朝の一時
どうも!これより風の唄第二章の始まりです。一章を読んでいなくても楽しめる内容となっておりますのでぜひご一読を!
「ん……」
少女は窓から柔らかく射し込む朝日に目を細め、大きく伸びをした。何でもない行為だがその端々に気品というか、どこか王女様を思わせる風格が漂っていた。
少女は枕元の櫛で艶のある黒髪を軽くなで付ける。くせのない髪はそれだけで綺麗にまとまった。それから少女はカーテンと窓を開けて太陽の光を体いっぱいに浴び、眠気を覚ますと自室を出て下の階の居間へ向かった。
それと時を同じくして今では美味しそうな朝食が並べられていた。
「クク、おはようございます」
その声に食事を作っていた少女の犬を思わせる尻尾と耳がビクンと逆立ち、なんとも固い表情で、
「お、おはようございます!」
腰を九十度に曲げて挨拶した。しかしその直後、大きく力を抜き、再び上体を戻すとすっかり砕けた話し方になり、
「……いまだに慣れませんね……」
「何を言っているんですか、今までどおりの接し方にしてくださいとお願いしたのは私の方ですよ?」
黒髪の少女の方はキッチンのカウンターに乗っている残りの朝食をテーブルに運び、犬耳の少女と共に六人掛けのテーブルの一角に着いた。テーブルにはあと二人分の朝食が用意されている。
「全く、お前は本当に手加減無しだな……」
「だってお前俺が手を抜くとそれはそれで怒るじゃねえか」
扉を開けてメイドのそれに似たドレスを身に纏った少女と、背中に剣を背負った黒髪の青年が家に入ってきた。二人はテーブルの朝食を見るなり会話を止め、急いでテーブルの側まで走った。
「すみません、ソフィア様、お待たせしてしまいましたか?」
ドレスの少女がうやうやしく頭を下げる。頭を下げられた黒髪の少女は逆に居心地が悪そうに手を振った。
「い、いえ、私もククも今座ったところです。エリーもメルクさんも、早く食べましょう。せっかくのハムエッグが冷めてしまいますよ?
「そうだぞエリー、早く席に着け、お前が最後だぞ」
「うるさい!お前も少しは敬意をはらえ!」
ちゃっかり席に着いてつまみ食いをする青年にすかさずドレスの少女が噛み付く。
「お、このスープ美味いな、何を使ったんだ?」
「話を聞けぇ!」
「あ、気づきました?隠し味にハチミツを入れてみたんです!」
ここでドレスの少女もとうとう諦めたのか顔を真っ赤にしつつもテーブルの一角に腰を落ち着けた。
いただきます
そう一声、再び食卓に楽しげな話し声が満ちた。
「こんな日がいつまでも続けばいいですね」
黒髪の少女、ソフィアはそう呟いた。
主人公メルク、ツンデレ?なエリー、犬耳クク、そしてソフィア、この四人が織りなす日常系ファンタジーを目指します。
最近は暑いですね〜、まだ6月、いやもう6月かな?部屋の窓を全開にしても汗ばむくらいです。それでも私は夏が一番好きな季節なので暑いのは大歓迎ですけどね!
今回の分量は大分少なめです。ごめんね