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緊迫のチャイム

「あれ? 詩織まだ帰らないの?」


 放課後1人教室で本を読んでいる詩織に、大空三咲が声をかけた。


「昨日のけんかの件で翔太は校長室で面談中なの。お母さんも呼び出されて大変みたい……」

「そっかー、男子の喧嘩は負けるが勝ちみたいなところあるからねー。ありゃー、やられた方が親にチクったね。情けない奴ね!」

「そ、そうなの?」


 三咲のそういう分析力に詩織は感心するばかりだ。


「で、詩織はその責任を感じて待っているの? 健気ねえ-。今日ぐらい先に帰っちゃえば?」

「でも…… 今日も一緒に帰ろうって誘われているから……」

「バカねー、あいつ母親のお小言を聞きながら帰りたくないから詩織を利用する気よ!」

「ま、まさか…… そんな……」

「詩織もあいつには甘いねー。じゃあ今日は私と……、あーダメだった。今日は環境委員の仕事があったんだー。ゴメン詩織!」


 そう言いながら三咲は風のように去って行った。



 小一時間が経過した――



『ガラ……』


 ドアの開く音で翔太が戻ってきたと思い込んだ詩織は、


「翔太お疲れ様、もう帰れるの……?!」


 しかしそこに入ってきたのは2年の男子生徒が3人……

 1人は先日詩織に告白してきた剛史だった。

 剛史は目がすわっている。


「先輩…… この間はごめんなさい。私曖昧な返事をしてしまって……」


 詩織が恐る恐る話しかけた。

 剛史は詩織の言葉に反応を示すことなく、つかつかと歩み寄る。

 そして、ガッと肩を強引に抱き寄せようとする。


「――っ!」


 詩織は怖くなり、思わず手で強く押しのける。

 剛史は少し後ろによろけるが、首をクイッと傾けてにやっと笑う。

 その笑い方は常軌を逸する表情にみえた。

 詩織は後ずさりするが、背後にまわっていた仲間の体にドンとあたってしまう。

 彼女は剛史の仲間2人がかりで腕をつかまれ動きを封じられてしまった。


「や…… やめて……」


 ようやく言葉を絞り出す。

 恐怖で助けを呼ぶ声を叫ぶこともできない。

 頭を横に振り、拒絶の態度を示す詩織の表情を愉しむように剛史はニヤリと笑う。

 そっと手を伸ばし、彼女の胸に手を触れようとする。


 その瞬間――


『キーンコーンカーンコーン……』


 チャイムが鳴る。

 どういうわけが聞き慣れているはずのその音に、男子3人は酷く驚いた。


 その隙に拘束を振り切って詩織は廊下へ走り出した――


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