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105 聞きになりたいご質問は?

令嬢レディの御成りです」

「はい」

 謁見の間の脇にこっそりと設置されている通用口。いわゆる控えの間からカミーラが再登場して、やれやれと安堵した。このままどさくさに紛れて謁見と治療が不発に終わる恐れも僅かだけどあったのだ。


 ぺこり。


「あれ?」

 瞬間で感じた違和感。それは、カミーラが着席してから洋次はそれを悟った。


「では、ナプキンを」

「それは私が」

 そうだ。衛生面と若干汚れる可能性があるから、メアリーはカミーラのドレスを着替えさせたんだ。


「こちらも落ち着いたお服ですよ」

「よかったぁ」

 オキニの服から地味服に。そして洋次には感知できないほどだけどランクダウンした衣装にカミーラはちょっとガッカリしているのだ。


(医は仁術かぁ)

 話術か手練手管じゃないのかと自分で疑う稀人歯医者。


「稀人、それは?」

 メアリーが用意したコップにアルコールを注ぐ。お酒から分離蒸留しているから純度は高いとは言えない。


「アルコールです。これで消毒することで姫が雑菌に犯さ、れ?」

「雑菌」

「メアリーぃ」

 洋次が雑菌だと言いたそうなメイドさんがジト目で一挙一動を監視している。


「ここは慎重にしないとなぁ」

 アルコールを注いだコップに棒を挿れる。これはデンタルミラーや口腔内を診る道具、舌圧子だ。


「では、失礼」

 舌圧子をカミーラの口の中にそっと差し込む。


「不必要に令嬢の身体に接しないように」

「はい終了です」

 洋次は素早く棒、舌圧子を抜いた。


「「もうですか?」」

「はい、もう、です」


「こちらの水で」

 アルコールを注がなかったコップを水で満たす。


「口をすすぐか、うがい、または水を飲んでください。その後で質問をお許し願えると幸いです」

「では、今度は稀人」

「お水、頂きます」

 コクコク。カミーラは水を一気飲み。


「令嬢」

「洋次、お聞きになりたいご質問は?」

 ニコリと微笑んだ。



 まだ更新ショックの後遺症があります。


 マイクロソフト、許すまじ。



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