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結界障壁

 旅館の敷地内に潜入した翔太は、建物の周りをぐるっと一回りしようと試みる。

 すると、窓の向こう側に例の4人組の男女がいた。

 強面の教師らしき男が正座する4人に向かって何かを言っている。

 部屋の隅にはスポーツバッグも置かれている。


 翔太が部屋の中をのぞいていると、スポーツバックのチャックがひとりでに開き、中からもそっと2体の魔物が顔を出す。

「――――っ!」

 魔物と目が合ってしまい、翔太は身を隠す。

「2体の魔物を同時に相手にするのはさすがにきつい! 体勢を整えよう!」


 翔太は旅館の周りを走る。

 途中、半地下になっている場所に出る。

 小さいながらも日本庭園のような趣のある中庭である。

 お湯の香りが漂うこのスペースの向こうには露天風呂があるようだ。

 

 この場所で翔太は変身の呪文を唱える。

 土地神と同じ姿に変身した翔太は、抜群のジャンプ力を発揮して露天風呂の塀に飛び乗り、さらにもう一つの向こう側の塀を飛び超える。


 眼下には気持ちよさそうな露天風呂。入浴中の客がいたら大騒ぎになるところだが、幸いにも夕食前のこの時間は誰もいなかった。


「よし、ここは土地神の力がちゃんと使える場所だ。伏見山での汚名を挽回してやる!」


 翔太は旅館の屋根にジャンプして、雄叫びを発した。

 彼にはかなりのフラストレーションが溜まっていたようであった。


「ほう…… 人間の小僧と思っていたが、お主はただのヒトではないようだな……」


 ゆっくりと軒先から登ってくる黒光りした魔物の姿。

 伏見山で出会った鬼である。


「よく見抜いたな、俺は我が土地神の半身、桜木翔太だ」

「ワシは魔界から遊びのつもりでやってきて、いつの間にか人間の小僧の下で使役されておる者。お主に名るような名は無いが、人間の小僧は赤鬼と呼んでおる」

「小僧って、あの陰陽師の男か? あいつ、そんなに強いの? お前ほどの妖力をもっている魔物が使役されているの?」

「ああ強い。しかもあの小僧には四神の一つである白虎も付いておるからな。白虎の強さはワシの比ではないぞ?」

「あっ、あの白い魔物のことか? あいつもそんなに強い魔物なの? 赤鬼のお前よりも強いの? お前も相当強そうだけど……」

「フハハハハ、その通り、ワシも相当強いけ―― どえっ?」


「結界障壁――――!」


 赤鬼が気をよくしてふんぞり返っている間に、翔太は神器の扇を広げ、空中に立方体を描くように動かす。すると、あっという間に赤鬼は見えない立方体の壁に閉じ込められていた。


「は、謀ったな小僧! 人の風上にも置けないやつめ!」

「ははは、なんとでも言え。魔物に何を言われようと俺の心には響かないぜ!」


 正義の名のもとに人は何でもやれる生き物なのだ。


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