守る者と守られる者
「あれ、翔太? 私どうしてここに?」
翔太に抱えられた状態で目を覚ました詩織は……
「私、翔太にこれ以上迷惑をかけたくないと思っていたのに…… 最後の最後でまた翔太に助けてと願っちゃった。ごめんなさい……」
「アホなこと言うな。俺はこれからも何百回、何千回もおまえを助けてやるつもりだ!」
「そんなに私、危ない目に遭っちゃうの?」
2人は笑いながら抱きしめ合う。
「私…… 落ちるときに神様に願ったのよ。翔太を私から解放させてくださいって」
「あ、俺もその神に会ったぞ。おまえを守らせろって言ってやった!」
「ええ? それじゃ意味ないじゃん…… 私のお願い」
再び笑い合う2人。
翔太は詩織の背後に土地神の姿を見ていた。
(俺の命は約束通りくれてやる。持っていけ!)
彼が心の中でつぶやくと、土地神はニヤッ笑い、
『確かにお前の命は預かった。私のかわいい巫女を守ることを条件に生かしておいてやろう。約束をやぶったら即地獄行きだからな? クソガキ!』
まだ馬鹿呼ばわりされたことを根に持っているようだった。
翔太は上からの視線を感じ見上げる。
非常階段から3人の男子生徒がじっとこちらを見ていた。
翔太と目が合うと赤い目の輝きがふっと消える。
『ドサッ……』
3人はその場に倒れ込んだ。
「あいつらは何だったんだ?」
『あー、奴等は地縛霊だな。ワタシを怖れて逃げていったようだ』
土地神は呆れたように言った。