友達
気分が乗ったのでもう1話投稿です
ついでに、言うと私は書き溜めはしないので
その日の内に書き上げて即投稿してしまいます
なので、明日は更新は無いと思います(資格試験なので)
予約?何それ美味しいの?
あれから少しの時間が経ち、彼女が次第に落ち着きを取り戻し始めた頃。
「すみません。お見苦しい所をお見せしました。」
深呼吸をし息を整えてから彼女はそう言った。
「あはは、こっちも怒られずに済んだから安心しましたよ。それにしてもえらく笑ってましたね?」
「ええ、私には友人と呼べる存在がいませんから何だか新鮮でして。友人がいればこんな風に会話出来るんだと嬉しくなっちゃって・・・それに、そうやってストレートに反応を返してくれたのは貴方が初めてです。今までお話してきた方々は結局畏まってしまって・・・」
(何だろう、明るくぼっち宣言されるとどう反応したらいいのか迷うんだが・・・)
そんな事を考える俺を置いて彼女は更に続ける。
「ですから、これからもさっきみたいな話し方で接してくれませんか?貴方が私にとっての初めての友人といえる存在なんです。」
『駄目ですか?』と懇願ともとれる様な態度を取る彼女に俺はただ一言
「喜んで。」
考えるまでも無い当然だ。
俺がそう言った瞬間
ぱぁ!っと花が咲く様な笑顔になり
「ありがとう!」
彼女は元気よく
初めて砕けた口調で言葉を放った。
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紅茶を飲みながら雑談を交わす俺と彼女だったが、俺は彼女の名前を聞いていないのを思い出したので
「改めて自己紹介しないか?」
と、彼女に提案すると
「どうしたの?藪から棒に。」
両手でカップを持ち こてん、と可愛らしく首を傾げる彼女。
友人になった彼女と俺は共に砕けた口調と態度で話す様になっていた。
彼女曰く
『友人同士なら遠慮はいりませんよね!』との事。
「いや、君の名前知らないなと思ってさ。最初の自己紹介の時は女神とだけだったから。」
そう結局、名前を聞けずにいたので折角仲良くなったのだからそれ位は良いのではないだろうかという事である。
「なるほど、確かにそうね。じゃあ、もう一回だけ自己紹介しましょう。」
「どっちからする?」
「・・・・さっき私に譲ってくれたから次は貴方からお願い。」
「了解。」
何故か少し緊張感を漂わせる彼女。
しかし、俺は特に気にする事なく腰掛けていた椅子から立ち上がり机から少し離れると
「改めましてこんにちは。
私 清水 猛士 と申します。
この度、貴方と知己になり得た事、誠に喜ばしく思う所存にございます。
しがない人間ではありますがどうぞよろしくお願いいたします。
お嬢さん貴女のお名前をお聞かせ願えますか?」
〈ボウアンドスクレイプ 〉と呼ばれる胸に手を当てるお辞儀をして、少しばかりかっこつけて答えた。
『我ながら恥ずかしい事を。』と思う。
すると、彼女は笑顔で立ち上がり、俺の前にくると〈カーテシー〉と呼ばれる
衣服の両端を摘む様な女性式の返礼をした。
決意を固める様に一度目を閉じ、再びゆっくりと目を開けると
雰囲気が一変した。
先程までにこやかに微笑んでいた彼女の姿は一切の面影はなく。
それは『絶対的強者の風格』。
そこには、威風堂々と荘厳な雰囲気を纏った。
『神』がいた。
その黄金の瞳で真っ直ぐにこちらを見据え、ゆっくりと口を開く。
『我、全ての始原にして全神の王なり。
故に我、名は無く神々に主と崇められし者なり。
故に我、神なり。
故に我、女神なり。
故に我、創造の主なり。
如何なる者も我の前に楯突く事無く。
如何なる者も我に矛向ける事無く。
如何なる者も我に従順なり。
今来、外界より呼び寄せし者達さえ畏れ崇めたり。
なれど汝、我と共に在り。
なれば我、汝に問う。
それでも尚、我と共に在りけりや?
汝 我を如何にして呼びけりや?』
それは、余りにも唐突な事だった。
頭に流し込まれる膨大な年月の『彼女の記憶』。
何も無い真っ白なこの空間にたった1で人生まれ、莫大な力を持ちながら何をすべきかもわからず。
寂しさのあまり自分と同等の者を創ろうとした。
しかし、出来たのは自分を主と崇める部下達。
そして部下と共に幾千幾億もの世界を創り、神に相対する存在の悪魔を創ろうとも、部下と相対しても自分には絶対的服従と忠誠を誓い。
誰1人として自分に意見も反発もしない。
あまりに永い年月の【孤独】
今まで出逢った者たちは自分を畏れ、最後には崇める始末。
そして、やっと巡り合えた友への質問
『そんな私と共に居てくれた君は、これからも私と居てくれるのか?』
『そんな私を友と呼んでくれた君は、これからも友と呼んでくれるのか?』
先程までとは違う彼女の姿と、その余りにも哀しい質問に俺は生前でさえ覚えた事の無い激しい怒りと彼女の事を知れたという嬉しさを覚え、彼女を右手で指差しながら衝動のままに言い放つ。
「当然だ!!今更何を言いやがる!!お前が何者だろうと関係あるか!!
お前はもう既に俺の中では【友達】なんだよ!
俺は友達少なかったから新しく可愛い友達が出来たのはすげぇ嬉しかったんだよ!!恥ずかしい事言わせんな!!ボケ!!」
威厳ある雰囲気の彼女の瞳が微かに揺れる。
そこで、俺はさらに捲し立てる。
「それになぁ!名前が無いなら無いってサッサと言えよ!俺が今!!ここで付けてやる!!いいか!お前は今日から【ローナ】だ!!覚えとけ!!」
「あ・・・え・・・・」
俺の発言に彼女は驚き、狼狽え、固まる。
先程までの雰囲気はもうない。
しかし、俺は止まらない。
自身の胸にドン!と手を当て
「それでもまだ寂しいなら俺を転生させろ!!
どっかの世界の山なり森なりにでも連れて行け!!
お前ならそれくらいは出来るだろ!!そして、一緒に来い!!誰かと一緒に居られる喜びを!!楽しさを!!お前に教えてやる!!!」
そう言い切った後、彼女が妙に凝って作った体のおかげで息が切れ、中腰の体制になり頭が下がる。
「・・・・・・・・」
・・・・?反応が無い?
不思議に思った俺は息を整えながら彼女の方へと頭を上げると
「・・・ッ・・ッ・・・うぅッ・・・・・」
彼女は泣いていた。両手で顔を隠すようにして。
「ロ、ローナ?大丈夫か?どうした?」
「ッッ!!・・うぁぁぁぁ・・うぅ・・あぁああぁぁぁぁ・・・・・!!!」
声を掛けるとさらに泣き出した。
え?なんで?
「お、おい ほんとにどうした?」
ともかく俺は急いで彼女の元へ行くと、がばっ!!と音が聞こえそうな程勢い良く彼女は俺に抱き付いてきた。
その勢いで俺たちは地面に倒れる。しかし、痛みは感じなかった。
彼女を気遣う様にゆっくりと上体を起こすと
「ローナ?」
「うぁぁあぁぁぁあああぁぁ・・・・!!」
俺の問いに答える事無く。
そのまま俺の胸に頭を埋めて泣きじゃくり始めた。
困惑しながらも俺は彼女の頭を慰る様にゆっくり撫でてみると、ビクッ!っと彼女の体が跳ね上がる。
「あ、すまん。嫌だったか?」
すかさず手を離すと何も言わずグリグリと頭を押し付け始める彼女。
(どっちなんだ?これ・・・)
混乱した俺に彼女はボソッ、と
「撫でて・・・・」
本当に小さな声で弱々しく呟いた。
「わかった。」
注意していなければ聞き逃すであろうその呟きに、俺は了承し再びゆっくりと頭を撫で始めた。
穏やかでゆったりとした時間が2人を包み。声を押し殺して泣いている彼女を眼下に。殺風景な白い空間がとこか心地良く。
もう少しこのままで居たいと俺はローナの頭を撫でながら思った。
やっと話が少し進みましたね
え?もっと早く進めろ?
残念!無理です!
工業高校生にそんな事求めないでね!
崇められ『る』者なり→崇められ『し』者なり
若干の変更と
誤字を発見した為に修正しました(2017/9/21 21時05分)
コメントにて御指摘頂きました読点に関する修正を行いました。(2017/12/8 23:00)
一部修正を行いました。
(2017/12/19 13:49)
一部修正を行いました。
(2017/12/28 9:40)