荒れた花壇
第10話「土地神降臨」が私のミスによりアップできていませんでした。今回、こちらの話数のアップと同時に割り込ませましたのでよろしくお願いします。
翌朝、詩織は花壇に水やりをするために早く登校した。
そこで彼女が見たものは、無残にも土足で踏みにじられた花壇であった。
目まいがして倒れそうになるところを翔太に支えられる。
「誰がこんなことを……」
翔太がつぶやく。
呆然と立ち尽くす2人を遠巻きに眺めながら昇降口に入る3人組の女子がいる。
2年生のサキとその仲間だった。「ふふふ……」と不敵な笑みを浮かべながら通り過ぎて行く。
状況が呑み込めていない翔太はその3人組をじっと目で追っていた。彼女らが通り過ぎる間、詩織は彼の腕をぎゅっと強く握っていたから、何かあるんだろうとは感じていた。
「おお、これは酷いな。ねえキミたち、すぐに手入れをするから手伝ってくれ。まだ生きている苗があるから植え直そう!」
園芸部の部長、木村鈴子が声をかけてきた。
続いて詩織の親友の大空三咲が合流し、4人で花壇の修復にとりかかる。
三咲は詩織との会話の中で、2年生のサキのことを持ち出す。
「サキ先輩とはその後どうなの? 嫌がらせとかしてこない?」
「うん…… もう済んだと思うけど……」
しかし先ほどの冷たい視線がどうしても気にかかる詩織である。
「本当に大丈夫なの? 詩織呼び出してビンタしてきたんでしょう?」
「おい、それは初耳だぞ!」
三咲と詩織の話を聞いていた翔太がゆっくりと立ち上がる。
「翔太には言わないでって約束したのにー!」
「ごめーん、ついうっかり…… でもこの嫌がらもあの人たちと無関係とは思えないのよねー」
小声で話す2人だが、もう隠しきれないと思い、サキとの経緯を説明した。
「そーか、あの女が詩織を叩いたのか……」
「叩いたといっても軽くだから! 私もう気にしていないから、ねえ、本当に大丈夫だから、お願いだからそんな不気味な顔でニタリと笑わないで――!!」
怒りを通り越して不気味に笑う翔太を落ち着かせようと必死に説得する詩織。
すると、鈴子部長が翔太の肩をポンと叩き、
「はいはい、キミは変なスイッチを入れないように! 彼女が困っているだろう。あと三咲もあの言い方だとまるで2年生のサキさんが花壇を荒らした犯人と断定しているように聞こえたが、証拠は何もないんだろう?」
「あ、はい…… すみません」
三咲は素直に謝った。
鈴子部長の機転でその場はうまく収まったが、その日一日、休み時間の度に詩織は翔太の行動に目を光らせていなければならなかった。