお部屋へ。そして、『ベル様』はこちらです。
魔獣の子たちは……いかがなさいますか?シミズ様のお部屋に滞在していただいても構いませんが。」
「そうですか?それなら、お言葉に甘えてそうさせていただきます。」
「はい、それでは皆様、わたくしはこれにて失礼させて頂きます。ごゆっくりどうぞ。」
「ありがとうございました。」
「わたくしも一度失礼しますわ。また後ほどお兄様のもとへ参ります。」
「うん、ありがとう。」
こうして、俺たちとリーシア、セル爺さんと一度別れることになった。
「……よし、んじゃあ、入ってみるか。ベル、なんかあったら呼んでくれ。」
セル爺さんとリーシアが本館に戻っていくのを確認し、俺たちは客間へと入ることにした。
「それはわたくしのセリフなのですが……そうですね、主人をコマに使うのも面白いですね。」
「ははっ、そういう意味じゃねぇよ。」
「承知しております。わざとです。」
「知ってる。」
ベルとのくだらないやり取りも終え、ようやく部屋に入る。
「ねぇ、おにーさん。」
すると、部屋に入るなりラウに呼ばれたので視線を向けると
「ん?ラウ、どうした……って、なんだ?大丈夫か?」
彼女はすがりつくようにして俺に抱きついてきた。
そして、その小さな体は震えている。かつての怒りを思いだしたのか、それとも悲しみか、またはその両方か……その真意はわからないが、とりあえずは俺にできる事をしよう。
「ごめんなさい。でも……ちょっとだけ、こうさせて。」
そして、か細い声で静かに呟く。
「……おう、いいぞ。けど、立ったままもアレだし座るか。」
「うん……」
立ったままも疲れるだろうし、ラウと一緒にベットに座る。ついでに、安心できるよう頭も撫でてやる。
ラウ本人からとシュティからも言われたことだし、彼女の側には居られる時に居ておこう。
「ふふ、タケシったら大人気ね。」
「男冥利に尽きるよ。」
ローナの一言で、なんとなく本当の兄のような気分になった。
……ラウもリーシアも体が小さいからかな?
「……がう。」
「グル。」
「くぅ。」
すると、部屋の端でフェルが少し寂しそうに鳴いたかと思うと、サティがぴったりと側に寄り添う形で寝転んだ。
なんとなく申し訳ないが、今回は我慢してもらう。
「それじゃあ、ラウちゃんの事はタケシに任せるわ。」
「おう、任された。」
「えぇ、お願いね。わたしはフェルちゃん、サティちゃんと一緒にベルちゃんの部屋にいってくるわ。」
「あぁ、わかった。」
そして、ローナは気を遣ってくれたらしく、俺とラウを二人きりにしてくれるようだ。
「それじゃ、フェルちゃん、サティちゃん、ちょっとだけわたしに付き合ってくれるかしら?」
「ガウ。」
「グル。」
ローナは微笑みながらフェルとサティに話しかけ、フェルたちも頷きながら鳴いた。
「いい子たち……あとでタケシにたくさん遊んでもらいましょうね。」
「がうっ!」
「……グル。」
「えぇ、それじゃ行きましょう。」
ローナはフェルたちと普通に会話を成立させ、部屋の扉を開ける。
「ローナ。」
ローナが出て行く前に俺は彼女を呼び止めた。
「なにかしら?」
「ありがとう。」
不思議そうに振り向く彼女に対して、俺が口にしたのは感謝の言葉。
「ふふっ、いいのよ。今はラウちゃんの事だけを考えてあげて?」
「本当に助かるよ。」
その言葉にローナは優しく笑いながらそう言い、俺も笑いながら言った。
–––パタン
やがて、扉が閉まる。
ローナは本当にいい女性だ。心からそう思う。
……ちょっと天然だったり、ポンコツなところもあるけど。
「………ねぇ、おにーさん。」
「ん?どした?」
俺がローナの素晴らしさを再認識していると、黙り込んでいたラウが口を開く。
「その……ごめんなさい………迷惑かけて。」
「なにを言い出すかと思えば……別に迷惑じゃねぇよ。むしろ、シアの人間に対する認識を甘くみていた俺が悪い。
だから、気にするな。」
いきなり謝るシアに、俺は思ったことをそのまま口に出した。
「………ほんと、おにーさんってお人好し。」
すると、シアはさらに重心を傾け、俺に体を預ける。
「なに言ってんだ……俺は身内にしか甘くないぞ?」
「もう………そういうところだよ……」
「はてさて、なんのことやら。」
生憎様、俺にはシアの言葉の意味がわからないね。
《……嘘つきですね。》
シアには嘘ついてないし。しらばっくれてるだけだし。
《そうですね。》
シュティの言葉に反論していると
「……おにーさん……もっと………」
シアが抱きつく力を強めて呟く。
「承知しました。俺の精霊様。」
俺は格好をつけながら抱きかかえるようにシアの背中に腕をまわす。
《それでは、わたくしも心ばかりですが支援致します。》
唐突にシュティが一言そう言うと、手の甲にあるシアの紋章が少し熱くなる。
すると、俺の魔力がゆっくりと優しくシアに流れ込むのが感覚的にわかった。
「あっ………ふふっ……ずるいね……そういう事しちゃうんだ………」
それに気がついたシアは表情を崩しながらそう言った。嬉しそうに、儚げに笑みを浮かべる。
「嫌か?」
一応、シアに確認すると
「ううん……あったかくて……とっても落ち着く………」
「そうか、なら良かった。」
全く問題ないようで一安心。
シュティさん!グッジョブ!
《全ては主様が為に。》
あらやだイケメン……!惚れそう!
《わたくしが恍惚の海に溺れそうなので困ります。》
なんか言い回しが怖い……
そんな優秀すぎるスキルに一抹の不安を覚えていると
「もう少しだけ……わがまま、言ってもいい?」
シアが俺を見上げてそう言った。
「いくつでも、何度でも。」
俺はすぐさま答えた。
「ありがと………それじゃあ……少し、横になりたいかな。」
「あいよ。」
シアの要望により、俺たちはベッドに横になる。
俺たちは向き合って密着している。あと、ラウってやっぱいい匂いする。
「……うん、これがすごく安心する。それに、おにーさんいい匂い。ふわふわしてて優しい。」
「男はいい匂いがするとは思えないんだが……」
シアの言葉を受け、自身の匂いなどに気をつかっている訳でもない為に、今さらながらに少し心配になった。
「あはは、心配しなくてもいい匂いだよ。少なくともわたしは好き。」
すると、シアが俺の心情を見事に読み取ってそう言った。
「まったく……もの好きめ。」
「おにーさんに言われたくないな……」
「間違いない。」
お互いに苦笑しながら話す。
そんな中、シアがこう言った。
「……そういえば、一つ聞きたいことがあるんだけど。」
「ん?なんだ?」
なんとなく質問の内容は予想できているが、別にやましいことはないので答える事にした。
「リーシアって子のこと。」
「あぁ……うん、いいぞ。」
予想通りの質問に俺は細心の注意を払って答える心構えをする。
理由は単純に俺が人間と仲良くしてるから。
シアからすれば人間はトラウマの大元だ。そんな彼女の心に憎しみや戸惑い、恐怖なんかがあってもおかしくない。
「ありがと……それで、おにーさんはあの子の事どう思ってるの?」
「……どう、とは?」
具体的とはいえない質問に、もう少し切り詰めてもらえるよう促す。
「そうだね……簡単に言えば、おにーさんは今後あの子とどんな風に接していくのか、って事かな。」
「それはもちろん、妹的な存在としてだけど……」
シアの質問に対して俺はそう答えた。
「……そっか。うん、ありがと。」
すると、シアはただ頷きながら一言呟いただけだった。
「もういいのか?」
あまりにもあっさりと終わったシアの質問に、俺はつい聞いてしまった。
「うん……今はおにーさんを独り占めできる貴重な時間からね……それに、他の女の子の話題もあんまり楽しくないし……」
ぎゅっ、と俺の胸元を掴んでシアははにかむ。
「それもそうか……ま、今はシアだけのことを考えるさ。」
これは少し照れくさいぞ……いや、嬉しいけどさ。あんまり真っ直ぐに表現されると………その、ね?
《女神にそう言わしめるほど主様には魅力があるという事です。》
はいそこ!参加するんじゃありません!
「……………お、おにーさん。」
「ん?」
「その………えっと……」
「ゆっくりでいいぞ。」
シアが何か言いたげにしているので、ゆっくりと頭を撫でながらそう言った。
「……えっとね?………す…好き……///」
しばらく待っていると、シアが紅潮させた顔を俺の胸にうずめながら静かに言った。
「……シア、急にそれはずるいわ。」
俺の心に反響するその言葉。
シアが初めてはっきりと言葉にして出した、その事実が俺の心を大きく揺さぶる。
「だ、だって……おにーさんが魔力流し込むから……!頭が痺れて………なんだか……変な気分になるんだもん……」
顔を上げて尻すぼみに言ったシア。
「え……それ、関係あるのか?」
まさかの急展開、その原因に驚く。
「あるよ……だって…おにーさんの……わたしの中でじわぁ、って広がって……あったかくて……クセになりそうで……撫でてもらってる時よりもずっとおにーさんを感じられるて……すごく気持ちいい………」
そう言う彼女の表情は紅潮していることもあってどこか色っぽく、惚けた瞳が艶やかだった。
あれ?………なんか、エロくね?ねぇ、今すっごい変な雰囲気なんだけど?つか、ここ他人の家なんですけど!?
シュティさん、もしかして俺の魔力いじってシアに流した?
《いえ、何もしておりません。ただアルラウネに主様の魔力をそのまま流し込んだだけです。
源泉掛け流しです。》
わぁーい、じゃあ俺の魔力の性質かー……って、俺の魔力は危ないお薬か!!自白剤かなにかですか!?
《申し訳ありません。わたくしとした事がこういった可能性を考慮していませんでした。今すぐに魔力供給を停止します。》
うん、悪いけどそうしてくれ。
俺がそう頼むと、すぐに魔力の供給が停止する。
「あ………」
すると、シアが寂しそうな表情を浮かべて声をあげる。
「すまん、シア。けど、流石に他人の家でこれ以上はまずい。」
そんなシアに俺は説得を試みるが
「……やだ。」
見事に一蹴された。
「やだ、って……そう言われても……」
「お願い……もう少しだけ……」
そして、今度はシアから紋章にアクセスしてくるのがわかった。
「…………だめ?」
「……俺が原因だし、仕方ないか。」
縋りつくようなシアの言動と表情に罪悪感を覚えた俺は承諾してしまう。
《よろしいのですか?》
おう。
それに、提供する魔力を少なめにすれば大丈夫じゃないか?
《……承知しました。》
そのシュティの言葉を機に、また魔力がシアに流れはじめる。
「……うん。ありがと、おにーさん。」
「……おう。」
愛らしく笑う彼女に俺は若干……いや、かなり照れくさくなりながら返事をした。
「なんでかな………恥ずかしいね。」
少し表情から赤みがひいてきたシアがはにかみ、そんなことを言った。
「面と向かって言われると困るな……」
俺は視線を明後日の方向に向けてそう呟く。
「あはは、否定しないって事はおにーさんもなんだね。」
シアはどこか嬉しそうに笑いながら言った。
「まぁ、な。」
微妙に気まずくなった俺は一言だけ答える。
「だよね。さっきも無愛想な返事だったし、今も目を合わせてくれないし……それに顔、赤いよ?」
「やめてくれ……」
クスクスと笑いながら話すシアに、俺はただそう言うしかなかった。
さて、これからどんな事を話したらいいのやら……
そんな事を考えていたその時だった。
–––コンコンコン
誰かが扉をノックする音が聞こえた。
「!?……びっくりした。」
シアにばかり気を取られていたので、他のことに気を配る余裕などなかったのだ。驚きのあまりに起き上がってしまう程には。
「あはは、おにーさんが珍しくびっくりしてる。ビクッてなってたよ?」
「ほっとけ、恥ずかしい……」
「あっ!?おにーさん!髪の毛乱れる!」
おもむろに起き上がったシアにまた笑われながら指摘されるが、雑に頭を撫でながら受け流す。
「お兄様、いらっしゃいませんか?」
そんな事をしていうちに、扉をノックした人物が外から声をかけてくる。
どうやら、先ほどの約束の通りに俺の所へ来たようだ。
「……」
「……どうしたの?返事しないの?」
黙り込んだ俺にシアが不思議そうに聞いてきた。
黙った俺の胸中にあったのは、『ここですぐに返事をして出て行くとシアがどう思うのだろうか?』という不安だった。
そこで、俺はこんな事を提案する。
「なぁ、シアも来るか?」
すると、彼女は
「ううん、いい。……わたしがおにーさんを独り占めできる時間は終わり。今度はあの子の番だよ。」
春に咲く花のように柔らかく笑い、そう言った。
「いいのか?」
我ながらよくもまぁ聞けるものだ、と呆れながら愚問を口にすると
「うん、今はおにーさんが魔力をくれてるからね。おにーさんが側に居てくれてるのがわかるよ。
だから、大丈夫。」
彼女は変わらない笑顔のままで健気な言葉を送ってくれた。
「そうか……すまん。」
「むぅ、おにーさん。そこはお礼を言うとこだよ?」
俺の謝罪に対し、少し頰をむくれさせて彼女は言った。
「それもそうか。ありがとう、シア。」
シアの言葉を受けてお礼を言うと
「うん。ほら、早く行ってあげて。あの子が待ってるよ?」
彼女はそう言って俺の背中を押す。
「おう、ちょっと行ってくる。さんきゅ、シア。」
「うん。」
俺はシアに礼を言いながら立ち上がって扉まで歩みを進め、取っ手をひねりながら外にいるリーシアに話しかける。
「いるぞー」
「お兄様!もう、いらっしゃるのであれば早めにお返事をしてくださいませ。わたくし、部屋を間違えたのかと不安になりましたわ。」
「すまんすまん。」
部屋の前にいたリーシアは、俺が扉を開けた瞬間に目をキラキラと輝かせたかと思えば、その直後には『むぅ』と頰を少し膨らませてスネたようにそう言った。
ほんと、コロコロと表情が変わるなぁ……
「ですが、それは過ぎたことです。お兄様を困らせたくありませんので文句はもう言いませんわ。」
感情表現が豊かなリーシアに感心していると、俺が弁明する暇もなく彼女が引き下がった。
ほんまにええ子や……お義兄さん泣きそう……
「それではお兄様。お庭へ参りましょう♪」
リーシアは両手で自然な動作で俺の腕を引き、声を弾ませてそう言った。
「あぁ、そうだな。」
本当に嬉しそうに笑うリーシアに俺も笑みがこぼれる。
こうして俺はリーシアと一緒に庭へと向かった。
ただ……
「お兄様、着きましたわ。」
「………なぁ、庭にしては広くね?庭にもう一つくらい家建てても余るよね?」
「そうでしょうか?お屋敷を作るには少し狭いと思いますが……」
「そうだった……リーシアって貴族だった……」
「?」
庭の広大さと貴族の感覚に呆れることになった。
隊長「おい貴様!中途半端に話を区切りよって!何がしたかったんだ!?」
作者「いやね……本当はリーシアとほのぼのお話する辺りまで書く予定だったんです……でもね?投稿期間がさ……その、ほら、ね?」
隊長「そうかそうか……貴様、アレか。今まで待ってくださっていた読者の方々に早めにお届けしようと功を焦ったな?
最終考査が終わって一週間近く!さらにはAC7をあれだけ楽しんでおいて戯言を言うではないか!!」
作者「うぐっ……!?だ、だって!卒業判定が出るか否かの瀬戸際のテストだったんだもん!AC7も始めたの2日前だし!!
つうか!持病の定期検診とバイトと親友の妨害で書けなかっただけだし!これからめっちゃ書くし!
ぶっちゃけると!とある人物の超かっこいい話の妄想が止まらなかっただけなんだけど!!」
隊長「だからそれを投稿できるように続きを書けと言っているのだ!馬鹿者!
というか、いつ投稿する予定の話だ!?見せ場と決め台詞しか考えておらんだろうが!!」
作者「仕方ないじゃん!俺はせっかちなんだよ!起承転結の中で『起と結』しか頭にないくらいだよ!」
隊長「まさに『帰結』とでも言うつもりか!?まったくもって上手くないぞ!」
作者「うるせぇ!ちくしょう!あと、茶番長くてごめんね!」
隊長「それではまた!」
作者・隊長
「「次回!《Ded・or・Die》!お楽しみに!」」




