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これでおあいこ?

『ズサッ……』


 翔太は詩織を抱えた状態で地面に着地。


 その衝撃を吸収するために足を曲げたが勢いは止まらず2人の体はもつれ合う様に地面に転がる。


「おい! 着地するまで待ってから出ていけよ!」


 翔太は空に舞う土地神に文句を言った。


「空に誰かいるの?」


 詩織には土地神の姿は見えていない。


 自分の下から聞こえた詩織の声で翔太は改めて状況を確認する。別に彼女の胸とかをむぎゅっと握るようなラッキースケベなハプニングは起きなかったが、仰向けになって自分の顔をじっと見つめる詩織の表情が可愛くて、ちょっとラッキーな気分になれた。


「なあキミたち…… 良い雰囲気のところ申し訳ないが、何が起こったのか説明してくれないか? あの大蛇みたいな陰は一体なんだったんだ?」


 鈴子部長が自分を押さえ込んでいたサキの仲間を地面に寝かしながら訊いた。


 翔太と詩織は、これまでに経験してきた悪霊に関することについて、大まかな内容を説明する。翔太は悪霊の姿を視ることができること、詩織は巫女の力で悪霊を退治する力があること。しかし、土地神の存在については敢えて言及はしなかった。


 その説明の途中で、サキの仲間の2人は目を覚ました。サキに取り憑いていた悪霊に行動を支配されていた間の記憶は全くないという。


 一方、サキは……


 翔太に殴られた際にかなりのダメージを受けていたようで、まだ白目を剥いてのびていた。


「ちょっとやり過ぎてしまったかな……?」


 翔太は冷や汗を流しながらサキの様子をのぞき込んでいると、


「ううっ…………」


 目を覚ました。 


「うわぁぁぁぁぁー!」


 目を覚ますなりサキは上体だけ起こし、彼から逃げるように手足をばたばたさせて後ずさりした。


 翔太は呆れたようにふっと息を吐き、


「詩織に代わって仕返しをしただけだから! これでおあいこだからなっ!」


「おあいこって…… あなた思いっきりグーで殴ったでしょう? ウチは軽く平手打ちをしただけなのにー!」


 サキは自分が殴られた場面の記憶だけは残っているようだ。


「ふざけるな、おまえ詩織の肩に噛みついて…… あっ、そうだ! 詩織、肩大丈夫か? ちょっと見せてみろよ!」


「えっ? い、いいから別に…… ちょ、ちょっとやめて! 見せないから、あーっ!」


 嫌がる詩織の制服のボタンを外して肩をはだけさせた翔太は……


「こ、これは酷い…… すぐに消毒しないと狂犬病に感染するかも……」


「ちょとー、人を狂犬呼ばわりしないでくれるー? ウチは病気なんかもっていないから!」


 サキは抗議するが、それよりも詩織が無理矢理脱がされそうになったことに激しく怒り出して収拾がつかなくなってしまった。


「ねえ、私も怪我をしているから心配してよー!」


 詩織と同じようにサキの仲間に肩を咬まれていた三咲がよろっと立ち上がって言った。


「なあ、キミたち。明日はここにいるメンバー全員で花壇の手入れを手伝ってくれよ。彼氏君の足がめり込んだところが特に酷い! 朝6時に花壇集合だ。いいね?」


 鈴子部長は最後までマイペースだった。


 ――真っ暗な校舎の中で唯一、職員室の明かりは点いていた。


 蛍光ランプの光の中に人影がある。


 翔太達の学級担任兼生徒会顧問、大橋恵美子先生が彼らの様子をじっと見下ろしていた。


第三章 完結。

翔太と土地神が屋上から降りてきました。なぜ屋上? と思われたでしょうが、校舎の屋上にはロマンがあるから。作者の個人的な思い込みです。

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