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四つん這いの女

 花壇の中で四つん這いで3人を睨むサキは、長い髪の毛が広がりゆらゆらと揺れている。まるで髪の毛が無数の蛇に化したような状態である。


「さ、サキ先輩…………?」


 詩織は目の前の光景が信じられずに問いかける。


『シャァァァァ――――!』


 四つん這いのサキは大きな口を開き、牽制する。その声は蛇の威嚇のようだった。


 園芸部の女子3人は、花壇の手前約10メートルの距離で、足がすくみ動けない。


 サキは赤い目で部長、三咲の順に睨み付け、最後に詩織を注視する。


 ゆっくりと蛇行するように四つん這いのまま詩織に近づいてくる。


「ううっ……」


 詩織と三咲は声も出すことができない。


 鈴子部長が、詩織と三咲の肩に手を乗せ、


「ゆ、ゆっくり後ろへ下がるんだ!」


 小声で野生の獣に対する対処法をとるように指示する。


 3人は歩幅を合わせるようにゆっくり下がる。


 それに対してサキはゆらゆらと蛇行しながら前進する。


「あれは何なの? 人間なの?」


 ようやく声を絞り出した三咲が、震えた声で詩織に問う。


「多分、サキ先輩は悪霊に取り憑かれている…… 悪霊を追い払って祓らえば元に戻るはず……」


 そこまで言って、詩織はこの場に翔太がいないことに気付く。悪霊の姿が視ることができる彼がいなければ祓うことができない。


「に、逃げよう! 鈴子部長いいですか?」


「よし、では3つ数えたら後ろを向いて校舎に入ろう。入ったら職員室へ向かうよ!」


「はいっ!」


「それでは、さん、にい、いち!」


 3人は同時に後ろを振り向く。


 しかし背後にはサキの仲間の2人がいた。


 三咲と部長が捕まった。


「三咲-、部長ー!」


 詩織1人が昇降口へ駆け出す状態になったが、


『シャァァァァー!』


 四つん這いのサキが人間の筋力とは思えない程の跳躍力で詩織に背後から襲いかかる。


「きゃぁぁぁ!」


 詩織は悲鳴を上げて地面にサキと共に倒れ込む。

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