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女心には細心のご注意を


テスト期間中の方が話が書きたくなるのはなぜでしょうか?

疑問が尽きぬ今日この頃です。


そして、総合17万PV突破ありがとうございます!


それでは、いつもより少し短いですがどうぞ!


 


 一悶着あった後、俺たちはリビングでそれぞれ席に座っていた。



 さて、全員揃ったことだし明日の予定を伝えようか。


「みんな、少し話がある。」


 俺は1人掛けのソファに座り、その周りに居る全員に話しかける。


「おにーさん、急に改まってどうしたのー?」


「なにかしら?」


「興味ありません。」


「ガウ?」


「……グル。」


 すると、全員が俺の言葉にそれぞれの反応を示す。

 つか、ベル、お前に限っては聞いてくれると思っちゃいねぇよ。


 ちなみに、俺から見て左側のソファにラウが座っており、右側のソファにローナが座っている。ローナの後ろにベル静かに佇んでいる。

 そして、サティとフェルは俺の足下にいる。……俺だけギャングのボスみたいな絵面だ。


 《実際、この家の主人ではありませんか。》


 そうだけどそうじゃないんだよなぁ……まぁ、気を取り直して話を進めよう。


「突然だが、明日、街に出かける。サンスクリード王国のシュトルツって街だ。フェルとサティも連れて行くつもりだ。」


「ガウ!?ガウッ!ガウッ!」


「……グル。」


「……っ!」


 すると、いの一番に反応したのはフェルだった。尻尾をブンブン振り回してながら『ほんと!?やった!やった!』みたいな感じで吠えている。無邪気でかわいい。

 サティは……別に嫌な訳ではないらしい。


 まぁ、前に街に行った時はフェルやサティ、ラウはお留守番だったからな。少なからず興味はあるのだろう。


「あら、いいわね。タケシが行くならわたしも行くわ。タケシとならどこへでも。」


 それに続いてローナも賛成する。

 ……本人にその気はないかもしれないが、いちいち俺を喜ばせてくれる。


「仮とはいえ、主の行く先がわたくしの行く先です。そうでなければわたくしの冥土としての秩序に反します。」


 ベルは不機嫌そうな表情を見せながらも、一緒に行く選択をする。

 ……セル爺さんを見れば少しは態度を……いや、ないな。


 ベルがセル爺さん見習ってくれるかどうかを考え、その結論を出すと、シュティが話しかけてくる。


 《諦めが早いですね。》


 うん、だって同類だし。


 《……その妙な仲間意識はなんですか。》


 珍しいから。


 《アバウト過ぎませんか?》


 そんなもんだろ。


 《そうですか。》


 そうだろ。


 《では、そういうことで》


 おう。



 シュティとの会話もそこそこに。



 ここまではまだいい。ただ、問題なのはラウだ。


「……。」


 少し暗い表情をして黙り込んでいる。

 そこで俺は彼女にこう持ちかける。


「ラウ、これは強制じゃない。俺はラウの意思を尊重する……だから、行きたくなければそれでいい。」


「……。」


 しかし、彼女は何も話さない。

 俺はそれを気に留めず話を続ける。


「ローナやベル、サティにフェルは連れて行くが、別に来なくても怒りはしないさ。だから……「おにーさんはどうして欲しい?」


 すると、彼女は俺の言葉を遮ってそう聞いてきた。


「どうして欲しい、と言われても……ラウのしたいようにして欲しいけど……」


 まさか意見を聞いてくるとは思っていなかったので、俺は少し困惑しながらそう返した。


「違う、そうじゃない。わたしは行きたくない……けど、おにーさんはわたしに来て欲しいの?来て欲しくないの?」


「それは……」


 ラウの質問の意図がイマイチ汲み取れない。


 俺自身、ラウには来て欲しいとは思うが、行きたくないと言うなら強制はしたくない。


「どっち?お願い、答えて。」


 言い淀む俺にラウは真剣な表情で迫ってくる。


「……俺としてはラウに来て欲しい。」


 だから、俺は端的に意思を伝えた。


「……そっか、じゃあ、わたしも行くよ。」


 すると、ラウはふっ、と表情を崩しながらそう言った。


 (……納得できない。)


 しかし、ラウのその行動に納得できない俺がいた。

 さっきの笑顔が俺の胸の内に何かをつっかえさせる。


 《どうしてですか?》


 シュティは疑問に思ったらしく、それを俺にぶつけてきた。それに俺はこう答える。



 ラウの言葉にはあいつ自身の意思が感じられない。まるで俺の行動に対してラウが従属してるような感じがする。



 《その従属の決定をした、という事実が彼女の意思と捉える事も可能ですが。》



 ……そうかもしれないが、さっき、ラウは『わたしは行きたくない』と明確にそう言った。それを俺がねじ曲げてしまったような気がしてならない。



 俺の胸の内に存在する、罪悪感や不快感などいったものとは違うモヤモヤとした何か。それが身じろぎをしたような感覚。


 《お言葉ですが、意思を尊重する、そう言ったのは主様(あるじさま)ではありませんか。それならば、彼女がどのような感情を抱え、悩もうとも最終的な決断をするのはあの者です。》


 なんとも言えない形容しがたい感情にとらわれる俺にシュティはそう言った。


 (…………)


 黙り込んだ俺にシュティは続けて言い聞かせるようにこう言った。


 《主様は優しすぎます。例え、主様が納得出来なくても神はその独善的な思考から意思決定を行う事もあるのです。》


 (……本当にこれでいいのか……本当に、本当に?)


 ラウの過去を知っていれば、誰だってためらうであろう言葉を俺はあえて発した。

 そして、その結果として彼女の意思をねじ曲げてしまった。


 俺はそれが正しいとは思わない、だが、悪い事なのかといえば……そうとも言えない、言い切れない。



 ラウがそう決めたのだからそれでいいのか?彼女が俺の為にあんな顔をしてまで……?俺にはわからない。



 《不敬を承知で申し上げます。》


 考え込む俺にシュティが痺れを切らしたように言い放つ。


 《他者の意見を重んじるのは結構ですが、そうやって何時までもうじうじとするくらいならば少しくらい強引に行動して下さい。主様の優しさは他者にとっては良いものです。ですが、その優しさが必ずしも常に正しいとは限りません。

 それに、女性とは時に男性に引っ張られたいものです。》


 っ……!


 その瞬間、初めて俺はシュティに叱りつけられた。

 普段から俺の言動に対しては賛同し、過剰なまでに褒め讃えるシュティに。


 ……そうだな。うん、そうだ……ラウ本人が行くって決めたんだからそれでいいじゃねぇか。それで何かあったとしても俺がラウの力になればいい、それだけの話だ。

 ぐだぐだ考えるなんて俺らしくないな!テキトーにゆる〜く、軽ーく!それが俺の方針だ!


 だが、そのシュティの言葉に俺の迷いも晴れる。さっきまでの感情が嘘のように綺麗さっぱり消え去った。


 《はい、その意気です。》


 シュティ、ありがとな。


 《いえ、この程度の事ならばお礼を頂く程の事ではありません。それに……》


 俺がシュティに礼を言うと、なにやら気になる発言をする。


 ん?それに?


 《主様には感謝してもしきれぬ恩義が御座います。それ故に、わたくしもまたここに存在します。》


 いやいや……単に名前つけただけじゃん。それこそ、礼なんていらねぇよ。


 俺自身、本当に大した事じゃないと思っているので、思った事をそのまま伝える。


 《……ふふっ、主様は何もわかっておられませんね。》


 すると、シュティは優しい口調で静かにそう言った。


 え?ちょっと待って、どういう事?なにその意味深な発言!?


 《なんでもありません、それでは。》


 あっ!?逃げるな!


 先の発言の真意を問いただす前にシュティは話さなくなってしまった。あんにゃろう……気になる事だけ残していきやがった。



 閑話休題(それはそれとして)



「……わかった。じゃあ、明日はここに居る全員で街に行こうか。」


 俺は周りを見渡してそう言った。


「えぇ、そうしましょう。」


「うん。」


「承知しました。」


「ガウッ!」


「……グル。」


 その言葉に全員が反応する。


「……一つ、よろしいでしょうか。」


 しかし、ここでベルが手を挙げて口を開いた。


「ん?どうした?」


 俺がベルに対して反応すると、彼女は相変わらず冷たい瞳でこう質問してきた。


 ……こいつ、表情筋死んでるんじゃねぇの?


「街に行くのはよろしいですが、これだけの大所帯です。目立つのは確実として、わたくしを含めて三名の女神がおります。さらには、魔獣二頭を街に連れ込むのは問題になるかと。」


 それは至極当然の質問内容。


「それもそうね……」


 ローナも言われてみれば、と思案顔だ。


 しかし!そこは心配ご無用!なんといっても直接ルイスさんの家に転移するからな!街の検問なんぞ知らん!


 そんな訳で、俺はベルに説明する。


「あぁ、それは問題ない。すでにそこの領主とは話がついてる。魔獣のサティやフェルの事も話してるよ。」


「杞憂でしたか、それは重畳です。面倒ごとはご免ですから……あぁ、それとわたくしの表情筋は死んでいませんのであしからず。」


「お、おう……」


 すると、ベルは目をそらしてそう言った。


 ベルが何気なく俺の思考読み取りやがった!?怖ぇ……


「流石ね、タケシ。それなら安心だわ。」


「おう、俺は意外と優秀だぞ?」


 ベルの予想外の言葉に戦慄していると、ローナから褒めの言葉をもらった。

 それに対して笑いながらそう返すと……


「え?変態の間違いじゃないの?」


 ラウが素知らぬ顔で素早く言葉を突き刺した。


「ん?おいこら、今なんつった?」


 笑顔を浮かべながらラウの方を向き、一度聞き返す。


「……だから、変態。」


 ラウは紅茶を一口飲んでから しれっ とそう答えた。


「あの、ラウ……「ラウちゃん、男の子は一年中発情期らしいわよ?だから、たとえタケシが変態でも仕方ないのよ。」」


 すると、俺が発言する前にローナからまさかのフォローがあった。しかも、真剣な表情で、だ。



 俺は頭を抱えた。



 ちくしょう!純真無垢なローナにそんなこと吹き込んだの誰だ!さては最上位神か!?少し前にも似たような事あったぞ!?


 《あぁ、あの【砂糖製造空間】の事ですか。》


 そうだよ!思い出させんな!恥ずかしい!


「……ぷっ。」


 そして、ローナの後ろにいるベルから声が漏れる。


「……」


 そんなベルに抗議の視線を向けると


「おや、これは失礼しました…………ふっ……」


 それに気がついたらしいベルは口元を手で隠しながらそう言った。


 おい、笑い抑えられてねぇぞ……


 まぁ、それは今はいい。それよりもラウとローナに質問だ。


「……なぁ、俺ってそんな扱いなの?もしかして俺が思ってる以上にラウとローナからの評価って低い?」


 そんな俺の質問に対して


「ううん、そんな事ないわよ?急にどうしたの?」


 ローナは不思議そうに


「うん、そうだよ。おにーさんはわたしの『特別な人』で『契約者』だから、評価が低いなんて事はないよ。」


 ラウは()()でそう答える。


「……あ、うん、ありがとう。」


 俺は二人の回答に頷くしかなかった。

 その理由は、なぜかラウから底知れぬ圧力をかけられたのだ。


 なんだろう……ローナはともかくとして、ラウの笑顔が笑顔じゃない……笑ってるのに笑ってない。それに、言葉の一部になんか棘を感じる。


 《主様、女性は結構根に持ちますよ。許した、と口では言っていても心の奥底では不安なんです。》


 え?さっきのこと?えぇ……率直に言ってめんどくさい……


 《主様?女性は面倒くさい生き物です。》


 いや、ラウは女神じゃん?


 《女神も人も本質は大して変わりません。そんな事を言っていては精神がもちませんよ。》


 ……ソウダネ。ソウダヨネ、男は単純だもんネ。


 どうやら女性特有のソレは世界共通らしい……あ、異世界でも、な。


 《ふふ、主様?そう深く考えずにゆったりと、どっしりと構えて下さいませ。たとえ主様が刺される事になろうとも、わたくしが必ず守って差し上げます。》


 待って!なんで俺が刺される前提なの!?その優しい口調がなんか余計に不安を煽るんだけど!?

 確かに安心と信頼の実績はあるけど!あるけど!!なんか嫌だ!!


 俺がげんなりとしていると、シュティが優しい口調で恐ろしい事を口にした。そのシュティの言葉に謎の説得力があるのはどうしてなんだろうか?


 《その様な事態に至らない為にも善処して下さいませ。》


 は、はい……頑張ります……なんか……もう既に刺された気分になった……今後の言動には特に気を使おう……


 《はい、それがよろしいかと。》


 ……忠告ありがとう。


 《いえ、お気になさらず。》


 うん……うん……なんか疲れた……



 そんなこんなで、急に疲労感に襲われた俺は


「……ちょっと風呂に入ってくる。」


 風呂へと癒しを求めた。


「え?もう?今日は早いね?」


 すると、ラウがそう反応する。

 確かに時間的には夕方を回った頃なので、いつもと比べればまだ早い。


「あぁ、うん、おかげさ……じゃなかった、なんか急に疲れてな。」


「ふーん……そっか、わかった。いってらっしゃい。」


 そう言ってのっそり立ち上がった俺に、ラウは釈然としない返事をした。


「?……おう。」


 しかし、俺はそれを特に気にする事もなく風呂へと向かう。




 その後ろでラウが怪しい笑みを浮かべているとも気がつかずに……






作者「なにやら怪しい雲行きですねぇ……(笑顔)」


隊長「なにを笑っているのだ貴様は。」


作者「ここから下は次回のネタバレになるのでご注意を。





次回はお風呂……怪しく笑う少女……ローナのとある約束……後は、わかるな……?」


隊長「……ふん、なんだそんな事か。」


作者「男ってそんなもんなんですよ……残念ながら。」


隊長「本能の権化だな。」


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