本
いやー今日でテスト最終日だったんですよねー
やっと終わりました!
さて、短いですが投稿デス。
あれ?短いのか?
「あぁ〜疲れた〜。」
帰宅した俺は湯船に浸かりながら今日あった出来事を思い出していた。
帰宅してからというものの、ラウにめちゃくちゃ心配されたり、新しく増えた同居人・・というよりペット(?)を紹介した際のラウの何もかも諦めたかの様な目と失礼な発言があったり。
『お、おにーさん!凄い魔力だったけど何かあったの!?』
『あぁ・・えーと、まぁ、少しな・・・それよりも喜べラウ!新しい家族だ!』
俺が声を大きくして言うと
『・・・いきなり何言ってるの?』
少々冷たい目で見られた。
そんなラウを俺は催促する。
『窓の外見てみ?』
『・・・・え・・・?・・あぁ、うん・・おにーさんのやる事だもんね・・・うん・・・・』
窓の外に待機しているサティとフェルの両頭を見るやいなや即座に考える事を諦めたようだ。
何やら乾いた笑い声をあげながらブツブツと言っている。
『え、あのちょっとラウさん?おーい・・・』
『・・いつもどうしておにーさんは・・・・もう・・』
一向に返事がない為、流石にちょっと焦ったので質問を投げかけてみる。
『えーと、ラウ?箸の練習はどうだった?』
『・・・・え?あぁ、うん。頑張ったよ?』
『そうか、ならケーキ食べるか?』
『ほんとっ!?』
『約束だからな。』
『やったー!』
そんなこんなでラウを元に戻し、ケーキを食べながら今日の出来事を話した。
すると、ラウは首を捻りながら
『うん?マンティコア?本当に?』
『ああ、そうだけど?』
『ならおかしいな・・・』
『おかしいって何がだ?』
『それはね?マンティコアは森のもっと外側にいるはずなんだよ。普通こんな奥地までは入ってこないし、住むはずが無いんだけどなぁ・・・』
『マジか。』
『うん。だから、おかしいの。』
疑問を呈した。
確か、サティ達が襲われていたのはいつもの湖畔の近くだった。
その謎に俺は頭を捻る。
『普通居るはずのないマンティコアが森の奥地に居た・・・それには何かイレギュラーがあった・・・イレギュラーには大抵何かしらの理由がある。そうでなければイレギュラーが起こる事も無い・・・だとすれば、そのイレギュラーが何なのか・・・』
『おにーさん、イレギュラーって何?』
『・・ん?あぁ、不規則や変則的って意味だ。つまり、今回のは普通ではない事が起きたって事だな。』
『わかった。でも、それっておにーさんの討伐隊のせいじゃ無いの?』
ラウがケーキを食べながら意見する。
それに対して俺は理由を問う。
『・・・根拠は?』
『おにーさんを倒す為の討伐隊はそれこそ実力者が多いはず、理由はこの森の奥地まで来る事を考えたら嫌でもそうなるの。ならその道中で出会った魔物は?もちろん狩るよね?それに、それは一日や二日じゃない。』
『なるほど、生活圏を脅かされてこちらまで来たのか・・・』
その単純ではあれど辻褄の合う意見に俺はある程度は納得する。
しかし、そうなると何故サティやフェルがあんなにも傷ついていたのかが気になる。
『じゃあ、何故森の主たるサティを襲ったんだ?生きていくには別に手を出さなくても良かった筈だ。』
『さぁ?マンティコアは頭良いし悪辣だからね〜。何か勝算があったんじゃ無い?』
『んー・・・そうか。』
事実、サティとフェルも瀕死の状態に追い込まれていた。
『あっ・・それとも・・・』
ラウが何かを思い付いたように呟く。
『今度はなんだ?』
俺が聞くとラウは静かに俺を指差した。
その行動に俺は
『え?俺?』
更に聞き返すとラウはコクコク、と首を縦に振って肯定する。
『おにーさんが魔力を隠したからチャンスだと思ったんじゃない?大きな脅威がいなくなった、今ならいける、って。』
『・・・それって全部俺が悪くね?』
『うん、おにーさんが悪いね。』
そう言うとラウはケーキ最後の一切れを口にした。
推測とはいえ、殆ど正解に近いような答えが出てきた。
しかも、原因は全部俺。
「はぁ〜・・・もし俺が原因ならさっさと解決しねぇとなぁ・・・・」
明日はサティとフェルの体を洗ってやろうと思っていたのだが、予定変更だ。
例え、あの推論が正しかろうと間違いであろうと、最終的には討伐隊の皆様にはお引き取り願わねばならない。
今のところこっちに影響は無いと踏んでいたが、どうやらその見積もりは甘かったようだ。
「明日は討伐隊のとこまで行って交渉に持ち込むか。」
そう思い立ち、風呂から上がった。
「良い湯だったな・・・ん?」
風呂場から寝室に戻り、ベッドに視線を向けるとそこには一冊の本が置いてあった。
「なんだこれ?こんな本持ってたっけ?」
その本を手に取り、眺める。
それは黒い表紙で特に何も書かれていない。
見た目的には聖書のような感じで、重厚な雰囲気を醸し出している。
「どれどれ中身は〜っと・・え?」
テキトウに本を開き、ページをパラパラとめくってみたがそこには何も書かれていなかった。
真っ白なページがひたすらに続いているだけだ。
「なんか気持ち悪りぃな・・・まぁ、いいや放っておくか。」
そう思い、本を閉じるついでに表紙の方まで遡っていると
「あ、なんか書いてる。内容は・・・」
一番最初のページに何かが書かれていた。
そこにはこんな文章が載っていた。
『光在りて闇在り。
されど
闇在りて光在らず。
光、古より生み出されしモノ也。
光、世を生み出せしモノ也。
光、偽りにして偽り成らざるモノ也。
光、理にして理成らざるモノ也。』
「・・・さっぱり意味が分からんぞ。」
全く理解出来ない内容だった。
しかし、下に余白があるのでまだ続きがあるのかもしれない。
「伝えたい事があるならもっと分かり易く書けよ・・・」
結局読んでも内容がわからないので気にする事無く、本をスタンドライトの近くに置いてベッドに入った。
「しかし、今日は変な事が起きるな・・・」
俺は今日の出来事を思い返していた。
突然話し始めた《全知全能》。
サティとフェルの負傷や俺自身のあの変貌、そしてシュティとは違う謎の『声』。
最後には中身の無いの本ときた。いや、正確には少し書かれていたが、意味がわからなかった。
どうにも状況がよくわからない。
とりあえず今は討伐隊の問題から片付けよう。
・・・そういえば、シュティが途中から全く話しかけて来なかったな。
ふと疑問に思った俺は話しかけてみる事にした。
「シュティ。」
《はい。》
「なんだ、いるんじゃねぇか。どうして話しかけてこなかったんだ?」
《いえ、私如きが主様の行動を阻害してはならないと思い至った所存です。》
「そっか・・・」
《はい。》
スキルに気を遣われた・・・何というか、複雑な気分だ。
《御迷惑でしたでしょうか?》
「いや、そんな事ないよ。ありがとう、シュティ。」
《勿体無き御言葉。》
シュティがちゃんといてくれた事に安心感を覚えた俺に睡魔が襲ってくる。
「ふぁ〜・・眠みぃ・・・そろそろ寝るか。」
《お休みなさいませ。主様。》
「ああ、おやすみ。」
そして、俺はその睡魔に抗う事なく身を委ね、意識を手放した。
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「ん・・ここは何処だ?俺は寝てた筈なんだが・・・」
気がつくと朝ではなく、『真っ黒な空間』に俺は居た。
「夢か。・・にしても真っ黒な空間ってなんだよ・・・俺はそんなもん知らんけどなぁ・・」
何をするでも無く、ただ黒で埋め尽くされたその空間に浮いている。
「これって動けるのか?・・っと、飛ぶときと感覚は同じだな。」
空を飛ぶのと同じ要領で黒い空間を移動する。
「・・・本当に何にも無いな。最早進んでるのか後ろに下がっているのかさえ分からん。」
そんな中をひたすらに飛び続け、帰りたいとさえ思い始めた頃だった。
「・・?人か?」
ポツリ、と佇む一人の人間らしき影が居た。
「おーーーい!聞こえるかーー!?」
俺はその影に向かって大声で叫ぶ。
だがその影には聞こえない様だ。
「・・行ってみるか。」
聞こえないなら接触すれぼいい、そう思い移動しようとした矢先だった。
「うおっ!?」
急激に体を後ろに引っ張られる感覚。
驚きつつも俺は後ろを確認すると
「何だ・・・・は?」
そこにはもう一つの人影が居た。
正面を見るがそれとは別の影のようだ。
そして、その影が俺の耳元で囁く。
『まダ・・ハヤイ・・・・』
その声はあの時の『声』だった。
粘りつき、こびりつくような独特の声。
しかし、恐怖よりも先にある衝動に駆られる。
「何がだ!!何がまだ早い!?答えろ!!」
俺は影が答える事は無いとわかっていても聞かずにはいられなかった。
だが、やはり影は答えず、ただ此方を見ているだけだ。
顔は見えない、それに全身が黒い塊なのにそれは影だと認識出来てしまう。
「おい!お前!お前は誰だ!それだけでも答えろ!!」
俺がそう聞くと影が笑った気がした。
そして
『マた・・・いずレ・・・・』
そう一言残し、その影は完全に消え去った。
そして、俺はまた体を引っ張られる感覚に襲われる。
「くそっ!待て!まだだ!まだ話は終わってない!」
俺が叫ぶと、今度は正面の影が此方に振り向いた気がした。
だが、俺は後ろの方へと急激に引っ張られてゆく。
正面の影が小さくなってゆき、完全に見えなくなった頃
俺は意識を失った。
作者「期末テスト終わったー!」
隊長「そうか、ならテスト終了記念にこのキノコをやろう。」
作者「いらねぇよ!」