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勘違い

法事があって遅れました。

年忌なのであまり気にしないでください。


それとは別にちょっと報告というかなんといますか・・・活動報告に大事な事を載せますのでご了承下さい。絶対に見てください。

あまりいいお知らせではないかな?


ご指摘頂いたので右上の作者の名前をタップして頂くと活動報告に飛べるようにしました。

『青く』なっているやつです。

そこから活動報告が閲覧可能です。

(21017/12/20 15:48)


 




 爆発の最中(さなか)、そこには一人の男がいた。


(あーあ、やっちまった・・・・これじゃあラウの言う通りお人好しじゃねぇか・・・)


 辺りは黒煙に包まれ、外からその姿はうかがえない。


 俺は事態が思い通りにいかなくなった事で生じた問題を抱えていた。文字通り物理的に。


「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」


「え・・・あ・・・うん。」


 とりあえず声をかけ、コク、と頷く彼女にひとまず安心する。


(ん?彼女?)


 よく見て見ると男だと思っていた指揮官は女性だった。マジかよ・・・しかし、今その事は些事に過ぎない。どちらにせよ問題とは彼女の事なのだから。

 俺は今お姫様抱っこの形でこの女性を抱えている。その原因は、彼女の部下が墜としたFw(フォッケウルフ)だ。

 風に煽られ姿勢制御が出来なくなったFwを更に攻撃した事で、彼女めがけて真っ直ぐに墜落したのだ。もし直撃していれば死は(まぬが)れない、だから俺が即座に転移して機体から彼女を守った。


 つい先ほどまでは全て俺の思い描いた通りに事が進んでいたはずなのに、彼女が何を思ったのか航空機に正面から仕掛け、魔法で起こした乱気流によって航空機が落とされてしまった。

 その事により撃墜されると思っていなかった航空機隊の一部に損害が出てしまい、墜落すれば死傷者が出る可能性がある事を考慮していなかったのだ。

 とにかく無事ならそれでいい。今は攻撃隊を止めなければいけない。人を殺すつもりは無いからだ。


「全機攻撃中止、繰り返す、全機攻撃を中止せよ。」


 《命令を受諾。全航空機の攻撃を中止。空中待機とします。》


「ああ、ありがとう。」


 俺はシュティに命令を下し、辺りを見渡すと彼女の乗っていたワイバーンも無事のようだ。よかった。

 安堵していると彼女が口を開いた。


「あ・・あなたは・・・?」


 やはり混乱しているのか少し言葉に詰まりながら聞いてくる彼女に俺は答える。


「あの森に住まう者です。貴女が討伐隊の指揮官でよろしいですか?」


「・・・・・ええ・・ちょっと待って、討伐隊?何のこと?」


 少し目を見開いて俺を見る彼女は間をあけ、肯定したかと思えば今度は首を傾げる。

 その様子に俺は困惑し、聞いてみる。


「え?あれって俺に向けた討伐隊じゃないんですか?」


「ええ・・あれは捜索隊よ。それも、とある人を探す為の。」


 どうやら嘘はついていないようだ。だって、この人も困惑した表情を浮かべているし・・・・あれ?これって俺の勘違い?恥ずかしいパターン?


 そんな事を考えていると煙が晴れたせいで外から声がかかった。


「隊長!!ご無事で・・す・・・か・・」


 彼女の部下と思わしき女性の騎士が近づいてきた。ただ何故かぽかん、としている。

 そして俺は自分の姿を思い出す。


(あ、やべ。背中に翼生やしたまんまだった・・・)


 とにかく俺は抱えている彼女に拘束魔法をかける。


「え?ちょっと!?」


「すみませんがジッとしてて下さいね。」


「あなた一体何を・・きゃっ!」


「貴様!何を・・!!」

「動くな!!」


 騎士の言葉を聞かずに俺は圧をかけ、魔法を拡声器のかわりにして捜索隊に呼びかける。


 〈捜索隊の皆さんおはようございます。そして、初めまして。あなた方の指揮官はお預かりさせて頂きました。彼女の解放条件は二つです。

 1つ、全員武装解除して下さい。

 2つ、少し私とお話をしましょう。

 以上が私からの条件です。要求に応えられない場合は彼女を殺害します。〉

「なっ!?ふざけるな!今すぐに隊長を解放しろ!」

「ほう?あなたはこの状況を理解出来ないのですか?」


 そう言って航空機を俺の周りに展開させる。今の俺は完全に悪役だ。


「卑怯な!」


「戦いに卑怯もなにもないでしょう?使えるものは使う、それだけです。」


「ちっ・・!」


 俺がすまし顔で反論すると騎士は言葉では通じないと理解したのか魔法を唱えようとする。


「やめなさい!大人しく彼に従って!おそらく彼は私たちが捜していた人物よ!」


 だが、それは隊長と呼ばれた彼女によって止められた。


「っ!・・・はい、申し訳ありません。」


 まさに鶴の一声とでも言えばいいのだろうか?驚くほどに大人しく引き下がった。


「ごめんなさいね、うちの者が。」


「いえ、貴女が謝る必要はありませんよ?というよりもよくこんな状況で敵に向かって謝れますね?」


「それは・・・貴方が優しい人だからよ。その証拠に誰一人として殺してないでしょ?それに、私も助けてくれた。」


「そう見えるだけかも知れませんよ?」

「それはないわね。」

「そうですか。」

「ええ。」


 俺が笑いながら言うと一切の躊躇もなく断言された。どうしたらそんな即座に断定できるのかを問い詰めたいところだ。


 優しいかどうかはともかくとして、俺は素直にこの人の事を尊敬する。人質に取られてなお、周囲の状況を理解して行動できるのだ。

 俺なら無理だね。当たり前だけど。


「では、皆さんが武装解除したようなので地上に降りますね。」


「ええ。」


 話しているうちに残った全員が武装解除し、地上に集まっていたので俺は彼女を抱えたまま降りる。


「ギャウ・・・」


 彼女のワイバーンが心配そうにこちらを見つめてくるので、俺は笑いかけながら安心させるために話しかける。


「大丈夫、君の(あるじ)を本当に殺したりはしない。ちょっと話がしたいだけなんだ。心配させてごめんな?君は優しい子だ。」


「ギュウ・・・」


 俺がそう言うとワイバーンは理解したのか一度頷き、俺と一緒に空をゆっくりと降下する。

 やがて、地面に降り立つと俺は翼をしまい込んでから


「賢い子だ。」


「ギュウ。」


 一言かけて頭を撫でた。ワイバーンは特に抵抗する仕草もなく大人しく撫でられる。少しざらざらしていて無骨な手触りだが悪くない。


「え・・・?」


 なぜか彼女がショックを受けている。なんでだ?ま、いっか。


「しかし、うちのサティとフェルも可愛げがあったがドラゴンも可愛いもんだな。」


「・・・・それは貴方だけよ。」


 俺が苦笑しながらそう言うと少しムッ、とした様子で彼女に言われてしまった。微妙に不機嫌なご様子だ。俺が気にしたところで仕方ない事なのだろうが。

 そんな事よりも今はこの状況をどうにかしないとな。


「こちらは武装を解除した。貴殿の話も聞こう。これでいいだろう?」


 魔法の餌食になっていない生き残りの騎士や冒険者たちが俺を取り囲む。いや、別に他の人たちもちゃんと生きてるけどね?ちょっと拘束しただけであって。


「ええ、そうですね。では、まずは「あ!この声は!!」


 俺の発言を遮って、何だか聞き覚えのある声がした。・・・面倒な事になりそうなので無視する。


「では、この方ともう一人責任者の方とで話し合いがしたいのですが。」

「ちょっと待ってほしいです!」


「・・・・・・」


 俺があえて無視した事に気がつかなかったのかさらに話しかけてくる。ちら、と声のする方を見てみるといつぞやの冒険者の姿が視界に映った。

 仕方ないので俺はそちらを向くと、なぜかキラキラと目を輝かせてこちらを食い入るように見てくる女性の姿があった。ただし、拘束魔法にやられてイモ虫の如く地面に転がっているが・・・。

 あまりにも見つめてくるのでつい返事をしてしまう。


「なんでしょうか?俺になにか?」


「その喋り方!声!やっぱりです!やっぱりあなたが【深淵の狩人】さんだったんです!」


「はい・・・・?」


「やっぱり・・・」「っ・・・!?」「おい、聞いたか?」「ああ、だがあの青年がか?」「でも空を飛んでたぞ?」「だが弓は使ってなかったよな?」


 拘束している彼女が何かを呟き、俺を取り囲む人々の間にどよめきが起こる。ヒソヒソとなにやら話しているようだ。


 それにしても何を言っているんだこの人は?本気で意味がわからん。

 ていうか、そのネーミングはどうなの?どこぞのアル◯リウスさんですか?深淵を歩くんですか?白狼が墓守をしてるんですか?


「人違いですよ、それでは。」


「人違いじゃないです!絶対そうなのです!」


「うるさいです。人違いですよ。」


「待って、彼のことを知ってるの?」


 シラを切ろうとすると、俺が拘束している女性が待ったをかけた。


「前にジャバウォックから助けてくれた方です!!」


「そうなの?」


 彼女は俺の顔を覗き込んで聞いてくる。すごく綺麗な人だなぁ・・・ってそうじゃない。


「・・・だったらなんだというんですか?」


「この前はありがとうなのです!!」


「へ・・・?」


 余計な事を考えていたせいか正直に言ってしまった。俺が肯定すると冒険者の女性は地面に転がったまま、笑顔でお礼を言ってきた。

 まさか礼を言われるとは思っていなかったので変な声が出てしまい、そこに追い打ちをかけるように抱えている女性が言う。


「貴方やっぱり優しいのね。」


「そんな事は「そうなのです!」


「私たちの領主様の娘や多くの人を助け、自分の敵を殺さずに無力化したのは誰かしら?私たちはその人を街に招くためにやって来たのよ?」


「・・・はぁ、もういいです。わかりましたよ。」


 否定しようとするも言葉をかぶせられ、反論する隙も与えられなかった。誉め殺しだ。

 それに毒気を抜かれた俺は全員の拘束魔法を解いてから女性をおろした。


「魔法が・・・?」「解けたのです!」「俺は自由だーー!」「はぁ、疲れた。寝る。」


 そこかしこで喜びの声が上がっている。


「あら、いいの?今ここに居る全員で貴方を殺すかも知れないのよ?」


「出来るならどうぞ。」


 意外そうな顔をして辺りを見渡し、流し目で挑発するような口調で言う彼女に同じ意味合いを込めて返す。


(シュティ、頼む。)

 《承知しました。》


 魔力秘匿を解除しながら。


「っ!・・・私たちには無理そうね。」


「そうですか、それは重畳。」


 俺が魔力をまき散らした事で理解したらしく、肩をすくめて苦笑する彼女に俺も笑顔で応える。

 とりあえずまた魔力を秘匿して元の状態に戻す。


「ふぅ・・結構キツイわね。」


「そうでしょうね。」


 魔力を引っ込めたことで緊張が解けたらしく、息を吐きながら言う彼女に俺は同意する。


 だって権能の《眼》でこの人たちの魔力の流れ見たら数センチくらいの幅しかなかったし。ラウと同等の10メートルってやっぱ異常なんだね。ラウって一体なんなの?世界樹の精霊ってやっぱ凄いのか?凄いんだな、うん。

 そして、見渡す限り全員がこっちに向いた。


「貴方も人が悪いわね。びっくりしたわよ?」

「褒め言葉として受け取っておきます。」


「ふふ、面白いわね。気に入ったわ。」


「遠慮しておきます。」

「あら、つれないのね。」


「ええ、簡単に人を信用できるほど人として出来ていませんので。」

「それは頑張らないといけないわね。」


「?」


 なにを頑張るのかわからないが、それは個人の勝手だ。俺が干渉する必要はない。

 そんなちょっとしたやりとりをしていると、周りの様子がおかしい事に気づいた。


「おい聞いたか?あの副団長が・・」「歳かなぁ・・耳が悪くなったのかもしれん。」「うそ・・だろ・・・」「年下趣味だったのか・・・」「やっとか・・行き遅れ確定どころか無理だろって思ってたぜ。」「団長なんて言うんだろ・・・」


 ・・・うん、聞かなかった事にしよう。久々に勘が働いた、『やめておけ。』とな。俺しーらないっと。

 そんなことを考えていると彼女から質問された。


「ところで話がしたい、というのはどういうことなの?」


「ああ、それはですね。元はと言えば俺の勘違いから始まるのですが・・・お恥ずかしいことにあなた方を俺に差し向けられた討伐隊と勘違いしたことから始まります。

 なので俺自身の身を守るためと平穏な日々を過ごすために交渉の必要があると判断し、こちらに出向かせていただきました。ただ、正面から馬鹿正直に出ればどうなるかは俺にも予想できません。ですので一旦は全員か大多数を大人しくさせてから交渉に持ち込むために策を練りました。」


「それで私たちに奇襲をかけたのね?」


「ええ。」


「なるほど、経緯は理解したわ。でも、どうして私たちが討伐隊だと思ったの?」


「あー・・それは、あの冒険者のパーティーと騎士の方の会話を聞いたからですね。」


 そう言って俺は地面に転がっていた女性を指差すと、その人『たち』が反応する。


「え?フィリアたちのことです?」

「・・・」

「まいったな。」

「あー!あんた!」


 増えてる・・・いや、正確には拘束が解けて戻っててきただけか。そういえば、フィリアとかいう名前だったっけ?忘れてた。


「あなた達は・・・そういえば少し前に冒険者が助けられたって報告があったわね。その人たちかしら?」


「はい。私が通信を受け、現場に急行しました。我々が到着した時には彼に逃げられてしまいましたが・・・」


 女性が確認すると彼女の部下であろうと思われる女性が口を開き、嘘をつくことなく少し前にあった事を説明した。俺もそれに同意する。


「ああ、その時ですね。その後あなた方を観察して会話を少々盗み聞きさせてもらいました。ほとんど聞き取れませんでしたけど。」


「なに!?」「まじかよ。」「・・・バレていたか。」「そうだったんです?」「それでなのね・・・」


 当時者が各々の反応を示す。


「そうだったのね。なら詳しく聞きたいから場所を変えましょう。指揮所があるからそこでいいわね?ずっと立ち話も疲れるわ。」


「そうですか、ならお言葉に甘えて。」


「そんな大したものじゃないわよ?」


「癖みたいなものですよ。」


 笑いながら言う彼女に俺は苦笑しながら答える。


「隊長!私も同席します!」

「いらない、私一人でいい。」

「それは危険です!」

「なら命令、来ないで。」


 すごく可哀想なものを見た気がする・・・遊んでくれると思った子犬が遊んでくれないとわかって一気にテンションが下がるかんじのやつだ。

 めっちゃ恨みがましい目で見てくる。なんかごめん。ほんとごめん。

 ・・・あれだ、デジャヴを感じると思ったらサティとフェルだ。初めて会ったときにフェルにすごい睨まれたな。


 それはそうと一つ聞いていない事があったのを思い出す。歩きながらそれについて聞いてみることにした。


「そういえば貴女のお名前は?」


「自己紹介がまだだったわね・・・私はクレア。クレア・エルメスよ。あなたは?」


「清水 猛士です。いえ、ここではタケシ・シミズですかね?」


「タケシ・・・タケシね、覚えたわ。よろしくお願いするわタケシ。」


「ええ、よろしくお願いします。」


 そんなわけでこの女性の名前が判明した。エルメスってなんかのブランドであったよね?それしか出てこなくてなんか申し訳ないんだけど・・・


「さ、着いたわよタケシ。」


「ありがとうございます。」


「礼儀正しいわね、どこかの貴族?」


「いえ、ただの国民性なので違いますね。」


「そう。」


「はい。」


 どうして貴族など疑われたのかは疑問だが、とりあえず今はこの人達のことを知る必要がある。


 そうして俺は捜索隊の指揮官 クレア・エルメスと会談の場を設けることになった。



作者「・・・」


隊長「どうした。」


作者「活動報告のやつにアンチコメとか来ても気にしない。」


隊長「考えなしに書くからだ。」


作者「まさか、見てくれる方がいるとは思わなかったじゃん?」



これまで投稿したやつを修正しながら思ったんですけどやっぱり書きたいように書きます。

会話文の差し込みの行間に関しては一行にします。

読点などはしっかりつけさせていただきますのでそこはご安心ください。

(2017/12/29 21:57)

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