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逆鱗

注意事項

今回と次回の話にはグロ要素が御座います

今回は無いに等しいですが次回割とグロい描写です

苦手な方はお気をつけ下さい


構わん続けろ


という方はどうぞお楽しみ下さい


あと私が書きたかった話はこの辺りです


本日中にもう1話投稿する予定です


 




 サティ達を囲んでいるのは『マンティコア』という魔獣(ゴミ)のようだ。


 赤い獅子の胴体、能面の様な人面の頭部、(さそり)の尻尾を持っていてニタニタと笑っている。


 説明欄を見ると『虐殺を好み、捕食対象であってもすぐに殺す事はせず絶命するまで執拗に甚振る。』


 というクソの様な文が載っていた。


 フェルの上に一匹がのしかかり、その左右に一匹ずつとサティの周りに五匹だ。


 計八匹のマンティコア(ゴミ共)がサティ達に牙を剥いている。


 フェルはもがき脱出を試みているが、かなり動きが鈍く、全く抜け出せる気配が無い。


 サティはフェルを人質に取られているかの様に、全く身動きを取ろうとせず周りの五匹に嬲られ続けている。

 ただ、堂々とした姿で立ち続けているだけだ。


 しかし、それをマンティコア(ゴミ)共はニタニタと気色悪い笑みを浮かべながら見ている。


 まるで、いつ倒れるのかを楽しみにしている様に。



 サティとフェルのその惨状を目の当たりにした俺は一言



「シュティ。」



 《承知しております。お気をつけ下さいませ。》



「ああ、ありがとう。」



 頼りになるスキルは俺が口に出さずともわかっているようだ。

 流石、俺専用のスキルと自ら言うだけはある。



「シュティ、頼む。」


 《承知しました。》



 俺はサティとフェルを助ける為に転移した。




 サティとフェルのいる場所の上空に来た俺はゆっくりと高度を下げる。


 俺はまず弓を顕現させマンティコア(ゴミ)共に向かって拘束魔法を放ち、拘束魔法は素早く八匹のマンティコア(ゴミ)共を拘束する。


 ゴミ共は驚いた様で、顔を驚愕に歪めている。


 フェルはその隙を突いて脱出し覚束ない足取りでサティの元へと向かうが、サティまであと一歩の所で足が縺れ、再び倒れてしまう。



 そして、俺は地面に降り立つとマンティコア(ゴミ)共に

 


「よぉ、くそったれ共。ご機嫌いかが?俺は最っ高の気分だよ。」



 伝わらないであろう皮肉を口にした。


 ゴミ共は俺が拘束魔法を撃ち込んだ犯人だと理解した様で、その気色悪い顔面を怒りに染め上げる。


 しかし、俺にはそんな事など些事である。


 さっさと(きびす)を返してフェルとサティの元へと駆け寄り



「サティ!フェル!俺だ!助けに来たぞ!」



 そう声をかける。


 どちらも意識はあるようで



「・・グル・・・」「・ガ・・ウ・・・」



 俺の声に反応してくれた。


 二頭のステータスをチェックするとどちらもHPが一割を切っており更に毒や失血の表示が見られた。



「なっ・・・!?」



 サティの体をよく見ると細かい傷が無数に刻まれており、如何にゴミ共が執拗に攻撃を加えたかがわかる。


 今も血が流れ出ており、大きな傷は一つも無い。

 死なない様に調節しながら傷をつけていた様だ。

 かなり(いや)らしい手口だ。


 爪痕や蛇に噛まれたであろう傷。

 全身に隈無く傷をつけられている。



「・・・くそったれ・・」



 フェルは逆に大きく切り裂かれた様な傷があり、美しかった銀色の体が赤黒く染まっている。

 パックリと開いたその傷は傷口こそ大きいがかなり浅い様だ。


 しかし、大きな傷は空気に触れるだけでもかなり痛いだろう。

 それに加え、それを踏みつけられていたらしく傷の中に幾つかの爪痕がある。


 俺はサティやフェルがどれだけの苦痛を受けたかを想像し、怒りを堪えながら治癒を開始する。



「シュティ。」


 《私めは此処に。》


「ありったけの魔力を使って魔法を行使しろ、今まで貯蔵してきた魔力全部使っていい。」


 《承知致しました。》


「じゃあ、いくぞ。」


 《仰せのままに。》



 俺は魔法を準備しながらサティとフェルに声をかける。



「サティ、フェル、今治してやるからな!もう少しの辛抱だ!頑張れ!」



 その声にサティは『心配するな』とでも言いたげな眼で



「グル・・・」



 と、唸り


 フェルは『どうして助けてくれるの?』とでも言いたげな眼で



「・・クゥン・・・」



 と、力無く鳴いた。


 そして



 《主様、準備完了しました。》



 魔法の準備が完了した。


 準備が必要だったのは、サティとフェルを完全に回復させる為に完璧な魔法を行使出来るよう念を入れたのだ。


 俺はただひたすら祈りながら魔法を行使する。




『幾星霜の輝き満ち足りて在りし星々よ


 我、世界(汝)に(こいねが)


 此の者等、此の地にて死す定めに非ず


 我、此の者等の死を望まず


 此の者等、親愛なる我が友也(ともなり)


 我、此の者等の救済を()


 此の者等、罪持たずして咎も無し


 我、此処に在りて願い(これ)一つ(なり)


 故に紡ぐ


 祈り祷り禱り願いて我此処に在り


 我が願い聞き届け(たま)え』




 詠唱が完了し、魔法が完成され


 サティとフェルを包む幾多もの魔法陣が構築される。


 幾十にも重なったそれは暖かな光を発しながら二頭を包んでゆく。



 やがて、光は収束し始め、その中から二頭の姿が現れる。



 真紅のクールな猛虎サティ


 白銀の美しき銀狼フェル



 虎狼の姿は普段よりも強く、美しく、とても綺麗な姿だった。



 そして、二頭は俺の側までやって来ると



「グル・・・!」「ガウ!」



 元気に声を出し、頭を擦り付けてきた。


 その元気になった姿を見て、二頭の頭を抱きしめ



「もっと早く気付いてやれなくてごめんな・・・辛かったな、痛かったな悔しかったな、苦しかったな、よく頑張った・・・もう大丈夫だ・・・俺がいる・・・君たちの側に俺はいる。」



 俺はサティとフェルの頭を撫でながら胸から溢れ出す言葉を口にする。


 サティとフェルも黙って俺に撫でられている。



「だから、今は少し休んでていいんだ。」



 俺は二頭から離れてあのゴミ共を処理しようとするが、サティが『自分にもやらせろ。』と言うかの様に俺の右隣に立った。

 フェルもそれに続くようにして俺の左隣に立つ。


 本当に強い子達だ。


 俺はサティとフェルに感動しながらも手で制止する。



「・・・グル・・」



 サティが『何故だ。』と言いたげに唸り

 フェルも首を傾げている


 だから、俺はサティとフェルを説得する為に再び沸き立つ怒りを抑えながら



「サティ、フェル、気持ちはわかるで。でも悪いけど、ここは俺に譲ってくれへん?」


「・・・・」「・・・・」



 俺はいつもとは違う口調に気が付いたらしいサティとフェルだが、まだ諦め切れない様だ。



「そらそうやろな。普通ここまでやられて指咥えてろっちゅう方が無理やんな?」



 ただ黙って聞く二頭


 俺は段々と沸き立つゴミ共に対する怒りが抑えられなくなってゆく。



「けどな?・・己の連れ傷つけられてな・・・」

 


 勝手に俺がこの二頭を家族認定しているだけなのだが、それでも俺は怒りが収まらない。


 《警告(ウォーニン)


 俺はただサティとフェルを撫でながら


 《魔力発生量の急激な上昇を検出。《安全制御機構(セーフティシステム)》の解除を推奨》


 シュティが何か言っているが頭に血の上った俺にその声は届かない


 そして、遂に怒りを完全に抑えられなくなり





「俺な・・・・めっちゃキレてんねん。」






 俺は笑顔で二頭に告げた。





 魔力が急激に増幅していく


 《警告(warning)


 やかましい


 《魔力量の急激な増幅により危険と判断》


 知らんわ

 勝手にせんかい


 《全段階緊急解除(エマージェンシーパージ)及び魔力の秘匿を解除します》



 ただでさえ抑えていた魔力が全て解放され


 次の瞬間、俺の身体から高密度の魔力が吹き出し、辺り一帯に撒き散らす。


 臨戦態勢だったサティとフェルでさえ強張っている。


 ゴミ共はようやくどの様な存在に喧嘩を売ったか理解した様で、命乞いをするようにブルブルと震えている。



「今更何を震えとんねんボケが・・・」



 無意識に俺は悪態を()く。


 サティとフェルも俺の怒りの程を感じ取ったようでゆっくりと後ろに下がり、地面に寝そべってこちらを見る。



「・・・グル。」



『今回だけだ。』とサティが言った様な気がした。



「ありがとう、サティ。」



 俺は振り返り笑顔でそう言ってからまた前を向いて



「そうやな・・今回だけや、もう二度とお前等をこんな目には遭わせへん。」



 今度は振り返る事なくただ呟き


 阿呆どもの掃除を開始するべく動き出した。





活動報告にて

読点に関しての事で、この回を使用してのアンケートが御座います。

どうかご協力の程宜しくお願い致します。




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