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迫りくる魔の手

 教室の後ろのドアから脱出した詩織。


 左へ行くと階段があるが前のドアで二人に捕まる恐れを感じ、右に向かって走り出す。


 右の廊下の突き当たりは非常口。


 非常口のドアを開け、外へ出るなり勢いよくドアを閉める。


『ガチャガチャッ』


 ドアノブを回されそうになるのを必死で押さえる。


 ここは3階の非常階段。


(ドアノブを離すと同時に下に向かって走り出せば逃げられるだろうか?)


 しかし詩織は運動神経に自信がなかった。上級生の男子の脚力には到底敵うはずがない。


 次に捕まったら何をされるか分からない。


 そう考えるとここから動き出す勇気をもてない。


(先輩は私の体を触ろうとしていた……)


 12歳の彼女はそれの意味を充分理解していた。


 校庭で活動中の運動部の生徒たちの声が聞こえる。


 この場所から全力で叫んだら助けが来るかもしれない。


 しかし、緊張で心臓が激しく鼓動し声が出せなかった。


 彼女はすでにパニックに陥っていた。


『ガチャ…… キィィィィ……』


 2階の非常階段のドアが開く音がする。


 続いて『カン、カン、カン……』と、誰かがこちらへ上ってくる音も……


(助かった……)


 詩織は安堵した。


 しかし……


 安堵の後の絶望は、より重くのし掛かる。

 

 非常階段を上がってきた人物は……


 ニヤリと笑う剛史だった。


 彼はいつの間にか2階の非常ドアから上がってきていたのであった。


 袋のネズミとなった詩織はドアノブからも手を放し、呆然と立ち尽くしていた。

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