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神器の扇

『お主にこれを預けよう。神器の扇だ。邪神に対抗するためにはこれの力が必要だろう』


「えっ? お、俺に………?」


 翔太は両手を広げ、それを土地神から受け取る。隣で見ている詩織には、彼の手のひらの上にポワッと扇の柄の部分が出現し、徐々に先端まで広がっていくように見えた。


 その扇子は、黒い漆塗りに金色の花柄模様である。開くと扇面には黒色の透かしが入った地紙に金色の花模様があしらわれている。神々しさを感じる一品である。


「翔太…… これって…… 神様がいつも持っていらっしゃる扇子に似ているけど……」

「ああ、神器の扇だって。詩織知っているのか?」

「すごい、すごい、すご――――い! 神様から授かったの? 翔太が?」


『いや、預けただけだから! お主が死んだら返せよ!』


「預けただけだってさ…… で、これって何に使うの? うちわの代わりになるのは知っているけど……」


「はあーっ? うちわ代わりって、翔太バチが当たるよー! 神器の扇なのよー?」

『我が巫女の言うとおり、天罰を下してくれるぞー!』

「ねえ、どうしてそれを翔太が受け取っちゃうのー? 勿体ないよー!」


「あー、うっとうしいー! お前、神様の声が聞こえないくせに絶妙なタイミングで絡んでくるなよ!」


「そうよ…… 私は神様の声が聞こえない…… 神器も授けてくださらない…… なのに翔太は――!」


 目をぎらりと光らせて、手を翔太の首元に……


「や、やめろ! 首を絞めるな。お前、ちゃんと浄化しただろう? あー、ごめんごめん、もう勘弁してくれー!」


 翔太と詩織が戯れていると、屋上の扉が『ガタン』と開いた。


「あらあら、ここに逃げ込んでいたのね、あなた達……」


 暗い表情の大橋先生がゆらりと屋上へ出てきた。

 その背後からサキ、鈴子部長、三咲がササッと移動し、先生の前に出た。

 3人は先生に行動を支配されていた。


「先生、あなたはなぜ邪神なんかと契約をしたんですか? 正義を教えるのが先生の仕事だろう、それをなぜ邪神なんかと……」


 翔太はそれをどうしても確かめておきたかった。


「邪神邪神って、失礼よ桜木君。彼の名は渡鴉神(わたがらすのかみ)、恋愛成就の神社で祀られていた神様よ! それが訳あって放浪の身となり、私と結ばれたの。うふっ…… ねえ桜木君。あなたも同じでしょう? 神様と結ばれているのよねえ」


「いや、俺は……」


 翔太は詩織の命を救うために自らの命を神に捧げた……

 しかし、そのことは詩織本人の前では口にするわけにはいかないと思った。



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