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24 大人の事情
「あ、あの?」
「なんですか。お医者様」
「その、まさか医師薬師として稀人特典を行使される、とか?」
命中。昨日商売を荒らされたニコ。そして洋次が稀人だと、もう広まっているんだろう。次は医療関係者が稀人の存在に恐怖している。
「そんな情けない声と顔ぉしないでよ。医者って地域の顔役でしょ? 地球では最近まで、〝そう〟だったよ」
「ですけど、国王から認可された稀人に比べれば」
「はいはいはいはい」
稀人、もうご馳走様です。適当に乱打される手拍子。
「さっき説明したでしょう。薬を出すのは医者だけだって。俺はイグに食べさせただけ。人間系の医者でも獣医師でも、そしてお金をもらっていないから食べ物屋でもありませんから」
「「おおおおお」」
「俺は医者でも獣医でもないし、食べ物屋も、しない。ならないから。安心して」




