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閑話?【夜天の懺悔】


昨日一日の内に合計で15時間も寝るという素晴らしき贅沢をしました。

はい、学生のうちにしか出来ませんね。

数ヶ月後からから就活が始まります。めんでぃです。

超どうでもいいですね。はい。

深夜テンションです。はい。




 ー深夜ー


 世界樹の上に少女が一人座っていた。


「久しぶりだね、–––––。」


 少女の面持ちはどこか暗い。

 果たしてそれはこの暗闇によるものなのだろうか。


「昨日ね、私たちを創った主がおにーさんの家に来たんだ。わたしびっくりしてすぐに跪いたんだけど、その時にあの人なんて言ったと思う?」


 だが、少女がこの場所に来る時は決まって一人。

 その事実が少女の心情を表しているのではないだろうか。


「『(わたし)はもう創造神などではありません。(わたし)はただのローナです。ですから、その様な態度を取る必要はありませんよ。』だって。

 わたしそれにまたびっくりして何もいえなかったんだ……」


 少女は自らの見たあの光景をいまだなお信じられないのだろう。


「それからおにーさんのことを探してたの。

 まさかおにーさんのことを知ってるなんて思わなかったんだけど、そしたらね……あの人は自分のことをおにーさんの友達だって言ったんだ。」


 少女はぎこちない笑みを浮かべて星の海原を仰ぐ。


「わたしは罰を受ける覚悟でその人に聞いたんだ。『その名は如何なされたのでしょうか?』って。」


 顔をあげた少女の瞳が月明りに照らされる。

 その深緑の瞳に捉えるのは三隻の耿々(こうこう)とした月の船。


「そしたらおにーさんに貰ったって言ってた……そう、言ったんだよ……たしかにそう言った……」


 まるで自身に言い聞かせるように繰り返す少女。


 星々が静かに見守る中、少女は再び語り出す。


「それでね?今日おにーさんが帰ってきたんだ。

 わたしは迎えに行けなかったけどあの人との関係も気になってたから我慢したよ。


 おにーさんがいつも居る場所にあの人が座ってて、おにーさんが帰ってきたらすぐに立ち上がったの。

 それから、おにーさんが部屋に入ってきたんだけど、あの人のこと見ておにーさんすごくびっくりしてたよ。」


 ふふ とおかしそうに、けれど少し楽しそうに笑う少女。


「そのあとすぐにあの人がおにーさんに抱きついてね……おにーさんも嬉しそうにしてたな……」


 しかしすぐにその表情は一転し、少女から笑みが消える。


「一回だけ離してくれって言ってたけど……結局はおにーさんもあの人を抱きしめ返してて……それを見た時になんだかキュって胸が苦しくなったの。」


 少女は自分の胸元を抑えながら語る。


「今も苦しいのはなんでかな……?ねぇ、教えてよ–––––。

 なんでわたしは『おにーさんをとられたくない』なんて思ったのかな?」


 それはこの少女にとって初めての感情(想い)

 何も聞かず、ただの友人として接してくれた青年との日々は少女にとってひどく心地よいものであった。


「わたしこんなの知らないよ……どうすればいいの?」


 しかし、その日々が崩れたことで自覚したその感情。

 初めて抱いたそれによって不安と恐怖に駆られた少女。


「…………」


 しばらくの間沈黙していた少女は思い出したように口を開く。


「それでおにーさんはいつ通りだったけど……わたしは自分がどんな顔をしているのかもわからなくなっちゃった。

 でも、おにーさんが話しかけてくれた時は嬉しかったな……それからおにーさんがあの人を紹介してくれたけど、わたし実はその時すっごく嫌な気持ちだったんだ。

 理由は……おにーさんが嬉しそうにあの人のことを話してたからかな。

 でも、相手はわたし達を創った人で尊敬している人。そんなこと言えるわけないし、ぶっきらぼうに答えるなんてもってのほかだよ。」


 少女は月の一つに手をかざす。


「だから余計に緊張しちゃって……でも魔獣の子たちは素直だね。わたしなんて声をかけられただけですぐに跪いちゃったのに無視するなんて。」


 少女は指の隙間から見える月を眩しそうに目を細めて眺める。


「それにおにーさんにも迷惑かけちゃったなぁ……。

 –––––、わたしね、おにーさんと二人で話せるように頼んだ時にね?急に『もうこれまでみたいに二人でゆっくりできないな。』って思ったの。


 どうしてかな……そう思った途端にすごく悲しくなったんだ……それにすごく怖かった。

 おにーさんが急に遠くに行っちゃった気がして……『また』居なくなっちゃう気がして……街でわたしの事を聞いたんじゃないかって……そしたら、おにーさんがこう言ったの。」


 少女は視線を彷徨わせながら徐々にうつむく。


『君の過去を聞いた。』


 その一言が少女の頭の中を木霊していく。


「最悪だよ……でも、それを言われた時は冷たい水を浴びせられたみたいに冷静になった。

 訳がわからなくなるくらい頭がぐちゃぐちゃになってるよりは全然いい。


 だけどね……わたしはもうおにーさんに軽蔑されちゃうなって思ったの。自分から早く言い出せばよかったのに……それが出来なかったわたしへの罰だよね。」


 少女はかの青年に知られたであろう自身の過去を眺める。


『必ず戻る。約束じゃ。』


 かつてこの場で交わした『友』との約束を。


『なんでっ!なんでなんで!どうして!?お願いだから嘘だと言って!!……あぁぁ………どうして………どうしてなの………約束………守ってよ……』


 自ら選んだ道の結末を。


「……それで、おにーさんがなんであんなに魔力を持ってたのかわかったんだ。

 おにーさんはあの人から直接魔力を貰ってたんだ。どおりで強いわけだよ……」


 少女はどこか疲れた表情をみせるが、またぎこちなく笑いながら話を続けた。


「あはは、ごめんね。話逸れちゃった。

 そこからはおにーさんにも従わなくちゃいけないなって思ったから……もう親しく接するなんて出来なかったよ……おにーさんはびっくりしてたけどね。

 だって、おにーさんはあの人に名前をつけたんだよ?……それってつまりそういう事だよね……」


 少女は苦しそうに表情を歪めながら続ける。


「––––はそれがどれだけ凄いことかわかる?……あの人は唯一『世界に命令を下せる存在』だったの。

 だから、あの人と同格になったおにーさんも世界に命令を下せるってこと……ううん、それだけじゃない……おにーさんならあの人にだって命令を下せる。

 そんなおにーさんと今までみたいに親しく接するなんて無理だよ……したくてもできない……」


 少女の声が少しずつ悲しみを帯びてゆく。


「そしたらおにーさんすごく怒ってた……怖い顔しながらわたしに『どうして怒ってるかわかるか?』って聞いてきたの。

 わたしが『わからない。』って答えるとおにーさんは『そうだろうな。』って……わたしは訳がわからなくて謝ろとしたけど、それもダメだった……」


 少女は震える声を抑えながら呟く。


「わかんないよ……そんなの……」


 三つの月が雲に隠れ、その隙間から差し込む光が木漏れ日のように少女を照らす。


「その後すぐにおにーさんはわたしに口調を戻せって言ったの。そうしたかった……でも、できないよ……できなかった……。

 そしたらね、おにーさんってばおかしな事を言ったの。」


 少女の表情が少しだけ明るくなる。


「戻せないなら襲うぞ、って……ふふ、おかしいよね。ひどい選択肢だよ……でも、わたしはもっと酷い。」


 月が完全に雲に覆われた事により、周囲が暗闇に染まる。

 それはまるでこの少女の今を表しているかのように……

 それを気にすることもなく少女は続ける。


「……わたしは身を委ねる方を選んだ。自分からそうしようとした……おにーさん優しいから……そうすればおにーさんと離れなくていいって思ったから……。

 きっとおにーさんなら罪悪感でいっぱいになるってわかってたから……そうしないとダメだって思ったの……わたしは最低だよ。

 おにーさんの優しさを利用しようとした……怖かったけど不思議とおにーさんならいいかなって思たんだ。でも、おにーさんは踏みとどまった。


 それからもおにーさんは優しかったよ……自分を大切にしろって……わたしは別にあの人のためにそうしようとしたんじゃないのに……。


 わたしがどうしてそこまでするの?って聞いたら『俺のエゴだ。』だって。」


 やがて厚い雲が通り過ぎ、薄月へと表情をかえていく。


「ふふ、それからは何だかおかしくなっちゃっていつもみたいな態度で話したんだ……そしたらおにーさんから頭を撫でてくれたの。ちょっとびっくりしたけど、それが嬉しかったな……」


 薄明かりの中で友に向けて語る少女。

 その声がまた震えていく。


「でもね……『また』おにーさんに嘘ついちゃった……ごめんなさい、おにーさん……ほんとはおにーさんと…二人で……居たかっただけなの……怖かったから、なんか…じゃないっ……ぐすっ…ごめんなさい……」


 少女は何かに耐えきれなくなったかのように涙を流し始めた。


「……ぐすっ………」


 しばらくして落ち着きを取り戻した少女はゆっくりと語り出す。


「……あの人も本当はもっと大人っぽくてすごく魅力的な人だったよ。

 本当はちょっと子どもっぽいのかなって思ったりもしたけど、そうじゃなくてちょっとはしゃいでただけみたい。

 本当のあの人はわたしの『知ってる主の姿』とはまた違う感じだった……おにーさんはああいうのが好きなのかなって不安になったからつい聞いちゃった……そしたら否定はしなかったけど、わたしにも望みがあるってわかったよ。 」


 ふたたび姿を現した月が照らし出す少女の表情、それは本当に嬉しそうな笑顔だった。


「それで……その後におにーさんに言いたかったこと……ううん、して欲しかった事があったんだ……頑張って言おうとしたけど、言えなかった。

 でも、別にいいかな……おにーさんにはあの人が居るし……わたしが入る隙なんて「そんな事ないぞ。」


 またしても少女が沈んだ表情で一人語りをしていると、そこに介入する者が現れた。


「っ!?誰!?」


 少女が驚いて声のした方を振り向くと……


「よぉ、ラウ。月見か?いいな、俺もまぜてくれよ。」


 そこには、かの青年が笑みを浮かべながら立っていた。




作者「おおっーと!?ここでまさかの主人公乱入だー!?

果たしてどうなるのか!?」


隊長「眠いぞ。」


作者「そうか、俺もだ。それと次回の題名すら決まってない。」


隊長「それいつもの事だろうに。」


作者「ちげぇねぇ。」


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