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騎士

活動報告にコメントを頂きました。

この場を借りて感謝申し上げます。

誠に有難う御座います。





 落ち着いてきた頃合いを見計らって、俺は最も気になっていた事を聞いてみた。

 因みに俺は相変わらず空の上で滞空している。

 高度にして4900ft(約1500m)だ。


『それで?どうしてあんな事になってたんですか?見たところ冒険者の方の様ですが。』


 シレッと二番目の疑問も織り交ぜながら。

 すると、ガインが俺の質問に答えた。


「まぁ、探索だよ。見ての通り俺たちは冒険者だ。たまたま出くわして狩ろうとしたら数が多くてな。」


 へぇ、探索ねぇ?とりあえず聞いてみるか。


『探索とは何をですか?』


 するとガインは肩を竦めて


「さぁな?たが、少なくともあのジャバウォックどもの事じゃねぇのは確かだな。」


 そう言って、拘束されているジャバウォック達を指差した。



 どうやら教えてはもらえない様だ。

 好奇心で聞いただけだし別に構わないが。

 この世界に冒険者がいるってわかっただけでも良しとしよう。


『そうですか。』


「おう。」


『あ、じゃあ。ギルドとかランクとかあったりします?』


「そりゃあ冒険者だからな。あるに決まってんだろ?」


 何を聞くんだと言わんばかりの表情で答えられた。

 なるほど、冒険者ギルドがあってその冒険者にもランクがある様だ。

 俺の知ってる異世界って感じだな。


『ちなみに、貴方達のランクを伺っても?』


「ああ、いいぞ。俺とスートがBでフィリアとケティがCだ。」


『へぇ!お若いのに凄いですね!』


「お、おう?そうか?へへ、ありがとよ。」


 とりあえず日本人特有の建前で持ち上げておく。

 ぶっちゃけ、ランクを聞いたところで全く基準が分からんので意味がない。これを聞いたのも単なる好奇心である。


『あと、ジャバウォック達は逃しておきますね。いいですよね?』


「ああ、助けてもらったんだ。異論はねぇよ。なぁ?」


「ああ。」「はいです。」「ええ。」


 了承を得たのでジャバウォック達を拘束魔法で操り、ある程度遠くまで行かせたところでそれを解除した。


「・・・にしても、あのジャバウォック達かなりの群れだったな。初めて見たぞ。」


『そうなんですか?』


 何やら気になる事を呟いていたので聞き返してみる。


「ああ、普通ジャバウォックは4匹。多くても8匹の群れの筈だ。それが16匹もいやがった。異常だ。」


「確かに、あの数の群れは俺も初めてだ。」


「私もです。」「私もよ。」


『へぇー・・・どうしてでしょうね?』


 俺が能天気に言うと呆れた様に


「・・あんたそれ本気で言ってんのか?」


 ガインが反応を示した。


『本気ですが何か?』


 俺がそう言うとガインは思いついた様に


「そうか。・・・そういや、あんた冒険者か?」


『いえ、違いますが?』


「そうか。」


 何やらよくわからん質問を飛ばしてきた。

 スートはさっきからゴソゴソと荷物を弄っているし。


 うーん、会話が途切れた・・・このままお帰り願おうかな?そんな事を考えているとフィリアから俺に質問が飛んできた。


「ところで、冒険者じゃないのにあなたはこんな森で何をしてたのです?」


「・・・確かに。」 「言われてみればそうね。」


 手を止めたスートとケティがそれに同調する。


『さぁ?どうしてでしょうね?』


 面倒なので仕返しとばかりにテキトーに返した。あんまり関わりたくないし早く帰って欲しい。

 そんな俺の対応に向こうも聞くだけ無駄とわかったのか


「そうなのですか。」


 と一言返すだけで追求はしてこなかったので


『そうなのです。』


 と、ふざけ交じりに返しておいた。


「それじゃあよ。ちょっといいか?」


 ガインがまた口を開いたその時だった。


(・・・マップに反応?しかも空を飛んでる?)


 マップに多数の生命反応があったので見てみると、綺麗な編隊を組んだ飛行生物がこちらに向かって飛んできている様だった。


(千里眼で確認してみるか・・・。!?なんだあれ!?かっこいい!!)


 千里眼で見た先にはドラゴンと思わしき生物に乗った騎士の姿が見えた。

 それも、12匹のドラゴンとその上に乗った騎士達だ。


 図にするとこんな感じだ。


 ------------------△---------------

 ---------------△---△------------

 ---------△---------------△-------

 ------△---△---------△---△-----

 ------------------△---------------

 ---------------△---△------------



(しかし、高度が1600ft(約500m)付近か?割と高度が近いなぁ・・・こっち来そうだし。上昇して上から観察しよう。)



 そう決めるやいなや俺は行動に出ようとしたが、それはガインによって止められた。


「おい?聞こえてるか?」


『へ?ああ、すみません。聞いてませんでした。』


「おいおい・・・しっかりしてくれよ。」


『あはは、すみません。ですが、少し用事を思い出したのでこれで失礼します。』


 俺がそう言うとガイン達は焦った様に口々に言い放った。


「なっ!?おい!ちょっと待て!」

「すまん。もう少しここにいてくれ。」

「もうちょっとお話ししたいのです!」

「ちょっと!?まだちゃんと話出来てないんだけど!?」


 怪しさ全開の彼等に不信感を募らせた俺は



『すみません。あ、最後に安全祈願でもしておきます。

 《汝らの旅路に幸あれ》

 では、これで。』


 そう言って俺は返事を聞かずに一気に高度を上げ、2万3千ft(約7000m)まで上昇した。


 上昇し終えてから少しすると、俺の真下に(くだん)の騎士達が到着し、少し開けた場所まで移動していった。


 俺もついて行くことにして観察を続けていると、騎士の一人が広場に降り立ち、先程の冒険者達と話をしている。やはり、何かしら繋がりがあった様だ。

 危なかった・・・もし、あれが俺の討伐隊とかだったら面倒くさい。



 と、いうわけで盗聴してみよう。

 さっき冒険者達に魔力のかけらを千切ってくっつけて来たのでそこに魔力を繋げて会話を盗み聞きする。


 ピクニックの日から二週間もゴロゴロしていただけではない。ラウに魔力の応用方法などを聞いて自分なりにアレンジしてみたのだ。

 すると、案外簡単に出来るではありませんか。

 これもあのスキルのおかげかな?いやー、有難い。

 そんな訳でレッツ盗聴!



『すー–ん。逃げーれた。おそらくーーがー-ー対象だった筈だ。』


『ーーか。そー−ーねんだ。こちらもーー-ーーしてー-ーがーーで見失った。』


『しかーーあの魔力量ーーー。』


『ああーー–ーー危険だーーー。一刻も早くーー–ーー-!』


 あかん・・・ノイズ混じりで使えねぇ・・・くっつけた魔力が小さすぎたか?いや、わからんな。これは要検証だな。

 てか、何?今の?怖すぎるんですけど!?どう考えても討伐隊と索敵役の会話だよね!?

 絶対『一刻も早く討伐しなければ!』とか言ってるよ!

 あ、危ねぇ・・・良かったーマジで。逃げてて正解だったわ。


 ・・・・ちょっと待てよ!?これ、もして他にもいるんじゃないか?



 俺は恐る恐るマップの範囲を広げてみた。


 すると、そこには先程の騎士達と同じ反応が三つの集団と疎らに地上にいる事を示す反応が多数表示された。


 怖っ!?結構ガチだよ!怖いよこれ!完全に索敵網だよ!

 あれか?俺の魔力量がいかんのか?スキルで抑えてこれだぜ?それでもダメなのか?

 ちょっとどうにかするしか無いかなぁ・・・これじゃ気紛れで街に行けない・・・!



 ていうか、ラウに相談しよう。

 うん、そうしよう。



 俺はそう心に決めてそさくさと家路に着いたのだった。




 –––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––



 ーまた時間は少し遡りー



 主人公達がピクニックに行った日から10日前。

 リンドブルム領にて



 領主ルイスとその両隣に二人の男が立ち、平原に広がる光景を見渡していた。



 その光景とは多数の翼竜とその横に立つ騎士達が整列している(さま)だった。



 そして、その集団の先頭で3人の正面に立つ一人の騎士が姿勢を正し


「出発準備完了しました。」


 凛とした声で敬礼しながらそう言った。



 ルイスはそれに頷き


「うん。セル爺、一応の確認をお願い。」


 その言葉に右隣りに控えていた老爺が反応する。

 老爺は半歩前に出て何の資料も見る事なくスラスラと答える。


「畏まりました。

 まず、今回の捜索は冒険者ギルドとの共同捜索となりました。


 我が騎士団から特別編成の戦空隊一個大隊を派遣します

 中隊にして4個中隊

 小隊にして16小隊

 総数48頭とその騎手48名

 以上のワイバーンを用いた戦空隊が先遣隊として捜索任務に向かいます。


 目的地に到着し次第、野営地を展開。

 また、既に出発済みの冒険者達との情報交換及び通信用魔具の支給を行います。


 捜索任務に関してですが、基本は戦空隊ニ個中隊による空中からの捜索とし、冒険者達には地上からの捜索を任せます。

 また、通信魔具による定時連絡或いは緊急報告を原則とします。


 そして、野営地では

 捜索に二個中隊

 常駐警備に一個中隊

 休息に一個中隊とし

 それをローテーションで回します。


 後に、補給物資を乗せた馬車を軸とした補給部隊を派遣予定です。

 これは先遣隊と冒険者達の支援を目的とします。

 内容としては、常駐警備の人員や食料などの移送を行い、捜索効率の向上を図ります。


 常駐警備の人員の配置完了後は1日交代で

 捜索に三個中隊

 休息に一個中隊

 へと変更します。


 冒険者達に関しては

 参加報酬と臨時報酬として

 持ち帰った情報の重要度や捜索時に討伐した魔獣の素材の買い取りとします。


 この捜索は対象が長期間発見されない又は死亡の確認をした場合に限り終了とします。


 例外として領地に危機が迫った場合にのみ即時撤退及び終了とします。


 以上です。」



 老爺は言い終えると元の位置に戻りルイスは満足した様子で頷く。


「うん。ありがとう、セル爺。」


「恐縮で御座います。」


 そんなやりとりを行なっていた中、ルイスの左に控えていた騎士がこう零した。


「いいなぁ・・俺も行きたかった・・・」


 ルイスは苦笑しながら


「流石に騎士団長の君が長期間不在なのは良くないからね。」


 そう諭した。


「はっ。申し訳ありません。領主様。」


 その言葉に、ハッとしたように姿勢を正した騎士。


 その光景を見ながら3人の前に立っていた騎士が


「兄さん・・・」


 非難するような目で見つめていた。

 その視線に気付いた騎士は申し訳無さそうに謝る。


「すまん。つい・・・」


 そんな己の騎士団長の姿に騎士は


「つい、じゃないでしょうに。私が居ない間、本当に大丈夫何でしょうね?」


「おう!任せとけ!」


「余計に不安になったわ・・・」


 頭に片手を当ててそう呟いた。

 その一言に騎士団長は


「何だと!?兄貴に向かってそれはないだろう!」


 心外だとばかりに食ってかかるが、騎士は冷静に言い返す。


「じゃあ、兄さんに任せて大丈夫だった事ある?」


「ぐっ・・・!!それは・・・・」


「兄さんの取り柄は何かしら?戦闘と食事だけよね?それに、あの報告書も書いたのは兄さんじゃなくて兄さんの副官さんよね?報告書の一つも書けないなんて。そんなんだから、私が副団長をやってるのよ?」


「・・・すまん。俺が悪かった!悪かったから!もう許してくれ!あと、報告書の事何で知ってる!?」



 騎士による口撃に堪え兼ねた騎士団長は即座に降伏した。


 騎士団長が副団長とはいえ一介の騎士に平謝りするその光景に和やかな雰囲気が辺りを包む。


 ルイスやセル爺と呼ばれる男性も笑みを浮かべ、出動命令を待つ騎士達もまた『また始まったよ』といった様に談笑していた。


 これが、この騎士団の日常風景の様だ。


 ルイスはひと段落したのを見計らい笑顔で


「君達兄妹は本当に仲が良いね?」


「「そんな事ありません!」」



 二人揃って反応した。

 そして、第三者からの介入があった事で冷静になったのか二人はハッとした様子で


「「申し訳ありませんでした!」」


 これまた二人揃って同じ言葉を放ち、敬礼を披露した。


 ルイスはニコニコと柔和な表情で


「ほら、やっぱり仲が良い。」


 そのルイスの一言にその場にいた全員がドッと笑い、当事者の二人は恥ずかしそうに明後日の方向に顔を向けていた。


 和やかな空気が流れていたが


「さて、そろそろいいかな。」


 頃合いを見計らってそう一言呟くと笑っていた面々が真剣な表情に戻り、それを見たルイスは大きく息を吸う。



「栄光あるリンドブルム騎士団の諸君!!

 諸君らがこれより行うのは()の森の捜索だ!!

 あの森は皆も知っているだろうが危険極まりない!!

 その場所にて諸君らには正体不明の高魔力生命体の捜索を行なってもらう!!!何が潜んでいるかは未だ不明だ!!!

 しかし!!我が愛娘リーシアによればそれは人間である可能性が高い!!

 リーシアに関しては諸君らも周知の通りだろう!!

 ならば!!その人物を見つけ!!出来る限り友好的にこの場所へと案内してほしい!!!

 無理難題を言っているのは重々承知だ!!

 だが!!もしあの高魔力を持った人物に敵対されれば我々はひとたまりもない!!

 そうなる前に!!諸君らにはその人物を見つけ出して欲しい!!

 これは彼の森に隣接する我が領地だけの問題ではない!!

 我が国の存亡の危機にすら発展しかねない問題だ!!

 心して掛かれ!!!

 では!!諸君らの奮闘を期待する!!!」



「「「「「「「「「ハッ!!!」」」」」」」」」



「総員!飛翔!!」



 全騎士が敬礼を返し、副団長の掛け声で全員が同時に離陸する。



 その壮観な光景を繰り広げながら戦空隊は大空へと向けて飛び立ったのだった。





「あ、それとリチャード?報告書の事に関して話があるんだけど?」

「はっ!・・・え?・・あ・・・」



 ニコニコと笑顔のルイスと真っ青な顔をした

 リンドブルム騎士団 団長 リチャード・エルメスを残して・・・・



作者「話が構想通りにいかない・・・・。

感覚もイマイチ取り戻せない・・・。」


若干の修正とコメントにて御指摘を頂きました読点に関する修正を行いました。(2017/12/12 21:42)


一部修正を行いました。

(2017/12/29 21:00)

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