51 〝まべひとよ〟
「なぁなぁ、〝まべひとよ〟ーーー」
「酒臭っ」
ランスがいい調子に酩酊して洋次の首に手を回す。
「なーーるほどーー。おまえのかんがえは、よーーく-ーわかった」
「あーーそうですかーー」
一滴も飲んでない洋次が酔いそうだ。
「じくによーーー。ふたぁーつけてさーーー」
「軸? 蓋?」
会話にムダが付属しすぎているので要約しよう。
つまり、外蓋はもちろん継続。内蓋の下方だけにサメの歯のようなシールドマシンの先端に似せた刃を立ててハンドルで回転させて内蓋をゆっくり下降させる。ミキサーの容器の下部にも同様のシールド刃を立ててば、被粉砕対象の食材を固定できて、効率が一層上昇する。
モーターが存在しない人力回転のミキサーでは、限界に近い効率性が期待できる。
実は洋次の試作品では刃の溶接接着やメンテナンスが少し面倒なのだ。しかもランスの改定案だと、オルキア・サラージュの技術力でジューサーに近い粉砕細分化が期待できる。刃が立っている円形の蓋は当然危険だけど、四枚刃が軸にくっついているよりメンテナンスが容易になるはずだし危険度が少ない、だろう。きっと安全だ。
「そうか。やっぱり〝餅は餅屋〟なんだな」
さすが鍛冶屋。でも刹那の尊敬に終わります。
「おおおおーーい。おれはかじやーーだーー」
以下略。
「では稀人様」
「洋次で構いません」
こちらも以下略。




