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世界樹

 


 変わった虎と遭遇し、別れた俺はのんびりと森を散歩しながら中心へと向かっていた。

 マップがあるので迷う事は無い。あと、中心へと向かうルート案内をある程度設定したので索敵範囲も自分から半径2kmに戻した。

 だって、直径400kmの地図とか見辛いし。


 他にも、『完全鑑定』(もうめんどくさいし、これからは鑑定でいいか・・・)を使ってみたり、マップの機能として敵性存在が認められる場合に警告が出てくる様に設定したり、千里眼を試してみたりと色々やってみた。


 鑑定はこんな感じだった。


【千年草】


 深い森の奥地に生えている希少な薬草の一種。

 麻酔・漢方・ポーションの素材など多岐にわたる使用用途がある。

 千年に一回しか花を開かないと伝えられていることから千年草と呼ばれている。

 魔力の濃い土地でしか育たない。



【ヒドラ茸】


 これに素手で触れれば死に至る程の猛毒を持っている事と1つの株から8つ生える事からこの名が付けられた。

 しかし、これも上手く扱えば上級ポーションなどの素材になる為、高値で取り引きされている。

 国指定危険毒物。



 珍しい草や、かなりヤバイきのこまであった。


 ちなみに、魔物は(あれ)以降遭遇して居ない。

 何故だ?あの虎の縄張りなのか?それにしても、一匹も見ていないのは気掛かりだ。



 マップで見る限りだと『敵性存在』を示すマークは1つもない。

 今の所マップで表示されるとわかっているのは以下の3つだ。


 敵性存在:赤色


 味方:緑色


 屍:灰色


 これ以外はわからない。

 あとは、森なのか草原なのか山なのかがわかるくらいで、まだまだ要検証である。


 千里眼は一言で言うとタイムラグの無い中継映像だった。ヒドラ茸を見つけたのは千里眼を使っていた時だった。それを目印として実際に本当かどうか確認したのだ。

 ついでに、マップと連動する事も確認済みだ。これは、湖にまだあの二頭が居るのをマップで確認しながら、千里眼を発動させた。

 湖畔に横たわりまったりと過ごして居て、ほっこりした。それと、鑑定もしておいた。

 これがその鑑定結果だった。


 先ずは、あの紅の虎だ。


【サーベルティーガー〈特異個体〉】


 名前:無し Level:206


 性別:メス


 能力値


 HP:25860/25860 MP:18760/18760


 STR:A DEX:S


 VIT:S INT:S


 AGI:S MND:A


 LUK:1080



 《固有スキル》:《焔装(えんそう)



 〈スキル〉:〈炎魔法Lev7 〉〈武技Lev8〉〈全属性耐性Lev5〉〈状態異常無効〉〈隠密〉



【称号】:【優しき猛獣】【森の覇者】




 はい、めっちゃ強かったです。

 サーベルティーガーとか言うカッコいい名前でした。

 さらに、特異個体とかいう何かヤバイ奴みたいです。焔装とかいう凄そうな固有スキル持ってました。


 でも、称号に【優しき猛獣】ってあったからやっぱりあの狼の面倒見てたんだろうな。

【森の覇者】とかいうのも持ってたけど・・・・・



 お次は、あの狼


【フェンリル〈特異個体〉】


 名前:無し Level:58


 性別:メス


 能力値


 HP:15770/15770 MP:10050/10050


 STR:B DEX:B


 VIT:B INT:C


 AGI:A MND:B


 LUK:3580



 《固有スキル》:



 〈スキル〉:〈氷魔法Lev3〉 〈武技Lev3〉〈全属性耐性Lev2〉 〈状態異常耐性Lev3〉



【称号】:【拾われ狼】



 うん、あの子もかなりやばかったっぽい。

 あの虎に比べれば見劣りするものの、それは比べる方が酷というものだろう。

 何よりフェンリルである。しかも、特異個体の。

 あと、やっぱり拾われてますやん・・・・・何があったんだ。


 固有スキルはなぜか空白だった。無しの表示がされていなかった為に、おそらく固有スキルはLevelを上げれば開花するのでは?と思われる。


 ある程度能力の確認がひと段落した所でふと思った。


「しかし、さっきからずっと歩いているのに全く疲れないな。高スペック過ぎない?この身体。」


 森の中を体感的に2時間ほど、それも悪路を突き進んでいるにも関わらず全く疲労が出てこないのだ。さっき気付いたのだが、時間に関してはマップに表示されていた。マップ様様だな。

 ちなみに、現在昼前の11時である。


「あと、なんで学ラン?事故死した時が下校してた時だからある意味当然か?」


 一応服装について言っておくと俺は今、学ランだ。それも、一式揃っている。靴はスニーカーだ。

 この森は気温がちょっと低めなのか、または季節がそうなのかはわからないが、学ランの上着を脱いで長袖のスクールシャツで丁度良いくらいだ。日本でいえば春か秋くらいだろう。



 ただ、森の中では動き辛い。



 その状態で森の悪路を歩き続け、その上権能も使ったのだ、ここまで全くの疲れ無しというのは自分の事とはいえ、(いささか)か不気味だ。


 まぁ、有り難く貰っておくが・・・・


「お、そろそろ。着くな。」


 えっちらおっちら歩き続け、ようやく開けた場所に出る。


「おお・・・・・・・」


 森を抜けたその先には草原が広がり、その真ん中に自らを誇示するかの様に生えている巨大な樹木。


 1km先から上を見上げてもその頂は見えない。


 圧巻の光景に俺は呑まれかけたが、すかさず俺はその木を鑑定する。


 その結果



【世界樹ユグドラシル】

 樹齢:不明

 世界にたった1つ生えているこの森の根幹となる生命の木。

 魔力を糧にしている。

 それは、治癒効果の塊で側にいるだけで体力回復(肉体的疲労回復・精神的疲労回復)が可能。

 その葉は、煎じて飲むだけでどんな病も完治する。

 その果実は、身体的欠損を回復しどんな病も完治する。

 その枝は、非常に堅く加工が困難だがそのままでも十分な魔力伝達率を発揮する。




 ・・・・・うわぁ・・・・・・・・・・・・まさかの世界樹だったよ。しかも、ぶっ壊れ性能搭載の・・・・



 近くにいるだけで体力回復とか、どんな原理だよ。

 ・・・・・・・・まぁ、いいや。

 この近くに住居を構えよう・・・・・その為には、とりあえずあの木に挨拶しておくか。


「久々に走るか。この身体でどんだけ走れるか興味あったし。」


 俺は、軽く準備運動をして思いっきり走り始めた。


「うおっ!?はえーーーーーー!!!これは、いいな!!」



 凄まじい速度で周りの景色が後ろに流れていき、あっという間に木が目前まで迫ってくる。


 その時だった。



 《止まりなさい。》



 女性の様な澄んだ声が響き渡った。

 俺は木の100m手前くらいで急停止してすかさず辺りを見渡し、マップを確認するが人はいない。



 それでも、その声は続く。


 《警告します。それ以上この木に近付くというのなら、目的を述べなさい。さもなくば・・・》


 まるで、脅す様な口調だったが俺は冷静に


「これはこれは、何方(どなた)か存じ上げませんが私は此処に住む為に、世界樹様に御挨拶をしに来た者に御座います。名を 清水 猛士 と申します。以後お見知り置きを。」


 俺が知る限り丁寧にお辞儀付きで返答した。

 して、その反応はというと


 《・・・・・ふざけているのですか?》


 疑われた。


 いや、まぁ、そりゃね?いきなり人間が森の奥地に来て ここに住みたいから挨拶しに来ました っておかしいだろうけど。

 もっと怪しまれる前にさっさと返答せねば。


「いえ、私は本気です。」


 《ならば、ここに証明してみせなさい。荷物も持たずして此処に辿り着いた猛者よ。》


 ?・・・・猛者?

 まぁ、いいや。確かに俺、荷物とか持ってなかったな。この辺りはローナから聞いてあったから完全に忘れてた。


 俺は『インベントリ』が使える。この世界ではアイテムボックスとか言ったりするそうだが、俺はインベントリだ。アイテムボックスに関しては、スキルの全知全能で見た。


 というかインベントリは全知全能のスキルの一部だったり、全知全能はネットの様に情報検索も可能だったりする。


 学ランの上着もそこに突っ込んだ。

 実はこの中には、家も入っていたりする。

 家はローナが作って入れてくれた物だ。

 それは、お茶会の時になんとなく『家とかどうする?』と話題になったので『それなら、私が作っておくね。』と快諾してくれたのだ。


 それは、置いといて。


 インベントリには物を保存する事が出来る。しかも永久的に。

 インベントリ内では、時間は当然停止しており、熱も逃げたりしないという中々の壊れっぷりである。

 要するに入れた時のままの状態でいつまでも保存可能という事だ。


 さらに、カテゴリーでファイルを作っておく事によってパソコンのフォルダの様に、何処に何を収納しているかが一目でわかる仕様になっている。


 まだあるぞ。


 極め付けは、魔力を対価とし、どんな物でも手に入る。


 というものだ。

 つまり、炭酸飲料が飲みたければお金ではなく、魔力を支払う事で自販機の様に買う事が出来るのだ。

 これは、食材でも料理でもなんでも可能らしい。


 らしい、というのはあくまでローナから聞かされた内容だからだ。まだ試していない。家を建ててからでもいいかな、と放置していた。それに、ローナを疑う理由もない。


 それじゃ、インベントリの〈家〉のカテゴリーを開いてっと。


 《インベントリ》

 カテゴリー〈家〉


 ・日本屋敷


 ・一般的な家


 ・城(和式)


 ・城(洋式)



 ・・・・おい、ローナ。日本屋敷とか一般的な家はわかるぞ。ただ、城ってなんだ?俺はそんなにデカイ家はいらんぞ。しかも、ご丁寧に洋式と和式の2種類あるし・・・・トイレじゃねぇんだぞ・・・・


『てへっ。』と空耳が聞こえた気がしたがとりあえず一般的な家を選択して設置する。


「ほいっと。」


 《な・・・・・・!?》


 うん、驚いてくれた様だ。ただ、俺もビックリしてる。

 だって、一般的な家とか書いてたから普通の大きさかと思ったら、結構デカかった。

 完全に一等地の高級住宅街にある、一際デカイ豪邸みたいな見た目をしていた。日本で見られるやつな。

 異世界の建築物が森で建っているというのは、違和感というか異物感満載である。

 まぁ、俺が住みやすい様に配慮してくれたのだろう。


 だが、今は世界樹が優先だ。


「どうですか?これで証明出来たでしょう?」


 《は、はい。予想以上というより、私の常識を見事に打ち砕いて下さるくらいには・・・・・》

「だよなぁ・・・ところで、そろそろそちらのお名前をお伺いしても?」


 《そうでしたね。貴方は力を持っているようですが、敵意や害意は一切感じられませんし、此処に住むというのも本当の様です。ならば、こちらも応えるのが礼儀というもの。それと、この木の側まで来て下さいませんか?》


「了解。あ、攻撃しないでね?痛いのは嫌だから。」


 《そんな事しませんよ。》


 苦笑する様な答えが返ってきた。

 俺はそれを聞くと家を収納して30m程手前まで進んだ。家を収納した時に呆れたような声が聞こえたが気にしない。


 そして、世界樹の一部が輝き出した。

 それは、光を放ちながら空中へと分離し、俺の前までやって来た。

 光が段々と人の形をとり、はっきりとした人の形になった時に一瞬激しく発光した。



 眩しっ!?



 するとそこには身長160cmくらい、髪はセミロングくらいで、髪と瞳の色は深い緑をした15歳ほどの女の子が立っていた。


「初めまして。お初にお目にかかります。私、世界樹ユグドラシルの守護精霊をしております、アルラウネと申します。以後、お見知り置きを。」


 真っ白なワンピースを纏った少女は微笑みながら、服の両端を摘んで上品にお辞儀した。




隊長「ふぉぉぉぉぉぉ!!!キノコだ!!!!KI・NO・KO!!」


作者「あぁ、うん。そこなんだ・・・・もう好きにしたら?」


隊長「ほら!見ろ!この毒々しくも美しい色彩とフォルムを!!」


作者「え?ちょっ・・・!?こっち近づけんな!それヒドラ茸じゃねぇか!?なんで素手で触ってんの!?ちょ・・・マジでやめっ・・・・!!」



作者はしんでしまった!



隊長「根性の無い奴め・・・・」




コメントにて御指摘頂きました読点に関する修正を行いました。(2017/12/9 8:25)


一部修正を行いました。

(2017/12/28 10:39)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 日本屋敷は武家の家みたいなかんじでいいんですか? 城はシンデレラ城みたいなかんじ?
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