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忠義


えー、どうも。

バイト先でお客さんに理不尽に八つ当たりされて鬼威惨になりそうだったお兄さんこと作者です☆


話の関係上前回で言えませんでしたのでこの場をお借りしてで言わせて頂きます。


皆々様お待たせいたしましたァァァァ!!!

麗しくも可愛らしい!ローナ様のぉぉぉぉ!

登場でぇぇぇぇぇぇぇす!!!


あ、自画自賛だコレ・・・OTL


 



 ラウは俺の横に跪いて頭を垂れている。


 俺は彼女の突然の行動にまたついていけなかった。

 だが、少しだけこの立場を利用させてもらおう。


「ラウ、いくつか聞きたい事があるんだが?」


「はっ、わたくしで宜しければなんなりと。」


 彼女は微動だにすることなく淡々と答える。その忠実な姿勢に俺の中で罪悪感が膨れ上がる。


「君とローナはどんな関係だ?」


「我らは主の手によって創られた存在。それ故に我らにとって主は絶対的存在であります。」


 えっと、つまりどういう事だ?


「ごめん、もうちょい噛み砕いて説明してくれ。」


「はっ、主はこの世界を創造せし偉大なる御方。そしてわたくしはその世界の一部に過ぎません。」


 なるほど、極端に言うと母親と子どもの関係か?


 俺が頭をひねっているとラウはさらに続ける。


「わたくしは一介の創造物。創造主たる偉大なる御方の友とあればその者にも忠義を尽くす義務が御座います。

 親しく接するなど(もっ)ての(ほか)。恐れ多くも主のご友人たる貴方様への幾たびのご無礼、汗顔の至り。」


 そう言ってラウはその態勢のまま動かなくなってしまった。


 なるほど、つまり親しく接していた相手が自分を創った創造主の友人だった事がわかって物凄く気まずくなってしまったと。


 ・・・うん、こいつとびきりのバカだ。

 何もわかっていない。これではローナがここに来た意味がなくなってしまう。


「なぁ、ラウ。」


「はっ。」


「君は俺がローナと同格だと言ったな。」


「その通りで御座います。」


 ならば、その立場を使わせてもらう。


「なら、俺の言葉は絶対的と?」


「はい……。」


 ラウが何かを察したのか緊張したように体を強張らせる。


「そうか……顔を上げろ。」


「はい……ひっ……!」


 彼女がゆっくりと顔を上げるとその整った顔立ちが恐怖に歪む。


「なぁ、ラウ?」


「な、なんで……しょう、か?」


 俺はラウの右頬に手を当てて目を見据え、彼女の前髪を少しかき上げる。


「なんで俺がキレてるか、わかる?」


 自分でも驚くほどの低い声で彼女に問いかける。


「わ、わかりません……。」


 恐怖に引きつらせた表情で彼女はそう答えた。


「だろうなぁ、そりゃそうさ。わかるわけないよな?わかるはずもないもんな?」


 理不尽にもほどがあるがこればかりは強硬手段をとらせてもらう。


「も、もうしわけっ……!」


 ラウの口を手で塞ぐ。


「ラウ、違うんだ。そうじゃないんだ、謝ってほしいわけじゃない。」


「っ〜〜!」


 俺が説明しようとすると、ラウが苦しそうな表情になる。目に涙を浮かべながらもこちらを真っ直ぐに見つめるだけの彼女。


「ああ、すまん。」


 すぐに手をどける。


「ぷはっ……はぁ、はぁ……。」


「……。」


 今すぐにやめてあげたいが、そういう訳にもいかない。


「して……」


 ラウが何かを呟く。


「なんだ?」


「なら貴方はわたしにどうして欲しいのですか……身体ですか?」


 己の身を抱き込んで俺に問う彼女。


「アホか。そうじゃねぇ。」


 ラウの頭をぽんっと軽くはたいて否定する。


「なら……」


「うるせえ、少し黙って聞いてろ。」


 なるほど、こりゃローナが苦労する訳だ。


「はい……。」


 彼女を隣に座らせてから話を始める。


「まず、そもそもお前らがそんなんだから俺とローナがここに来たんだ。」


「わたし達が、ですか?」


 彼女は不思議そうな表情で聞き返してくる。


「ああ、それとその口調やめろ。」


「できません。」


 すぐにそう答えた彼女。


「なぜ?」


「主と同格の貴方に親しく接するなど……」


 理由を聞くと返ってくるのは先ほどの答え。


「……はぁ、それが原因なんだがなぁ。」


 俺は手を額にあててため息をつきながら思わず呟く。


「え?」


 彼女はその内容を理解できていないようだ。


「まぁいい、なら命令だ。その口調をやめろ。俺の言葉は絶対なんだろ?」


「……ですが。」


「口答えするなら襲うぞ。」


 これならどうだ。好きでもない相手に襲われる事ほどの恐怖はないだろう。我ながら最低だな。

 だが、友人のためならば俺は外道にでも鬼畜にでもなろう。


「それが嫌ならいつも通りの口調に戻せ。」


「……」


 だが、ラウからの返答はない。


「ラウ?うおっ!?」


 気になって彼女の方を向こうとすると急に引っ張られた。


「……どうぞ。」


 引き込まれた先で見た光景。

 それはソファで仰向けになって俺を見上げるラウの顔だった。

 俺がラウに覆い被さる形になっている。誰かに見られれば通報待ったなしだ。


「はっ?」


 素っ頓狂な声を出して固まっていると彼女は続けてこう言った。


「ですから、どうぞ。わたしが欲しいならそれくらい差し上げます……貴方なら。」


 そう言って彼女は微笑みながら俺の首に手を回す。

 紅潮した頰に潤んだ深緑色の瞳で俺を見つめる彼女。


「!」


 だが、後頭部にまわされた手は震えている。

 彼女のそれらの訳は緊張なのか、羞恥心か、はたまた恐怖によるものか、あるいは全てなのか。


 少し視線を移すとはだけた白いワンピースのせいで胸元まで視認できてしまう。


「んっ……///」


 ラウが色っぽい声を出す。

 原因は彼女が両足で俺の右足をはさんでいるために少し膝を動かすと柔らかい何かが当たったのだ。


 俺だって思春期だ。当然ソレが何かは嫌でもわかってしまう。


「お前……」


「……」


 話しかけても黙ってこちらを見つめるだけの彼女。

 もともと彼女の事を美少女だと思ってはいたが、近くで見るとそれを再認識させられる。


 この世界に来てからずっと一緒にいたラウ。

 俺にとっては初めてできた妹のような存在でいつも笑顔を咲かせていた。

 そのいつもとは違う色っぽく妖艶な笑みでこちらを見つめる彼女。


 その様子にゾクゾクと自分の中でナニカが膨れ上がる感覚。

 ドクドクと心臓の脈打つ音がうるさいほどに響く。


『汚したい。その笑顔を歪めてやりたい。』

『今すぐ自分のものにしたい。』


 本能的な思考が俺の脳内を侵食する。

 まるで(いざな)われるかのように真っ黒な衝動に駆られ


「ラウ……」


 その衝動のままに彼女の頰に手を伸ばす。


「おにーさん……」


「ッ!」


 彼女が震えながらも微笑みかけてきた。その笑顔を見て思い出す。


『女の子には優しくしなきゃだめよ?』


 俺を育ててくれたもう一人の親。『あの人』の言葉。その瞬間、今まで彼女と過ごした記憶がフラッシュバックする。


『おにーさん!今日の土地代の回収だよ!』

『なぁにこれ……にぎゃい……』

『おにーさんは嘘つかないよね?』


 何気ない日常からあの約束のこと。


『今ここで手を出せば必ず後悔する。』


 そんな予感めいた確信が俺の中で生まれ


「ぐっ!」


 俺は彼女から飛びのいた。


「お、おにーさん?」


 俺が飛びのいた事に驚きを隠せない様子のラウは起き上がって俺の隣にくる。


「はぁ、はぁ……」


 危なかった……思わず流されそうになってしまった。

 ……俺には好きな人がいる。

 たとえ二度と会えないとしても俺はその人の事を忘れる事が出来ない。いや、忘れられるはずなどない。


「大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫だ。すまん。」


 ラウは俺の背中をさすりながら心配してくれている。……ああ、こんなにも優しい子を俺は……最低だ。

 俺がやりすぎた事は認めなければならない。だが、ローナの事を敬っているとはいえ好きでもない相手に身を差し出すのもやりすぎだ。


「ラウ。」


「なんでしょうか?」


 激しい自己嫌悪に駆られながらも、彼女の目を見て俺は訴える。


「君がローナの事を敬っているのはわかった。だが自分の身を差し出すのはやりすぎだ。」


「選ばせたのは貴方です。」


 服装を整えながら冷静に答える彼女の言葉が心に突き刺さる。


「っ……すまない。俺はもう二度とこんな事はしない。だから、自分の身をもっと大切にしてくれ……。」


 そう言って俺は頭を下げる。


「……どうして貴方はそこまでこだわるんですか。」


 彼女の不満そうな声に俺は頭をあげ、無理やり笑みを浮かべて答えた。


「俺のエゴだ。」


 ローナが気を張らずに何気ない日常を過ごせるようにしたい。ただ、それだけ。


「……。」


 俺が答えると、ラウは驚いた表情で俺を見つめて


「ぷっ…ふふっ……おにーさんってほんとに変だよね。」


「っ!」


 すぐに表情を崩した。いつも通りの話し方で。


「もう、ほんとに変。」


「ああ、そうだな。」


 安堵のためか少し体が重い気がする。


「しかも、スケベで鬼畜、それなのにヘタレ。ふつう身体を許すか口調を戻すかの選択肢っておかしいよ。それにあそこまでしといてやめちゃうの?」


 ジト目で俺を非難するラウ。


「ぐっ……すまん。」


 どうやら彼女は休む暇を与えてくれないようだ。


「うん、別にいいよ。おにーさんの事は特別気に入ってるからね。」


「ありがとう。」


 先ほどまでの彼女は恐怖に怯えていたはずだ。にも関わらずこれ程までにあっさりと許せるものなのだろうか?……それ程までに彼女の言う『特別』は一線をかくした存在を指しているのだろうか。


「……あのまま流されてくれてもよかったのに。」


「?、どうかしたか?」


 ラウが何か呟いていたが聞き取れなかった。


「ううん、なんでもない。」


「そうか?なら、いいか。」


「うん、女の子には秘密がいくつもあるんだよ?」


「それは気になるな。」


 すると彼女はいたずらっぽく笑って言った。


「秘密だからだめー。」


「そりゃ残念。」


 俺は肩をすくめてそう答える。


 軽口を叩きながら笑い合う。

 これだ。俺が求めるのはこの気楽な仲であってさっきみたいな関係じゃない。


「それで結局おにーさんは何を言いたかったの?」


 ラウは不思議そうに首を傾げながら聞いてくる。


「それは……」


 そして、俺はこの世界に来る前の事を全てラウに話した。

 ローナとの出会いや俺が人ではなくなった時の事、その後に俺とローナが友人になった事、俺がこの世界に来た理由も。

 ローナが孤独だった事も。


 全てを語り終えるとラウは深く納得した様子で頷いている。


「そうだったんだね……わたしはただ尊敬してただけなのにそれがあの方を追い詰めてたなんて……。」


 事情を理解した彼女の表情は暗い。


「ああ、だから出来るだけフランクに接してあげてくれ。それが彼女のためだ。」


「……うん、頑張る。」


 まだ抵抗はあるようだが、これからゆっくりと解決していければそれでいい。


「すまん、助かる。」


 礼を言いながらラウの頭を撫でると


「っ!」


 ビクッと少し体を跳ねさせた。やはり、先のやりとりで恐怖が彼女の中に根付いてしまったのだろう。


「……すまなかった。」


 俺が手を離そうとすると


「待って。そのまま撫でて。」


 彼女は自分から俺の手を掴んで離れないようにした。


「いいのか?」


 思わず聞いてみると


「おにーさんがわたしを怖がらせた罰だよ。」


 彼女は笑いながらそう言い、俺に肩をよせてくる。


「わかった。」


『この程度で許されていい事ではない。必ず彼女に恩を返さなければいけない。』

 そんな密かな贖罪の念を胸に彼女が満足するまで頭を撫で続けることにした。


「ねぇ、おにーさん。」


「ん?なんだ?」


 ラウを撫でていると彼女が口を開いた。


「おにーさんがつけちゃったの?」


「なにがだ?」


 しかし、質問の意図が汲み取れなかったので何のことか聞いてみる。


「あの人の名前。」


 あ、そのことか。


「ああ、そうだけど?」


「ふーん、そっか……」


 俺が肯定すると彼女は俺の太ももにぽすっと頭をおき、どこか不満げな声色でそう答えた。


「え?なんかマズかったか?」


「べっつにー、それはあの人の自由だから」


 前を向くラウの表情はうかがえないが、あまりいい機嫌ではないのは確かだ。なぜだろうか?


「そうか?」


「うん……。」


 そんな雑談を交わしながら時間は流れていった。


「もういいよ。おにーさん。」


 やがて彼女からのお許しがでた。


「もういいのか?」


 俺がそう聞いてみると


「うん、あんまり『ローナさん』を待たせちゃ悪いからね。」


 彼女は笑みを浮かべてそう答えた。


「!、そうだな。」


「ふふっ。」


 そして俺たちはリビングに戻ることにした。ラウが先に部屋から出る。


「……。」


 その背中を見ながら考える。

 俺には一つ気がかりな事があった。

 それはラウが俺に対して嘘をついていないか言及してきた時のことだ。


『お兄さんは『嘘』をついていませんよね?』


 あの時の執拗なまでに問いただしてきた彼女の表情はまるで……何かを恐れているかのようだった。


 彼女の恐れている事、それは一体なんなのだろうか?


 その疑問は晴れることはなく、俺の中に違和感を残していった。


「戻ったぞー。」


 ラウと共にリビングに戻ってローナに声をかける。

 フェルとサティはフローリングで寝ている。


「むー……。」


 するとローナが見事にむくれていた。


「どうしたローナ?」


「……遅い。」


「え?なんて?」


 ローナの呟きが小さくて聞き取れなかった。


「遅いの!寂しかった!」


「ガウっ!!」


 それに同調するようにフェルも吠える。フェルはいつの間にかローナの近くにいた。


「ええ……」


「早く戻ってきてって言ったのに!」


「クゥ……」


「すまん。」


 時間的には1時間も経っていないはずなのだが、ローナもフェルもすでに待ちくたびれているようだった。サティはまだ寝ているようだが……


「フェル、こっちおいで。」


「ガウ!」


 尻尾が千切れるんじゃないかと心配になるくらい尻尾を振ってこちらに来るフェル。


「いい子だ。」


「クゥン……♪」


 俺が撫ではじめると気持ちよさそうに目を細めて甘えてくる。可愛いなぁ、こんにゃろう。


「わたしは!?」


 俺がとりあえずフェルを撫でて機嫌取りをしていると、ローナが悲鳴をあげるように言った。


「いや、後でもいいかなって。」


「ふぇ……」


「あ、やべ。」


 俺がローナに答えると彼女は絶望した顔でじわっと目が潤んでいく。


「ごめんなさい、ローナさん。わたしがおにーさんを独占しちゃって。」


 そこにすかさずラウが助け船を出してくれた。


「!、別にいいのよ?それよりも……」


 ローナがラウの変化に気がついたらしく、笑みを浮かべながら応えた。


「うん、ローナさんこれからよろしくね。」


 ラウが笑顔でそう言うと


「はいっ!」


 ローナととびきりの笑顔でそれに応える。


「おお……これは良いものだ。」


 美少女と美少の二人が笑顔で会話を交わしているだけなのに絵になっている。


「クゥ?」


 俺の呟きにフェルが不思議そうな声をあげる。


「あの二人すっげぇ可愛いだろ?自慢の友人たちだ。」


「クゥ……」


 座り込んでそう言うとフェルは悲しそうな表情と声で俺を見つめてくる。

 前々から思ってたけど表情豊かな狼だな。


「安心しろフェルだって可愛い大切な家族だから。」


「ガウっ!」


 可愛い反応を見せるフェルにわしゃわしゃと頭を撫でて笑いかけながらそう言うと、彼女もまた元気に返事をしてくれる。


 フェルは返事をすると今度は体を俺に擦りつけ始めた。


「どうしたフェルそんなに嬉しいか?」


「ガウ。」


 グリグリと身を寄せるフェルに微笑ましく思っていると、反対側からも擦りつけられるような感覚を覚えた。


「グル。」


「あれ、サティ起きたのか?」


 気がつくとサティもそれに参加している。


「こらこら、そんなに押すと危ないって……」


「クゥ……。」「グル。」


 フェルが『だめ?』サティが『やめない。』そう言いたげな目で見つめてくる。


「ダメなわけないだろう。可愛いなこのやろう。」


「ガウ♪」「グル。」


 俺はテンションを上げて二頭に抱きつき


「お前らはもう俺の家族だ。離さなねぇぞ〜。」


 そう言ってから二頭の頭や首周りを撫でまくる。


「♪」「グル……。」


「あー……癒される。」


 どちらもリラックスした様子でなすがままにされている。俺もリラックスしているが。


「わたしも撫でてよ!」


 すると横槍を入れてくる人物が。

 ローナだ。ちょいと意地悪をしてみよう。


「……うーん、まぁわかった。」


「ねぇ、なんで今ちょっと悩んだの?」


 また泣きそうな顔で訴えてくる彼女。


「その顔が見たかったから。」


 堂々と答える俺にローナはショックを受けたらしい。


「ひ、ひどい……」


「おにーさん最低。」


 ラウまでもが俺をジト目でなじってくる。


「うぐっ……悪かったって、今からそっち行くから。」


「ガウ。」「グル。」


 立ち上がるとフェルが服を軽く口にくわえて俺に抗議する。

 まるで『そっちには行かせない。』とでも言いたげな態度に


「フェルも来れば?」


 そう提案する。


「ガウ……。」


 なんだか納得いっていない様子のフェルだが、そろそろあっちに行かないとまずい気がするので説得してみる。


「聞き分けのない子は嫌いだぞ。」


「クゥン……。」


 するとあっさり引き下がった。尻尾と耳ををだらんと下げて鳴く姿はなんとも哀愁を感じさせる。


「?」


 なんとなく視線を感じたので顔を上げるとローナとラウがこちらを向いていた。


「おにーさんがローナさん泣かせたー!泣かせちゃダメだよ!おにーさん!」


 ビシッと俺を指差して言うラウに


「うぅ……ラウちゃん、ありがとう。」


 ローナはマジで泣いている。


「ほら、おにーさん早くこっちに来て!」


「お、おう。」


 少し目を離した隙に見事に団結した二人に驚きを隠せない。


 というかローナさん?あなたそんなに豆腐メンタルだったんですか?なんかごめんね?


「すまん、まさかそこまでぼっちをこじらせてるとは思っていなかった。」


 謝りながら彼女たちへ歩み寄ると


「ここに座って。」


 目元が赤くなっているローナから指示が出た。


「……わかった。」


 大人しく指示に従ってソファの真ん中に座る。

 何をするつもりかは知らんが痛いのだけは勘弁願いたい。


「はい、じゃあわたしこっちー。」


「わたしはこっちね。」


 俺の両腕に抱きついて拘束された。ラウが左腕、ローナが右腕となっている。

 左腕はなんかちょっと柔らかくて、右腕はフふかふかです。ありがとうございます。完全に挟みこまれてます。ありがとうございます。


(ラウはBなかばくらいで、ローナはE……いや、Fか?ダメだ、まったくわからん。)


 だが、内心割と冷静に胸部のサイズの憶測を立てている。どうやら思考が一周回ってしまったらしい。


「ねぇ、おにーさん今どんな気持ち?」


 左耳元でラウが囁き


「タケシ……どう?」


 右耳元でローナが囁く。


(あ、ダメだ。理性がぶっ壊れそう……。)


 だが、その見事な連携プレーで思考を見事に引き戻されてしまう。

 ラウとさっきあんな雰囲気になったせいで不完全燃焼なのに加えてこの状況下だ。

 理性がまだ残っている自分を褒め称えたい気分だ。


「あの、お二人さん?色々とまずいのでやめて頂けないでしょうか?」


 やんわりと警告したが


「ダメー。」


「いや。」


 どうやら離してくれる気はないらしい。


(シュティ、なんか気の紛れる話をしてくれ。)


 《承知しました。》


 諦めた俺はシュティに無茶振りしながらこの時間を過ごすことにした。


 《では、現在の主様の状態を鑑みて主様の記憶から読み取ったえーぶいについてお話を。》


(なにそれ詳しく。)


 予想外の吉報を受け取りながら。




作者「この作品はR-15です。グロいだけじゃないよ☆今回のような描写もたまにあると思います。書きたくなったらデスガ。」


隊長「完全に忘れていたぞ。」


作者「でしょうね。

それはそうとして、実は何も考えずに書いているようで案外伏線がシレッとはってある事がちょくちょくあります。」


隊長「そのくせ深く考えるなと?」


作者「そりゃあ俺がすぐに答え出しちゃうし。」


隊長「堪え性のないやつだ。」


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― 新着の感想 ―
[一言] つかよ他人にキレてるか問うならてめぇの壊滅的に頭の悪さを治したほうがいいよ。認めた相手に何かを託す意味を理解できないなら友だの恋だの愛だのほざかないでもらいたいわ。
2019/11/27 19:46 退会済み
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