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ネーミングセンスって大事だよね


またまた一週間以上間が空きました。

この頃、シンプルに忙しいです。

『どれくらい忙しいのか。』と聞かれれば今月残り3週間ほどで定期テストも含めてテストが4回あります。

ついでに、それが『全て就職に繋がる』とだけ。


それはそうと、ネタバレってどこまでなら許されるのかわからなくて出来きません。

活動報告にネタバレページとか設けましょうかね?




 



「お兄さんはどこに住んでるんすか?」


 少女は切り株の上にすとん、と座りながら俺に聞いてくる。

 その瞳に宿すのは純粋な好奇の光。純粋に疑問として聞いただけのようだ。


「この森。」


 俺も地面に座りながら、その質問に漠然とした返答を返すが


「それ、本当だったんすね……まぁ、住む場所は人それぞれっすけど。」


 彼女はそれを気にとめるわけでもなく、若干引いた様子で理解を示した。


「何か文句でもあるか?」


「いや、別にないけど……変わってるっすね。」


「そうか?」


「そうっすよ、この森は色々と複雑っすから。」


「まぁ、確かにな。」


 俺は彼女の言葉に頷きながら肯定する。


 実際、この森が自然発生したものではない事の経緯(いきさつ)を知っていればそんな感想を抱くのも無理はないだろう。

『ラウの過去や、今はまだ明らかになっていない歴史の真実を知る必要があるのではないか。』そんな考えが脳裏をよぎる。


 が、今は何も考えない事にしよう。

 ぶっちゃけると興味が失せた。昨夜のラウのあの様子を見て聞き出すという選択肢が出るはずがない。

 それに、自分なら絶対そうして欲しくないしな。


「それより俺からも聞きたいんだが、いいか?」


 そんな考えを巡らせながら俺は気になることを聞こうとする。


「いいっすよー。あ、でも、変な事は聞かないでくださいね?」


 俺の言葉にそう答えた彼女は にひっ と歯を見せて笑った。


「……俺を変質者か何かと勘違いしてんのか?」


「ま、まさかー……そ、そんな事ないっすよ?」


「なら俺の目を見て言ってくれるか?」


 俺の質問にフイッと顔をそらした彼女。嘘が下手である。


 ……まぁ、いいや。話が進まなくなるからいちいち構ってもいられない。


「それで君はどうしてこんな森に居るんだ?」


 記憶の限りだと確か彼女はCランク冒険者だ。たとえBランク相当の実力の持ち主だったとしても一人で来る場所ではない……はずだ。多分。


「それは……ちょっと息抜きというか何というか……そう!ちょっと気紛らわしに依頼を受けたんすよ!」


 彼女は俺の質問に少しの間だけ口ごもると思いついた様にそう言った。


 いや、明らかに嘘ですやん……俺でもわかるわ。


「そか、で?」


「で……?」


 俺がさらに問い詰めると、彼女はその意図を汲めなかったのだろうか?首を傾げておうむ返しをした。


「で、何の気紛らわしなんだ?」


「え、そこ聞いちゃうっすか……?」


「おう。」


 彼女がちょっと引き気味に答えるが、そんな事は気にしない。


「……お兄さん絶対モテないっすよね?」


「……。」


 ジト目でそう言った彼女の表情を見ると『本当に聞いちゃたよこの人。』という呆れの文字が浮き上がって見えた。


 ……なんだろう、すごく的を射ている気がする。

 気のせいか?うん、気のせいだ。キノセイダヨネ……そんな事より美少女のジト目頂きました。アリガトゴザマス。


 《主様、お気を確かに。いくら前の世界でモテなかったとはいえラウ様とローナ様がいらっしゃるではありませんか。》


 ……確かに。そう言われてみればそう……なのか?

 あと一つ言っとくけどなぁ!前の世界でモテなかったのは単にクミさんの事がトラウマになってただけだ!もうあんな想いはごめんなんだよ!


 《しっかりしてください。錯乱状態に陥っています。》


 シュティが諭そうとしてくれているが、俺には届かなかった。


 あれ一回体験してみ?絶望だぞ?お先真っ暗だぞ?心折られるとかそんなんじゃなくて、治りかけの傷をえぐられて塩を塗りこまれた挙句にからし味噌で傷を塞ぐ様なもんだぞ?


 《あの、主様?聞いておられますか?》


 あ、だめだ……今になって思いかえしてきた……


 そして、俺は急激に気分が落ち込んだ。情緒不安定にでもなったか?


「チクショウめ……」


「え?お兄さん?今なんて……って泣いてる!?情緒不安定なんすか!?」


 黙り込んだ俺の小さな呟きに彼女が俺の顔を覗き込むと驚いた声をあげる。


「クゥ……クゥン、クゥン。」


 そんな中、フェルが頭を俺の足に擦りながら励ますように鳴いた。


「あぁ……ありがとう。やっぱりフェルはいい子だな。」


「クゥ……♪」


 一つ撫でると膝に顎を乗せてきたのでわしゃわしゃと撫でてやる。


 この光景に少しだけチェルの事を思い出す。

 あいつ普段はあまり自分から寄って来なかったのに俺が落ち込んだりしてた時は絶対に側に来てゴロゴロと喉を鳴らしていたのだ。

 やっぱり動物は人の感情を汲み取ることが出来るのだろうか。


「お兄さんそんな風に笑うんすね……あ、そうそう。」


 少女が うんうん と頷きながら呟くと、何かを思い出したかのように ポン と手を当てながら言った。


「ん?どうした?」


 まだ聞きたいことがあるのか、とニュアンスを含めて聞くと


「お兄さんこんな人見なかったっすか?この人なかなか見つからないんすよ……ちなみにこの人が気紛らわしの原因っす。」


 彼女はそう言いながら一枚の似顔絵のようなものを取り出した。


「特徴は?」


「丁寧口調で茶髪、身長はお兄さんくらいの人っす。それ以外は普通の人としか言えないっすね。」


「なるほど。」


 特徴を聞くとどこかで聞いたことがあるようなものだった。


 ……いや、まさか…ね。まだ希望はある。


「最後にその人が目撃された場所は?」


「ここから一番近くの街にある冒険者ギルドっす。」


 ……違うと信じたい。


「時間帯や日付けは?」


「確か……二日前の昼ごろっすね。」


 《これはそのまさかですね。》


 デスヨネー……やっぱりこれって俺?


 《はい、完全にスキルを使って変装している時の主様です。》


 なに?俺ってば指名手配でもされたの?何にもしてないよ?


 《形はどうであれ、その街どころか領地一帯を治める領主を殺しかけたのをお忘れですか?》


 いや、あれは模擬戦でちょっと楽しかったっていうか、高揚してたっていうか……えっと、その……うん、ごめん。


 《ご理解いただければ恐縮です。

 ですが、まだ指名手配されたと考えるのは早計かと。一度確認されてみてはいかがでしょうか。》


 ルイスさんがそんな人じゃないと信じたいが……念のためそうしよう。


「それで、その人がどうかしたのか?」


「えっ、お兄さんこの人のこと知ってるんすか!?」


 彼女は俺の発言を受けて目に希望の光を宿す。


 いや、知ってるもなにも俺ですけど?


「いや、見たことない。ただ指名手配犯とかなら気をつけようと思っただけだ。」


 嘘は言ってない。


「あ、そうなんすか……別に指名手配とかじゃないっす。ウチが個人的に探してるだけなんで。」


 否定すると、彼女は少し残念そうな様子を見せた。


 よかった……しかし、そうなるとなんで俺なんか探してるんだろうか?一度しか会ってないのに。


 《質問してみるのが一番かと。》


 そうだな。


「そか、それで、なんでその人を探してるんだ?」


「それはさっきも言った通りなんすけど、この飴とか他の食べ物が欲しいからっす。あと、出来ればこの飴の出所を教えて貰えたらなー……みたいな。」


 そう言ってはにかむ彼女に俺は少し呆れていた。


 ……こいつマジで食欲の化身だな。前に飯を奢った時やら、今の発言やら全部が食べ物に関してじゃねぇか。

 まぁ、そんなに気に入ってくれたなら嬉しいけどさ。


 俺がそんな事を考えていると少女がこんな事を呟いた。


「それにしてもおかしいんすよねー……ウチの友だちにも頼んでるんすけど、一向に見つかる気配がないんすよ。普段なら一日もたたない内に見つけられるんすけど。」


 むー っと不満そうに頰を膨らませている。


「……。」


 え、なにそれすごい。


 だが、俺は彼女の仕草よりも、その友人とやらに驚きを隠せないでいた。


「なぁ、その友人ってそんなに人探しが得意なのか?」


 その驚きを禁じえない内容につい聞いてしまう。


「まぁ、そうっすね。基本的に何かを探すならウチの友人に頼むのが一番っすね。色んな方法で探してくれますし。」


 彼女の口ぶりから察するに、かなり捜索能力が高いらしい。ただし、色んな意味で。


「そうか。じゃあ、もし見かけたら……ってどこに行かせればいいんだ?」


 『これは早急な対処が必要だろう。』と思った俺はとりあえず活動拠点を探ることにした。


「それならリンドブルム支部の冒険者ギルドでお願いしますっす。シュトルツって名前の街っす。この森を抜けてサンスクリード王国側の一番近い街っすよ。」


 俺が疑問を投げかけると丁寧に答える彼女。


 うん、シュトルツってどこだ?


 《先日、主様が訪れた街です。》


 あ、ルイスさんの街か。


 《左様です。》


 ありがとう。そういえば街の名前を知らなかったな。


「わかった。じゃあ、シュトルツの冒険者ギルドに行かせればいいんだな。」


「そうっす。」


「了解。」


「お兄さん、ありがとうっす!」


 俺が協力する意思を見せると、彼女は嬉しそうに笑って礼を言った。


「なに、気にするな。」


 俺もそれに笑いながら返す。


 というか、むしろこちらがお礼を言いたいくらいだ。

 変な噂がたつ前にまた冒険者ギルドへ行くことができるからな。

 これを知らずに放置してたらどうなるかわかったもんじゃない。妙な噂がたつ前に何かしらの策を講じておく必要がありそうだ。


「それじゃあ、俺はそろそろ行くよ。」


 立ち上がりながらそう言うと


「あれ、もう行くんすか?」


 彼女がその大きな瞳をさらに大きくしてそう言った。


「あぁ、また機会があれば会うかもな。」


 近いうちに冒険者ギルド会うけどな。まぁ、俺とはわからないだろうけど。


「そうっすか……それじゃあウチもこれで。」


 俺の言葉に彼女も同意を示して立ち上がる。


「おう、じゃあな。」


 その一言で俺はMAPで転移の座標を決める。


「はいっす。あ、それとウチはレヴィっす。」


 そしてら俺が転移しようとすると、彼女が言った。


「ん?」


 俺がその言葉に首をひねると


「ウチの名前っす。」


 一言そう言った。


「あぁ、なるほど……俺はシミズ・タケシだ。」


 結局、名前を教えてくれたようだ。

 礼儀には礼儀で返すのが基本だろう、と俺もまた名乗っておく。


「わかったっす。それじゃっす、シミズさん。」


「おう、じゃあな。レヴィ。行こうか、フェル。」


「ガウ。」


 そして、今度こそ場を後にした。



 –––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––



 ー深淵の森《中層》ー



 転移し、俺とフェルは再び森の《中層》まで戻ってきた。


「さぁてと……じゃあ、狩りといきますか!」


「ガウ!」


 狩りの目的は二つ。


 一つはフェルの運動のため。


 もう一つはラウとの契約で増えた権能《(つるぎ)》の性能試験のため。


 元々は権能の性能試験だけの予定だったが、『どうせやるならフェルやサティと一緒に。』と思い至った次第だ。

 まぁ、サティには断られたが。


 というより、さっきのG(野郎)のせいでかなりタイムロスをしたが、ちょっとした情報を得る事が出来たのでよしとする。


「とは言ったもののだな……まずどの獲物を狙えばいいかわからん……」


「クゥ?」


 俺の独り言に、フェルが『どうしたの?』と首をかしげて俺を見つめる。


「んー?いや、気にするな。ちょっと悩んでるだけだよ。」


「♪」


 ひとまずフェルの頭を撫でてやりながら思案する。


 この森ってどんな生き物がいるんだ……?ってか、そもそもルイスさんの手土産にするなら美味しく食べられる方がいいよな……


 《それならばマッドバードやどすこいベアがよろしいかと。》


 シュティ、獲物候補をありがとう。でも、なんか色々とツッコミたいんだけどいい?


 《もはやこの世界の魔獣のネーミングに言及していてはキリがないかと。》


 ……ごもっともです。じゃあ、どすこいベアで。


 《承知しました。案内を表示します。》


 シュティの一言に『もはやツッコんだら負け。』と諦める事にした。

 すると、MAPに複数の点が表示され、一番近い点に向かって視界の中に矢印が出現する。


 あ、そんな事も出来るんだ。やっぱりシュティさん頼りになるぅ!


 《恐悦至極。》


 あ、シュティのその言い方久しぶりな気がする。


 《(わたくし)は主様への敬愛を忘れた事はございませんが。》


 いや、最近なんとなくシュティがより近くに感じられてたからな。


 《なんと勿体無きお言葉っ……!》


 大袈裟なのも相変わらずみたいだな。


 苦笑しつつもシュティとのやり取りを楽しんでいると


「クゥン……クゥ……」


 グリグリと腰の辺りに何かが当たる感覚。


「ん?あぁ、ごめんごめん。ないがしろにしちゃったな。」


 感覚のする方へ視線を向けると、フェルが耳を垂れて悲しそうに頭を擦りつけていた。

 かなり甘えたがりな子だというのは前々からわかってはいたが、少し目を離しただけでこれだ。サティがいないからか、いつもより甘えてくる頻度が高い気がする。


「あぁ、癒される……」


 進む足を止めてフェルに癒される。

 だめだ、全く先に進まない。


「……はっ!いかんいかん……さぁ、フェルさんや、今から熊狩りに行くぞ。準備はいいか?」


 しばらくフェルと時間を潰していたが、狩りの予定を思い出したために気合を入れ直す。


「クゥ……ガウ!」


「よし、行くか!」


 元気な返事をしたフェルと共に森の中を疾走する。


 本日、快晴


 絶好の狩り日和


 待ってろよー!どすこいベア!






作者「予定にない話は書くもんじゃねぇな……閑話扱いにでもすりゃ良かった。それかもうちょい後とか。」


隊長「後悔先に立たず、だな。」


作者「いや、ほんとそうですね。」


隊長「中身のない話で申し訳ない。」




申し訳ありません!

少女の名前を間違えていました!

レヴァ→レヴィ です!

(2018/6/30 10:41)

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