想定外
今日更新は無いと言ったな?あれは、嘘だ
資格試験?いい奴だったよ・・・・
はい、書きたかったから書きました
出来上がったら即・投・稿
反省はしている、後悔はしていない(2017/9/22)
今、俺と彼女は再び席に着いて紅茶を飲んでいた。
彼女がいきなり泣き始めるという想定外な事態が発生したが、すでに泣き止んで落ち着きを取り戻している。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
き、気まずい・・・さっきは感情のままに叫んだので何も思わなかったが、冷静になって考えるとめちゃくちゃ恥ずかしい!
なによりも先程までの感触が忘れられない。
女性特有の良い香りと体の柔らかさ。
胸元に顔を埋めていた為に鳩尾辺りで潰れるたわわな双丘。
最高級のシルクかと思うほど滑らかで艶のある純白の髪。
白い肌が泣いていたことで上気し、眼前にあった美しい顔。
極めつけは離れる時に小さく『あっ・・・』と少し名残惜しそうに声を漏らした事は、今思い出しても悶絶モノである。
ちらりとローナの方を見ると目が合う。彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「あ、あの女神様?」
気まずさから抜け出そうと声をかける。
すると、彼女はうなずいたまま
「ロ、ローナです。呼び捨てにしてくれなきゃ嫌です。・・・・・折角、貴方が付けてくれたのに。」
「あ、はい。」
尻すぼみにそう言う彼女に、俺は思わず敬語に戻ってしまう。そこで会話が途切れ、どうしたものかと思案する。しかし、ローナは両手にカップを持ったまま、ちらちらとこちらを伺う様に見てくるだけである。
ああ、何とも愛らしい姿だろう。
いやいや、和んでいる場合では無い、何か話題を見つけなければ。そうこうしている内に彼女は不意に顔を少し上げ
「そういえば、私の名前ってどうやって決めたの?」
俺の内心を読んだのか彼女から話を振ってくれた。
ただし、上目遣いで。うん、めっちゃ可愛い。
だが、今は説明が先だ。
「ああ、それはな。君の言っていた『名も無き』と『主』から取ったんだ。
名も無きの頭文字『ナ』と、主を英語読みしたLordの『ロ』で、女性らしい名前に組み替えて【ローナ】の出来上がり。まぁ、これは君の記憶を見た時に思い付いたんだけどな。君の悲しい歴史たる所以を、出発点として新しく始められるようにって。簡単なものだから嫌だった?」
頰が緩みそうなのを必死で我慢しながら説明する俺に彼女は猛烈な勢いで首を左右に振り、器用な事にカップの紅茶を零す事なく
「全然嫌なんかじゃない!!!嬉しいに決まってる!!」
「お、おう。 それなら良かったよ。」
彼女の勢いに若干気圧されながら返答する。気に入ってくれた様で何よりである。
というかあなた、さっきから幼児退行してない?
そんな見た目は完璧で、中身は子どもの様な何とも愛らしい女神とのやり取りで気まずさが少し紛れたのでこちらから話題を振ってみる。
「ローナ?あのさ・・さっきの一緒に何処かの世界で2人で暮らそうっていうの結構本気だからさ、良かったら考えといてくれ。」
あれはまぎれもなく本心である。
ほんの少し時間ではあったものの彼女と過ごした時間は、今までに感じた事がない程心地よく楽しく愉しいものだった。
決して弄った時の反応が面白かったからでは無い。無いったら無い。
それに、あんな【記憶】を見せられて知らないふりなど出来るはずがない。
孤独はひどく辛い。
それを俺は知っている。
大切な人が居なくなる絶望も、喪失感も、無力感も、悲しみも。
「へ?・・・え?ほ、本当?本当に?絶対?絶対に約束してくれる?」
「おう、絶対だ。ローナと一緒なら【愉しい】からな。」
「そ、そう 。えへへへ・・・・嬉しいなぁ・・・じゃあ、どうしよっか?どんな世界にする?私、頑張って創っちゃうよ?」
俺の含みある言い方に気付かず、後光溢れる神様オーラ全開に、袖を巻くって力こぶをつくるポーズをしながら笑顔でさらに続ける。
「貴方が絶対的な王の世界?それとも、地位と尽きることの無い名声を得た世界?ああ、貴方以外は女の子しか居ないハーレムな世界にする?それともそれとも・・・」
とんでもない発言をする彼女に俺は慌てる。
「そこまでしなくていいから!?!?頼むから、既に創ってある場所にしような!?」
どうやら彼女は乗り気らしい、それもかなり・・・
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はやまりそうな彼女をなんとか落ち着ける事に成功した俺は紅茶を口に運び ほっ、と一息つく。・・・なんで冷めて無いんだろうねコレ。
紅茶は最初から今までずっと適温に保たれている。
まぁ、そこは神様パワーというやつだろう と1人納得しておく。
「それじゃあ、どんな場所だったらいいの?」
決死の交渉と説得の末に、すでに創ってある世界のどこかに行くという事で合意した俺たちなのだが、世界を俺たち専用に一から創ろうとして俺に止められた為に、酷くご不満な様子でリスの様に頰を膨らませてプイッと明後日の方向へと顔を背けてしまった。
困った俺はそこで1つの行動に出た。
「可愛い。」
「ッ!?!?!??」
おっと、つい声に出してしまった。でも、考えが読めちゃうんだったら同じ事だしいいよね?
「い、いいいきなり何!?何なの?!」
混乱した様子で反応を返してくる彼女。
俺はニヤニヤしながら言う。
「いや、別に?思った事を言っただけなんだけど?」
先程から彼女に振り回されたお返しとばかりに弄る。だが、嘘は言ってない。ちょっとばかり仕返しがしたくなっただけである。
「リスみたいに頰を膨らませて、そんな見た目して子どもみたいな反応で可愛いなぁーって。」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!?!?」
ボンッ!と擬音が出そうな程顔を一気に赤くし、机に突っ伏してして動かなくなってしまった。
今までずっと友達が居なかった影響なのか、こういう事には慣れていないみたいだ。その様子に加虐心が少しくすぶったので追撃してみる事にした。
「そうやって弄られて恥ずかしがるのも可愛い。ちょっと褒めると顔を真っ赤にする所が可愛い。俺の言動1つ1つにあたふたしたり、ちょっと暴走したりするのが可愛い。恥ずかしく思いながらもそうやって頰が緩んでいる所が可愛い。褒められ慣れてなくて褒めた時、照れながらも嬉そうにしてるのが可愛い。
ここまで挙げたが、まだまだあるぞ?聞くか?」
「や、やめてっ!?恥ずかしいから!わかったから!もういい!もういいからぁぁぁ・・・」
俺の反対側に居たはずなのにいつの間にか俺の横に来て、俺に縋り付いて懇願してくる彼女に流石にやりすぎたかな?と反省する。
というか、今のあきらかに瞬間移動だったよね?
「すまん、すまん。だが、事実だからな?」
「・・ぅぅ・・・うーー!・・うぅーーー!」
もはや言語を捨て去り頭を俺の胸に押し付けながらぽかぽかと叩いて抗議してくる彼女に俺は苦笑して話を元に戻す。
「それで、どんな世界がいいか・・・か。そうだな、のんびりと静かに暮らせる所がいいなぁ。例えば森とかかな、どうやって生きるかはその時考えよう。」
何とも無責任で無計画な考えを彼女の頭を撫でながら俺は述べた。撫で始めてからは借りて来た猫の様に大人しくなった彼女は俺の手を振り払う様子もない。
「・・・・わかった、心当たりがあるからそこに送るね。ただ、その場所は地球があった世界とは違って魔法とかあったり、魔獣がいたりするから気を付けてね?」
俺から離れずに頭を上げて俺の目を覗き込みながら言ってくる。
マジですか。あの剣と魔法のファンタジーでヒャッハーなアレですか。そうですか。
「ちなみにそこを選んだ理由は?」
「色々と都合がいいから。それにそっちの方が楽しそうじゃない?」
にひひ、とはにかみながら言う彼女。神様にも都合はあるのね。あと、本音漏れてますよ?
しかし、そこで問題になるのが俺自身の事だ。てっきり、地球の様な世界でまったり暮らすのかと思ってた。だから、全くの無力な人間がそんな場所に行ったら半日と待たずして森の養分か獣の餌になるのでは?
「ん?それなら大丈夫!私がちゃんと力を・・・・・・・・・あっ・・・」
何かを言いかけて突如としてフリーズする彼女。・・・・・・・・・・・何だろう・・・ものすごく、ものすごく嫌な予感がする。
今「あっ」って言ったよね?
あきらかに想定外なナニカが起きてるよね?その証拠に、気まずそうにゆっくり俺から離れていくし。
「・・・今度はなんだ?いまさら行けませんとかやめてくれよ?」
「えっと・・・その・・・・それが、ですね?そういう事ではなくてですね?」
彼女の口調が出会ったばかりの時の様に敬語に戻る。両手の人差し指をツンツンと合わせながら言いずらそうにしている。
「え〜と、アレです。その・・・すでにものすごい事になっていると言いますか。盛大にやらかしちゃったと言いますか。なにぶん私自身初めての経験でしたので気が付かなくてですね?まさかこんな事になってるなんて想定外と言いますか・・・・」
いまいち要領をえない説明に、俺の頭には疑問符がさらに増える。どういう事なのだろうか? と頭を捻っていると、彼女はこちらを見据え、地面に正座し、それはもう見事な姿勢で
「本当に、申し訳御座いませんでした!!!!」
突如として見惚れる程の完璧な土下座を披露し、俺はただ困惑しながらその姿を見ている事しか出来なかった。
最初の方はタイトルが話の最初と最後に連動するようにしてたけどもう無理になっちゃったよ(´・ω・`)
私にそんな洒落た事続けられる力量なんてなかったんや・・・
コメントにて御指摘頂きました読点に関する修正を行いました。(2017/12/8 23:14)
一部修正を行いました。
(2017/12/19 15:06)
一部加筆と修正を行いました。
(2017/12/28 9:49)