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224 再会


「あの。もしかして?」

 青い眼、金髪ってより小麦色の髪の毛、肌はヒューマンよりも白い二人。

 この二名はエルフ族だ。


「料理、お口に合いませんか?」

 どうしよう。洋次は料理人じゃないし、メアリーしかエルフを知らない。エルフ族の好みの料理や味付けじゃないと、悪いかなと考えたり。


「いえ。その」

「稀人閣下は、その」

「その?」

 閣下なんて呼ばないでください。照れくさい言葉を継ぎ足す前に、洋次はとっても違和感を感じていた。エルフ二名の反応に、だ。


「あちらの侍女は?」

 エルフの一人。ニンゲン年齢だと二十代前半くらいかな。


「侍女? ああ、メイドのメアリーですか?」

 正確には侍女は、貴族や雇い主、あるいはその正夫人や嫡出女子に使える人だ。

 ステレオタイプなニホンのお色気的メイドとは数段階もレベルが高い。


「メアリー?」

 もう一人のエルフの軍人が唇を尖らせた。


「あの。ご面倒でしょうけど、メアリー侍女とお話が可能でしょうか」

「ええ。それくらいなら」

 この時。

 洋次は正直何も考えていなかったし、すっかりと忘れていた。それはメアリーが語りたがっていない過去があることだ。


(メアリー)

 北風の精霊(バンシー)の風の便りを利用しない、ボディランゲージでメアリーを呼び出す。


 なんですか。


 メアリーの瞳が揺れたのはわかっている。


(あの、お知り合い?)


「ドリー」

「兄様」

「は?」

 二名のエルフ軍人とメアリーの距離は目測数十メートル。でも、それで目的は達成させた。


兄様フラテ、兄様」

 風の精霊に好かれているせいか、メアリーは早歩き名人だ。それは洋次は何度も目撃している。


「兄様、兄様」

 でもまるでミサイルか弓矢のように飛んだ。いつもはトンがっててもドジっ娘属性が隠せない世界遺産級のナイスバディを激震させながら。


「ドリー、ドリー」

「兄様、ルータ、兄様、ルータ!」

「まさか、こんな場所で」

 ぽっかん。

 そりゃエルフ同士だから、もしかして知り合いとは洋次だって想定していた。

 でも瞳に映ったら即抱擁する間柄だったなんて。


「ほほぉ」

「うわあああああああああああああああ」

 二メートル級のキコローと肩を並べるくらいジャンプした洋次。


「怒鳴るな。そうか、あの新米エルフはメアリーの既知か」

「いや」

 まさか炊き出しをしていたら泣きの涙の感動の再会に遭遇するなんて。

 ってか、兄様は兄だとして。


「ま、まさか」

「兄様、ルータ」

 壊れたCDかテープみたいに同じセリフが繰り返される。でも、それだけで完結するくらいの再会の名場面だ。



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