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添い寝

 私は大橋恵美子。中学校の教員となって今年で2年目。学校では少し落ち着きにかける生徒達はいるけれど日々音楽の楽しさを教えるために奮闘中よ。


 今日も疲れた……

 夕食は簡単にすませて早くシャワーを浴びて寝よう……


『ガチャリ……』


 私は独り暮らしのマンションの鍵を開けて中に入る。

 部屋の明かりを点け、ガラステーブルにカバンを置く。

 そこでカバンの中身を思い出した。


「あー、定期テストの採点が残ってた…… かったるい……」


 ああ、だめだめ! 私ったら、はしたない独り事を……

 こんな時はかわいい生徒達の顔を思い出して頑張らないと!


 私が食事の準備の前に少しでも採点を進めようと座っていると、


『バサバサ……』


 ベランダから何かの音が聞こえてきた。


 一瞬、どこかの変態が忍び込んでいるのではとドキリとしたけれど。

 そこに居たのは羽を怪我した1羽のカラスだった。

 うまく飛べずに困っているようだったので部屋に入れてあげた。


 私にはカラスはおろか、鳥を飼った経験が全くないので、インターネットで検索してみた。


 【怪我をしたカラスの手当】


 検索して初めて知ったけど、野鳥は人間が保護しちゃいけないらしい。

 でももう後の祭り…… 今さら追い出すわけにはいかない。

 怪我をしている場所を消毒して、包帯を巻いてあげた。

 カラスは暴れることもなくじっと私の顔を見つめていた。

 何だか愛着が湧いてきた。


 段ボール箱にバスタオルを敷き、その中にカラスを入れるてみた。

 すると、すぐに目をつぶって寝始めた。かわいい。

 よっぽど疲れていたんだろう。

 夜はベッド脇に置いて寝ることにした。

 

 朝方、うつらうつらとした意識の中で、イケメン男性が添い寝している夢を見ていた。

 少女漫画に出てくる男の子のような、理想的な顔立ち。

 私がずっとあこがれていたイケメン男性が私の隣で寝息を立てていた。


 あれ? 私ったら自分で気付かないうちに欲求不満が溜まっていたのかしら……


 彼は優しそうな瞳をゆっくり開ける。

 私と目が合うと、とろけるような笑顔で、

『昨夜はありがとう、命拾いしたよ。チュッ』

 と、耳元でささやいて、おでこにキスをしてくれた。


 あまりの出来事に気を失いそうになり…… 逆に目を覚ましてしまった!


 目の前に真っ黒な物体…… 太いくちばしのカラスが私の顔をのぞき込んでいた。


「あら、良くなったのね。よかったー」


 私はカラスに話しかけた。


 彼はスッと羽を広げて、得意げにポーズをとっていた。


 私はこの時点で何かがおかしいと気づくべきだったのかもしれない。何も気づかなかった私は、この日を境に不可思議な出来事に翻弄されていくのである。

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