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閑話【名も無き化物】檻の中の少女


こんにちは!

短いですがご容赦を!

本当は二倍くらいの量だったんですが、キリがいいので二分割しました。

残りの半分も大方完成していますが、投稿予定は未定です。


 


 ーとある森の中ー



 薄暗い地下牢にとある少女が居た。

 檻の前には仮面を付けた男女の見張り役が立っている。


「……」


 そして、檻の中のにはエルフ特有の整った顔立ちに長い耳、亜麻色の髪と片目に紅の瞳を持つオッドアイの美しい少女。


 しかし、彼女の首には首輪と鎖が繋がれており、紅の瞳の焦点は合っていない。

 本来ならば清潔な環境で育ち、友達と遊んだり、両親にその日の出来事を話したりする。

 そんなごく一般的な日常を過ごすことが出来ただろう。


「……」


 だが、この少女は外に出ることはおろか、誰かと話すことすら無に等しい。

 そして、その表情を変えることもない。


 この異常な状況にも関わらず、少女は何も不思議には思うことも何の不満も抱くことはなかった。


 それが彼女の『日常(じょうしき)』だから。


 いつもの様に檻の中で本を読んでいると、同じ種族である事を証明する長い耳を持った男が檻の扉を開いて中に入ってくる。


「今日の分だ。」


 そう言って男は皿を少女の前に置いて檻から出る。


「……」


 出された食事を黙々と食べ、また読書に戻る。


「……」


 少女が話すことはほとんどない。

 ただ、黙って本を読みながら1日を過ごす。

 与えられる物といえば本と食事、そして水のみ。

 服はサイズが合わなくなると身の丈にあった、まったく同じ服を与えられている。


 言葉や読解に関しては一通りの教養を施されているために本の内容も理解できる。


「おい。」


「……?」


 その様子を見ていた見張りの一人である男が不意に声をかける。


「何か話したい事とかはないのか?」


「……」


 首をあげた少女は男の問いかけにふるふると首を振って意思表示する。


「興味があることは?」


「……」


 先と同じように首を振るだけの少女。


「……何か言ったらどうなんだ。」


「……?」


『なぜそんな事を言うのか?』と不思議そうな表情を浮かべる少女に男は問う。


「両親に会いたいとか、どうして自分だけこんなところに居るのかとかよ。」


「その辺にしておきなさい。」


 もう一人の見張り役の女が制止する。


「なんだよ。」


「それ以上はこの子に刺激を与えるわ。」


 女は何かを気にしているかのように発言する。


「わかってるよ。でもよ、この状況に何も文句も言わねぇとかおかしいだろ?」


「やめなさい、長老たちが決めた事よ。」


「……すまん、俺こそ軽率だった。」


「……ええ。」


 睨みながら言う女に男も歯噛みしながらも、しぶしぶ引き下がった。


「……」


 少女はそのやり取りを気にする事なく本を読む。


 少女は利口であった。

 それ故にこの状況をなんとなくではあるが理解している。


 否


 この状況を生み出しているのは自分自身だと、自身が存在していることに問題があるのだと理解してしまっていた。


 なぜなら、少女は自我が芽生えた頃からここに居た。

 最初から鎖に繋がれており、その時から見張り役はずっとこの二人なのだ。


 そして聞いてしまったのだ。

 かつて見張りが自分を外へ連れ出せるように誰かに頼んでいる会話を


『お願いです!ほんの少しでいいんです!』


『あの子は生まれてから一度も空を見たことがない!森も!大地も!たったの一度もですよ!?』


 二人の悲しみに満ちた声を


『あの者は忌むべき子。見てみなさい、あの片目を……あれは忌まわしき龍の瞳です、それも紅の瞳。あの者こそまさに《魔者(まもの)》と呼ぶにふさわしい。

 決して深く関わってはなりません。それはあなた達であろうと同じです……外に連れ出すなどもってのほか。以後、その様な事を口にしないでください。

 ……それに、その時が来れば外に出られますよ。』


 それを一蹴する冷たい言葉を


 もはやあの二人が何と言おうと何かが変わるわけではない。


 つまり、少女は見張り役の二人のどちらか、あるいはどちらとも話をしたところで『意味が無い』と結論を出していた。

 むしろ、そうする事によってあの二人に何らかの害が及ぶかもしれないことを危惧していた。


 かつて、言葉や文章の読解に関しての教養を施されている時は見張り役と話していたが、それも必要最低限だけ。

 そして、それが終わった以上は自身に関わらない方が二人の為だろうと思い、せめてもの感謝として出来る限り関わらないようにしている。


 なにより


「……」


 《のう、一つよいか?》


(どうしたの?)


 《たまには誰かと話すのも良いのではないかと思うのじゃが?》


(別にいい。私は忌み子……ううん、魔者(まもの)だからエルフですらない。ただ、それだけ。)


 《魔者…か……まったく……くだらんな。まだそのようなものが存在しているとは……すまぬの、少しとはいえワシがお主の中に存在しておるばかりに。》


(レースのせいじゃない。)


 《いいや、ワシのせいじゃよ……何もかも……お主の片目の事もな。

 その証拠にその紅の瞳、見えておらんのじゃろ?視力を失う魔法がかけられておるよ。残酷なことをしよってからに……それでもエルフかの。》


(もう一つあるから気にしない。それに私はエルフじゃない。化け物。)


 《……。》


 彼女には唯一安心して話すことが出来る不思議な存在がいた。

 レースと名乗ったその『声』は他人には聞こえず、自分にも姿の見えない不思議な存在。

 それは自分が自我を持った時からずっと側に存在する声。


 この声だけは自分の側に居てくれる。

 この声だけは自分を心配してくれる。

 この声だけが自分を安心させてくれる。


 だからこそ、少女は寂しさを感じる事がなかった。

 それが不幸中の幸いと言えるだろうか……


(でも、レースが居てくれるから私は寂しくない。)


 いや、だからこそ少女は人の温もりを求めるという事を知らないのだろう。


 《お主、本当に(よわい)10かの?しっかりし過ぎじゃて。》


(ご本読んでるからかな?)


 《……悲しきことよの。本を読むことで家族や友人というものを知識として知っておろうに……お主にとって特別な存在が現れる事を切に願っておるよ。》


(いらない、レースがいる。)


 《即答とはの……じゃが、人生何があるかわからんものじゃよ?いつかはお主が心の底から笑える日が来るやもしれんからの。》


(そうかな……?でも私はここから出られない。)


 《お主はエルフじゃ、それに加えワシもお主の中におる。ゆえに無限に近い寿命となっておろう。少しは希望を抱いても良いのではないか?》


(希望ってなに?)


 《かかっ、そこからか……やはりワシはあの時に死ぬべきじゃったかの。》


(そんなこと言わないで。)


 《おっと、これはすまぬの。じゃが、見事なまでに死に損なってしもうてな。》


(そのおかげで私はレースと居られる。)


 《いや、ワシと居るからこその状況なんじゃが……それに厳密に言えば、ワシはこの場所に存在しているわけでもないしの。》


(……?)


 《なに、気にすることもない。ワシはただの亡霊じゃよ……ただ、お主が求めるならば心ばかりじゃが力になる事もできるのでな。その努、忘れるな?》


(そう。)


 《そうじゃよ。……というかお主反応薄いの?ここから出たいなら手伝うと申しておるというのに。》


(ん……)


 《なんじゃ?眠くなってきたのか?》


(……うん。)


 《そうか、ならば寝るとよい。成長に睡眠は欠かせぬからの。いつか現れるやもしれん救世主に求愛する時、貧相な身体では不利じゃからな。》


(……そんな人……現れ……ない……おやすみ……)


 《ああ、おやすみ……我が望みの果てに在りし悲しき子よ。

 じゃが、望みは捨てることなかれ。主が心の底からから望みを言える日を心待ちにしておるぞ。》


(…うん……)



 そして、少女は静かに眠りについた。






作者「呼ばれて登場!」


隊長「見て絶叫。」


作者「そんなあなたも素敵だね!」


隊長「……黙れ。」


作者「わぁーお、すごく機嫌わるーい。」


隊長「読者様方も同じ気分だろうな。投稿ペースは落ちるわ、9日ぶりの投稿だと思えば本編じゃないわ、その挙句短いときた。」


作者「うぐっ……!だ、だって、しゅ、趣味だし……べ、別に嫌われても気にしないし!気にしないし!それに今年は就職活動だって公言してるから大丈夫だし!……たぶん。」


隊長「就活はともかく趣味だと言えば許されるとでも?」


作者「すみませんでした!こんな後書き書いてるくらいなら本編書きます!」


隊長「それでいい。」



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