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落とし物

 陰陽師の男とその仲間達が立ち去り、元の学ラン姿に戻った翔太は池の辺で一人佇んでいる。初めての事実上の敗北に、相当ショックを引きずっていた。


 ふと地面を見ると、彼らが荷物を置いていた場所に何かが落ちていた。

 拾ってみると、B6サイズの紙ファイルに綴じ込まれた『修学旅行のしおり』である。氏名欄には『長谷川智恵子』と丸っこい文字で書かれている。


「こ、これはあの胸の大きい女の落とし物か……!」


 翔太は胸の感触を思い出し一人赤面し、その後に続く背徳感に頭を抱えてうずくまる。彼は純真な男なのである。


 ページをめくってみると、見学コースに関する真面目なメモ書きからイタズラ書きに至るまでびっちりと記入されている。


「あいつ、これ落として困っているだろうな…… 届けて…… やろうかな……」


 最後の方には宿泊場所の旅館の住所と地図が載っていた。京都駅から徒歩でも何とかいける距離である。時刻は午後4時を少し回ったところだ。


「京都駅に8時までに戻ればいいことだし、あの2体の魔物もことも気がかりだ。うまくいけばリベンジできるぞ! 今度こそ奴らを退治してやる」


 翔太は魔物退治のついでに落とし物を届けてやろうと決意した。落とし物はあくまで二の次ということで…… 彼は純真かつシャイな男なのである。



 京都駅から徒歩15分で、目的の旅館へ到着した。

 京都の町並みは碁盤の目のようになっており、通りの名前を地図で確認しながら歩くことで田舎暮らしの翔太でも迷うことはなかった。


「ここが奴らの宿泊場所か…… 随分貧相な建物じゃないか、気の毒に…… ふっふっふっ……」


 表通りから一本外れた旅館の裏口などは大抵は質素な造りになっているものだが、田舎暮らしの彼には分からない。


「この場所では神器の扇の力もフルに使えそうだ。待っていろよ、魔物たち!」


 そうつぶやくと、翔太はポンと塀を乗り越えて旅館内に侵入した。 


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