返答
明日は学校で強制的に基礎製図検定(´・ω・`)
二ヶ月以内に3つの資格試験・・・
なんでやねん・・・・
どうして?
自然体であったが故に気が付かなかった。
「いつも通り」の感覚。
何故『体』とその『感覚』が存在するのか。
『ソレ』は本来ならば普通の事であり
それ故に、疑問を持つ必要など無い。
むしろ、無くてはならないモノである。
しかし、『ソレ』は『生きていれば』の話である。
人は生きているからこそ筋肉が動き、表情があり、心臓が脈動し、血液が体を巡る。
そして、五感もまた然り。
死した筈の自分の身になぜ?
そういったものなど必要のない筈。
この場においては完全に『不自然』だ。
なのになぜ?
これでは、まるで
『生きているようではないか。』
その疑問に答えたのは、目の前にいる女神たる彼女だった。
「ああ、それはですね。私が作ったんですよ。どうですか?凄いでしょう?生前と変わらない感覚でしょう?」
「は・・・・?」
まるで悪戯が成功した子どもの様な笑顔で、そう宣う彼女に俺は唖然とし、気の抜けた返事をする。
「どうしてです?・・・・・いや、そんな事よりもどうやって?」
聞かずにはいられなかった。疑問と興味が同時に湧いてくる。『この神なら出来る。』という謎の確信と共に。
その2つの問いに彼女は
「そうですね、まず前者から。理由は至極単純で、そうしないとお茶が飲めないからです。」
『正確には味がわかりません。』と彼女は付け加える。ああ、なるほど・・・なんともわかりやすくかつ理不尽な理由なのだろうか。そこまでするのか・・すげぇな神様。
「さて、そろそろお茶にしましょうか。後者の答えは飲みながらでも。」
「あ、そうでした。頂きます。」
席に着いてから紅茶に全く手を付けてなかった事に気付き、逸る気持ちを抑えつつ一口飲む。
・・・紅茶を淹れる際にシレッと手を振っただけで紅茶が入ったのには突っ込まない。
神様だもんね。カミサマッテスゴイナー。
「美味い・・・・」
今まで紅茶など殆ど飲まなかったし、ペットボトルの紅茶は苦手で飲めなかったが、素人でもこれは素晴らしい品だとわかる。
芳醇な香りと琥珀色をした見た目。
温度は熱過ぎずに飲みやすい温度にしてある。
ほんとに美味い。
残念な事に素人の俺ではそれくらいの事しか言えない。
「それは、よかったです。実はこれ、私専用の茶葉でして他の神様でも滅多に飲めないんですよ?あ、クッキーもありますよ?」
「どうも。」
なんかまた凄い事を言っていた気がするが聞かなかった事にする。
勧められるがままにクッキーをもそもそと食べる。
これもまた美味い。サクサクした食感のものや生サブレのようなしっとりとした食感のものまであり、いくつかの食感が用意されている。味も微妙に全てに違いがあって、その全てが紅茶に合うように作られている。
これも、この人専用なのだろうか?
一息ついたところで彼女は口を開く
「えっと、それでですね。先の質問の件なんですがどうやって作ったかといいますと。」
そう言ってどこからともなく丸い光り輝く球体を取り出した。半透明で優しく光っている。
「これが魂です。あ、でもこれは模造品ですよ?」
・・・なんかサラッと、とんでもない事言いよったぞこの人。魂の模造品なんて初めて聞いたわ。
そんなものまであるのか。
「そして、魂には容量や強度がありまして、これに一定以上の力を与えると人の形をとれるようになります。そこから、さらに加えていくとあら不思議。前世の記憶と感覚を持ったまま殆ど生身の状態に。」
3分でクッキングみたいなノリで言ってるけど結構凄い事だよね、それ。
「ただ、これにはいくつか問題がありまして・・・」
そう言葉を区切る彼女に俺は問いかける。
「問題?どんなです?」
「えっと、それがですね・・・」
言い淀む彼女に、何故かわからないが少し胸騒ぎがした。
そして、意を決した様に口を開き
「弾けちゃうんです。」
・・・・・・・・え?弾けるって何?まさか魂が?
「はい、私が力を注いでいる時に人の形を取る前に容量を超えたり、人の形をとれても強度が足りなかったりするとそれはもう見事に【 パリンッ!! 】と・・」
彼女は模造品を実際に弾けさせてみせた。
いや、魂ってそんな風に弾けちゃう様なモノなの?それに見事にってなに?なんで恍惚とした表情してるの?
確かに見た目はクリスタルの花の様で小さくて幻想的で綺麗な花火だったけどさ。
それでも怖いよ やっぱこの人恐い。
俺が戦々恐々としていると、彼女は慌てた様子で少し早口気味にこう捲し立てた。
「ち、違うんです!今は匙加減も覚えましたし大丈夫なんです!ただ、最初の方に少し・・・失敗しちゃって・・・・その・・ちょっとクセになりそうだっただけで・・・」
と、恥ずかしそうにしているが、まず匙加減次第で魂壊せるって時点で色々とアレだよ。
魂壊すのがクセになりそうってどんな思考してんだ?
そんな綺麗な見た目して実は破壊神とかないよね?
ちゃっかり最初の方に何人分かの魂が犠牲になってるよね?
いや、恥ずかしそうにしてるのも可愛いけどさ。
「そ、そんな事より他に聞きたい事はありませんか!?」
あ、逃げた。ものすごく露骨に。
「だ、だってぇ・・・うぅ・・」
彼女はぷるぷると震え、目を潤ませながらに上目遣いでこちらを見る。このまま弄るのも楽しいが可哀想なのでこの辺りでやめておこうかな・・・・いや、でももう少しだけならいいよね?
「いじわる。」
いじけた様に口を少し尖らせてそう一言呟く。やっぱり可愛いな・・なんか癒される。
やっぱり、もうちょっと楽しもう・・・・あ、今度はぷくーっとむくれた。子どもかっ!でも可愛いな・・・。ほんと表情豊かだなこの神様。
うん、ここまでにしておこう。
なんか自分の新しい扉開いた気もするけど。余は満足じゃ。
先程までの彼女の表情を脳内シャッターに収めながら話題を考える。
そういえば、この人の名前知らないな。自己紹介の時も 「女神」 とだけだったし、なにか言えない事情でもあるのか?
「いえ、ありませんよ?」
「え、ないの?」
「はい、特にないですよ?」
もはや、流れる様に人しての思考に割り込んであっけからんと答える彼女。
俺の配慮を返してくれ・・・
「それ、返せるようなものではないですよ?」
「うるせぇ 比喩だよ畜生。」
・・・・・やってしまった。
神様というよりも友人と会話しているような気がして天然なのかわざとなのかわからない返答に、俺はついキツめの返しをしてしまった。
これは余談なのだが。
俺はとある友人との会話の際にお互い罵詈雑言の嵐の為、知らない人からするとケンカしているようにしか見えない。なので、かなり驚かれる。
さて、そんな俺がその友人のような感覚で神様相手に話すとどうなるのか。
正直に言って終わったなコレ。あー、魂弾けさせられるのかね。
そんな事を考えながら恐る恐る彼女の方を見ると。
「・・・・・・・」
無言である。
驚いた表情ではあるものの
無言である。
反応が無いのって結構怖い。
それから時間としてどれ程経っただろう。
1分あるいは5分位かもしれないし実は数十秒かもしれない。
そんな、張り詰めた緊張感の中で彼女は
「ぷっ、ふふ、ふふふ、ふふふふふふ。」
吹き出した。
それはもう愉快そうに。
上品でお淑やかに。
それでいてとても楽しそうに。
「ふふっ、失礼、でも、ふふふ、そんな風に返されたのって、ふふっ、初めてで、ふふ、あぁ、もうダメ。」
そう言いいながら彼女は机に顔を伏せ、お腹を片手で抑えてずっと笑っていた。
俺は予想していなかった展開についていけず、またしても唖然としていた。
因みに、主人公ととある友人の罵詈雑言な会話は
作者とその友人の会話が元です
リアルではもっと酷い
実際に「お前らおかしい」と言われた事もあります笑
コメントにて頂きました読点に関する修正を行いました。(2017/12/8 22:22)
一部修正を行いました。
(2017/12/19 12:24)
一部修正を行いました。
(2017/12/28 9:30)