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番外編【懐かしきクリスマス】


メリークリスマス!

え?今日はもう26日?

いやだなぁ!ユダヤ暦でいえば25日の夜から26日の夕方までがクリスマスですよ!

だから今もまだクリスマスです!(あまりにも強引)


 


 ー12月25日・夜ー



「タケくん!メリークリスマス♪」

 –––パーン!


 つい先ほど、おもむろに部屋から出て行ったクミさんがドアを開けてそう言った。

 その手にはクラッカーが握られていて、発言と同時に音を響かせる。


「………あの、クミさん?」


 そんなクミさんの突然の行動に俺は驚きを隠せなかった。

 ……というより呆れていた。


「なぁに?どうしたの?そんな顔して。」


 不思議そうに首をかしげるクミさんに


「いえ、どうしたもこうしたもありませんよ……なんですか、ソレ。」


 俺は指をさして淡々と問いただす。



 なぜって?

 そりゃあ、いきなり腹出しミニスカサンタコスで登場されたら驚くだろ?



「タケくん。今日は何月何日?」


 クミさんは俺の質問に答えることはなく、逆に質問をしてくる。


「……12月25日ですけど?」


「そうね、クリスマスね。」


 俺が律儀に答えると、世間的に言われているその日の名称がクミさんの口から飛び出した。


「はい、そうですね。だからって、どうしてサンタのコスプレを?いくら暖房をつけているとはいえ流石に風邪ひきますよ?」


 それを肯定しながらも、俺はクミさんの心配をする。


「タケくんって意外に夢がないのね……せっかく用意したのに………そんなに似合ってないのかしら?」


 すると、俺の心配を尻目に落胆したクミさんはソファに腰掛けると、むーっと頰を膨らませて拗ねてしまう。


「あっ、いえ、似合ってますけど……目のやり場に困ります。」


 流石に焦った俺はなんとかフォローを入れるが


「あらあら♪タケくんはまだ小学生なのに……ふふっ、おませさんなのね?」


 からかわれてしまった。


「いや、逆にガン見されたらどう思います?

 ていうか、俺は来年から中学生ですよ?」


 なので、逆の状況になったらどうするのかを聞いてみると


「別に見てくれて構わないわよ?むしろ、見せる為に着てるの。

 それに、中学生でもまだ子どもだから気にしないわ。」


 クミさんの自信家な部分が垣間見えた。


 あくまでも恩人として尊敬している人なのであまり不愉快な思いはさせたくなかったが……


「……クミさんってもしかして痴女ですか?」


 つい、思った事を口走ってしまった。


「あら……いったいどこでそんな言葉覚えてきたのかしら?お姉さん悲しいわ。」


「すみません本当はそんな事思ってないです。」


 微笑みを浮かべたまま圧力をかけてくるクミさんに俺は思わず早口で謝罪する。


「よろしい。……ところで、その……どうかしら?」


「どう、とは?」


 クミさんは言いよどみながら俺に質問してくるが、残念ながら意図が汲み取れなかった。


「か、かわ……かわいい………かしら?」


 すると、クミさんは少し顔を赤くさせ、目をそらしながら指で髪をくるくると巻く仕草を見せる。


「!……えぇ、もちろんです。可愛いですよ、それにとても綺麗です。」


 自信家だと思っていたが、内心では気になっていたようだ。

 そこで、俺は思った事をそのまま伝えた。


 艶やかな黒い長髪で眉目秀麗、長く綺麗な足、その上スタイルも抜群だ。クミさんに似合わないはずがない。


「そう……なら良かったわ。ふふっ、着た甲斐もあったものね。タケくんの笑顔が見られて嬉しいわ。」


 そう言って微笑むクミさんは慈愛に満ちていて、見ているだけで心が安らいだ。


「はい、ありがとうございます。でも、風邪ひいたら大変ですからもう着替えましょう?」


 しかし、それでも俺は心配だった。


「ふふ、これくらい大丈夫よ。部屋も暖かいし、寒くなったらタケくんを湯たんぽ代わりにするわ。」


 のんきに笑うクミさんだが


「いや、そんな事してたら本当にお腹壊しますよ?今日の最高気温は一桁だったんですよ?日が暮れた今はもっと寒いんですから。」


 俺もなんとか食い下がる。

 先も言った通り、今日はすごく寒い日なのだ。


「あら?タケくんは私に抱きつかれるのは嫌なの?」


 すると、クミさんは困った表情を浮かべ、唐突に聞いてきた。


「あ、いえ、そういう訳じゃないんですが……」


 思いもよらない質問に口ごもると


「あら、照れてる顔もいいわね♪

 それに、明日からは休みだから体調崩しても大丈夫よ。」


 クミさんは気楽に笑いながらのたまった。


「それこそダメですって!休みなら元気な状態で過ごしましょうよ!」


 俺が正論で反撃すると


「せっかくタケくんに看病してもらうチャンスなのに……」


 怒られた子犬のようにシュンと縮こまるクミさん。

 しかも、とんでもない事を言い出した。


「だから、体調崩して欲しくないんですって!ていうか小学生に頼らないで下さいよ!?」


 俺はクミさんが何をしたいのかわからなくなってきたが、とりあえず説得を続けた。


「むぅ、そこまで言うなら……タケくん、こっち来て。」


 すると、説得の末にクミさんが頰を膨らませて諦めたのかと近づくと


「はぁ、今度はなんですか……って、おわ!?」


「ふふっ、これで安心ね♪暖かいでしょう?」


 不意にクミさんに抱きしめられた。


 ……あったかくて柔らかいし、なんかいい匂いがして落ち着くのがなんか悔しい。でも、落ち着くからこのまま……いや、でも風邪をひかれたら………うん、もういいや。


「………はぁ、少しだけですよ。」


 結局、誘惑に負けて承諾してしまう。


「そうこなくっちゃ。」


「満足したらちゃんと着替えて下さいね。」


「もちろんよ♪」


「あと、お腹すきました。」


「じゃあ、このまま一緒に食べる?」


「二人羽織ですか?嫌ですよ。普通に食べさせてください。」


「なるほど、タケくんは私に料理を食べさせてほしいのね?」


「揚げ足を取らないでください。そういう意味じゃないです。」


「私は別にいいわよ?」


「………クミさん、貴女ダメ人間製造機って言われませんか?」


「………………言われた事はないわ。他の人にはここまでしないもの。」


 俺の質問にクミさんはバツの悪そうな表情を浮かべて顔をそらした。


「でも自覚はあるんですね。」


「私はただタケくんのお世話をするのが好きなだけで……」


「嬉しいですけど、それだと俺がダメ人間になります。」


「たとえタケくんがダメ人間になっても私が一生養ってあげるわ。」


「からかうのもいい加減にしてください。俺が本気にしたらどうするんですか。」


「あら、ごめんなさい。ふふっ……楽しくてつい。」


「はぁ……俺自身も本気にしてしまいそうで怖いです。」


「ふふっ♪」



 クミさんに引き取られてから初めてのクリスマスはこんな風に過ごした。

 なんだかんだ言いながらも、とても幸せで、クミさんの暖かさとかけ合いが心地良かったのをいまだに覚えている。





作者「一つだけ言い訳させて下さい。」


隊長「聞いてやろう。」


作者「書いてる途中で友人から電話がきたんですよ!しかも!電話が0時手前まで続いたんです!

なんで野朗とこんな時間に電話しなきゃいけないんですか!!相手は彼女いるから余裕だし!」


隊長「無様だなぁ?」


作者「うわぁーん!こんな世の中なんて否定してやるぅー!」(;´༎ຶ۝༎ຶ`)


隊長「うわ、キモ……」


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― 新着の感想 ―
[一言] 誤解されたタケシは、久美さんの話を十分に聞かずに、遅らせただけで和解するための一歩を踏み出さず、久美さんが去ったとき、私は彼に気分が悪い。その章を読んだとき、本当に泣いたことを今でも覚えてい…
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