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風の唄  作者: けんじ
12/28

歪み

その先は全くの闇。たった一本の道を隔てただけなのにそこにはまるで生気を感じることができなかった。幸い細い道が入り組んでおり、兵士を撒くことはできた。しかしそれと同時にソフィア自身も自分が今どこにいるのかがわからなくなってしまった。いくら火の国といえど夜は寒い。ソフィアは膝を抱えて地面に座り込んだ。そうすることで少しでも寒さを凌ごうとしたのだ。そうしているうちにソフィアの意識は遠のき、眠りに落ちた。


ソフィアは顔に熱を感じ、目を覚ました。薄眼を開けて辺りを窺うとそこは昨夜の道ではなく小さな小屋のような場所。その一角にソフィアは寝かされ、体には薄い毛布が掛かっていた。兵士に捕まったのかとも思ったが体の自由が奪われていない辺り、その心配はなさそうだ。ソフィアが体を起こすのとちょうど同時にソフィアから見て斜向かいにあるドアが開き、一人の女性が入ってきた。歳は四十程だろうか、体格はいい方だったが着ているものはボロボロでところどころ継接ぎがされていた。

「おや、目が覚めたのかい?全く、女の子があんな所で寝るもんじゃないよ、風邪ひいちまう」

「あの……ここは……」

「ここはあたしの家。それよりあんた、どうしてこんな所にいる?少なくともこの国の人間じゃないね」

この人はソフィアを助けはしたが信用はしていないようだった。だからソフィアはここで嘘を言っても仕方がないと思い、そのまま答えることにした。

「兵士に追われて」

そう言うと女性はふっと表情を緩め、ソフィアに笑いかけた。

「そうかい、あんたも無実なんだろ?兵士もこんな女の子を寄ってたかって追い回すなんてひどいことするねぇ」

てっきり兵士に突き出されるかと思っていたソフィアは拍子抜けしてしまった。

「お母さーん、ただいま!」

今度はドアから二人の子供が姿を現した。片方は十歳位、もう片方は六歳位か、仲の良さそうな兄弟だった。

「はいはい、今ご飯にするからね」

女性は家の中央にある暖炉の上で煮えている鍋の蓋を取った。

「ほらあんたもおいで」

女性に手招きされ、ソフィアも暖炉の周りに腰を下ろす。

「ねぇ!お姉ちゃんは誰?」

隣に座った兄弟の弟にソフィアは一瞬言葉が出なかった。自分は何者なのか?少しの間考え、結局こう言った。

「ソフィアです」

問いの答えになってなかったかもしれないが少年は素直に

「ぼくはリクだよ!」

と返してくれた。すると兄の方も

「僕はレン」

と自己紹介した。

「あたしはチサト、うちの子達ももうあんたに懐いたみたいだね」

そこで湯気の立つ器が各自に配られた。中身はスープだった。

「やったー!きょうはなかみがいっぱいだね!」

そうリクが喜んでスプーンを走らせる。ソフィアも器を掬ってみたが具はほとんど無く、僅かに菜っ葉が引っかかるだけで芋等はほんの僅かしか無かった。


食事が済むとリクとレンは再び外へ遊びに行った。鍋と器を二人で洗っていると(チサトは自分ですると言ったのだがソフィアがどうしてもやると言って聞かないので二人ですることになった)チサトが口を開いた。

「あの子達にはもっとまともなものを食べさせたいんだけどね……」

チサトがため息混じりにつぶやいた。確か食事の時、リクは中身がたくさんだと言っていた。ということは普段はあれよりひどいのだろうか。

「せめてあたしに魔法が使えればねぇ……」

そう言ってまたため息を漏らす。

「魔法……が使えれば?」

風の国では程度の差こそあれ誰もが魔法を使うことができた。国中を探しても全く使えない人というのはいないだろう。

「そうか、あんたは他所から来たんだったね、他所ではどうか知らないけどこの国では……魔法を使えない人間は賎民なんて呼ばれて差別されてるのさ、賎民はロクな仕事に就けないから自然と貧しくなる。そうなると兵士になる位しかまともに食べていける方法が無くて男はみんな兵士に行っちまったよ」

ソフィアはシュウの言葉を思い出した。『賎民は人じゃない』『そこは賎民区だ。人の入る場所じゃない』魔法が使えるか使えないかでここまでの差が生まれてしまうのか、そうなるとリクとレンも賎民と蔑まれ、兵士になって命を散らすしかないのか、それではまるで救いが無いではないか、そう思うとソフィアは悲しくなった。

「それでももうすぐ生活は楽になるんだよ、ミツヅリ大隊長が大軍を率いて風の国を攻めたからね、貿易で散々火の国から搾り取った金を賠償金にして返すんだって」

「え……」

ソフィアの器を洗う手が止まった。ソフィアだって王族の直系、他国との貿易内容くらい把握している。ソフィアの記憶が正しければそれはいたって公平なものだったはずだ。だがチサトが嘘を言っているようには見えない。それに風の国は賠償金どころか国そのものを滅ぼされたのだ。それだけはソフィア自身の目の前で見せつけられたのだから間違いない。

「それは……どこから聞いたのですか」

ソフィアはどうしてもその情報の出所が知りたかった。自分の国が貶められるのはどうしても許せなかった。

「そりゃあ国王様さ、私達が信じられるのは国王様だけさ」

火の国の王。それがどんな人なのか、ソフィアはどうしても会ってみたくなった。そしてなぜこんな嘘を流すのかその理由を問いたださなくてはならない、そう思った。




俺は……夢を見た。いや、これは夢じゃない。俺の記憶……もうとっくに捨てたはずの過去。俺がまだメルクではなくハーメルン……ソフィアの兄だった頃の。


「違う!もう一度!」

部屋中に怒号が響き渡る。ここは地下の闘技場。俺は取り落とした木刀を機械的に拾い上げる。そしてまた刎ね飛ばされ、木刀を拾う。相手は風の国の剣術師範、まだ七つの子供が敵う相手じゃない。それでも青あざだらけになっても、手の豆がつぶれて血が滲んでも、俺はひたすら剣を拾った。当時の俺の生活は朝起きる部屋、食事を摂る部屋、そして剣術の稽古をする部屋の三つだけ。それが俺の世界の全てだった。俺は風の国の国王、ノア デューク テンペスタと使用人との間の子だ。つまり俺は『いてはいけない』子供な訳だ。それでも親父に認めてもらいたくてあの頃はがむしゃらに剣を振ってた。

そして俺が十になる頃には俺は親父の……国王の命令で動いていた。命令内容は風の国に……まあ実質は国王に仇なす者の抹殺。それもある意味では認められた証なのかもしれないがそんな事を何十、何百と繰り返す内に既にヒビの入っていた俺の心は壊れ、喜びなんて感じなかった。そしてその頃になると俺の訓練は単純な剣術から人の殺し方、どこを刺せば死ぬか、どこを切れば動けなくなるか、そんな訓練に変わった。

そんな事を続けて俺は十二になった。歳はよく覚えてないが多分その位だったと思う。俺に一つの心の安らぎができた。妹だ。ごくたまに与えられる自由時間には欠かさずソフィアに会いに行った。その笑顔だけが当時の俺の救いだった。特にソフィアを背負って城を駆け回った時は喜ばれたっけ。

そんな時、俺は使用人同士の会話を耳にした。どうやら俺の母親が国王暗殺を図っているらしい。当時の俺にそれが使用人の嫉妬による噂だとは思いもよらず、母親を殺した。今までもそうやって殺してきたからだ。壊れた俺の心は悲しみなど映さず、ただ動く肉の塊を動かない肉の塊に変えた、それくらいの感覚だった。ところがそれを聞いて驚いたのは国王の方だったらしい。自分の母親さえ無機質に殺す俺を恐れたんだろう。いつか自分も殺すんじゃないか、と。

それで俺は国王暗殺を図ったとして表向きは処刑されたことになってる。だけど俺は逃げ出すことができた。気がついたら空いてた地下牢の格子を潜り抜けて。

だが運よく逃げられた所で俺は人を殺すしか能のないガキだ。フライハイトまで行き着いた所で奴隷商人にとっ捕まって船に押し込められた。それでもお得意の殺人術で船を抜け出してリムルに流れ着いた俺を拾ってくれたのが師匠だったんだ。


目を開けた途端に流れ込んでくる光の眩しさに俺は目を細めた。見たことのない天井、嗅いだことのない匂い、俺は散々刷り込まれた訓練通り、飛び起きて近くの武器になりそうなものを手探った。丁度よく枕元に果物ナイフがあったのでそれを掴んでドアに耳を付ける。外では人の会話が聞こえた。男が一人、女が一人、片方は大分若い。俺と同じ位か、声の聞こえる方向、大きさから大体の部屋の形を推測する。そして手早く敵を殺す算段を立てると俺はドアを勢いよく開け、まず男の方に飛びかか……ろうとした。いや、確かに俺はドアを飛び出してすぐ右にいるはずの男の首筋目掛けてナイフを走らせた。でも気づいた時にはもう俺は床に組み伏せられていた。

「おいおい、命の恩人をいきなり殺しにかかるか、ヤンチャだねぇ」

男は俺の手からナイフをもぎ取ると側のテーブルの上に置き、俺の拘束を緩めた。

「くそッ!」

その緩みを突いて男の首筋を蹴り上げようとする。しかしそれもあっさり受け止められ、今度は椅子に縛り付けられた。

「……だからナイフ置いといたら危ないって言ったのに」

目の前のつば広帽子を目深に被った少女が俺がさっきまで握っていたナイフを使って赤い物体を切り始めた。

「でもそのお陰でこいつの使う武器を限定できた、だろ?」

男は空よりももっと深い蒼色の髪を短く後ろで束ね、無精髭を生やしている。

「くそッ!殺すなら殺せ!」

「……はい」

少女が俺に切った白色の物体をフォークの先に刺して目の前に差し出した。これはこれからこのようにして俺を殺すということなのだろうか、椅子の結び目は解けそうにない。逃げ出すのは絶望的か……

「りんご、嫌い?」

「……りんご?」

俺は目の前の少女から発せられた言葉を理解することができなかった。これはりんごという殺し方なのだろうか。

「そう。りんご、知らないの?」

少女はフォークの先の物体をぷにぷにと俺の頬に押し付けてくる。どうやらりんごというのは殺し方ではなくこの物体のことのようだ。ではこれには猛毒があるのか、それは目の前の少女も隣の男も口にしていないことから明らかだ。そして俺に自らこれを食べて死ねと言っているのか……。

俺は覚悟を決めた。殺されるくらいならいっそ自分の方から死を選ぼう。願わくばもう一度ソフィアの顔が見たかったが……それはもう叶わないらしい。

「……わかった」

俺はふぅっと息を吐いてりんごを口に入れた。口から喉に、そして腹に激痛が走り、血を吐きながら息絶える……と想像していた俺は面食らった。美味しいのだ。今まで食べたことのない甘い味、心地いい歯触り、全てが新鮮だった。

「……美味いな」

すると俺の隣に座っていた男がニヤニヤしながら自分もりんごを口に入れた。


皿に乗ったりんごを食べ終わり、隣の男が立ち上がった。

「よう、ハーメルン。初めまして、かな?俺はメルク。メルク ハインラインだ。そっちはアリス。先に言っとくが俺たちにお前をどうこうする気はない。だがまあちょっとの間ここにいてもらうことになる。何か質問は?」

俺はもう風の国の王子じゃない。いや、ノア デューク テンペスタの息子であったとしても父は俺を助けるだろうか?いや、そんなことは絶対に無い。そんな俺に何の価値がある?それでも生かしておくというならこれ以上反抗する理由は無い。逃げるチャンスが増えるに越したことはないからだ。

「何も」

俺がそう答えるとメルクはニヤッと笑ってアリスに目配せした。

「じゃ、俺はちょっと出かけてくるから、アリス、ハーメルンを頼んだ」

「……めんどくさい」

「まあそう言うなって、じゃあな」

そう言って家を出て行った。俺は内心ほくそ笑んだ。なにせいきなり大のチャンスが巡ってきたのだから。唯一の懸念材料であるメルクが消えれば逃げることくらい造作もない。こんな常にぼーっとしているような女に何ができるというのか。

メルクが出て行ってしばらくの時が経った。アリスは無警戒に料理を作っている。俺は魔法で縄に傷を付ける。俺の乏しい魔力じゃロクに魔法なんて使うことはできないけれど細い縄に傷を付けることは可能だ。これでいつでも腕で引きちぎることができるようになった。そしてテーブルを思い切り蹴り上げた。アリスが音のした方向、即ちテーブルに注意が向いた瞬間、俺は縄を引きちぎってアリスの背後に回り込む。俺と同年代の少女如き素手で十分……と思っていたが女神様は何とも理不尽だった。

俺の体はアリスの首に手を伸ばした状瞬間、上から物凄い力で押さえつけられ、地面に叩きつけられたままどう足掻いても指先ひとつ動かなかった。

「……てめぇ、何しやがった」

「ハーメルン、今私を殺そうとした」

「……」

「私はメルクからハーメルンを頼んだって言われた。だからハーメルンを管理する義務があり、権利がある」

それを聞きながら俺の背中を圧迫する力が更に強くなった。これはアリスの魔法なのか?

「わかったわかった、降参だ」

「よろしい」

するとさっきまでのがまるで嘘のように圧迫がなくなった。

「じゃ、まずこのテーブルを直して」

「へいへい」

すると再び俺の体は地面に這いつくばらされた。やはりもがけどももがけども指一本動かせない。

「返事は一回」

更に圧迫が強くなった。

「痛い痛い痛い!わかった、わかったから!」

またしても体の拘束が解ける。今度は素直にテーブルの位置を戻した。

「ほら、これで……痛い痛い!」

またしても床に這いつくばる俺。

「何でだよ!ちゃんと戻しただろ!?」

「だめ、位置が違う」

「位置なんてどうでも……」

言いかけたものの、またアリスの瞳が光ったのを見て素直にテーブルの位置を見直す。よく見ると一部分だけ四角い跡がある。長い間ここに何かがあった証拠だ。それ即ちテーブル。

「ったく、ほんのちょっとじゃねえか」

ブツブツ言いながらもテーブルを定位置に戻すとアリスはさっきまで煮込んでいた鍋をその中央に置いた。

「これは?」

「お粥」

「おかゆ?」

これもまた俺が食べたことも、見たこともない食べ物だ。白い粒が鍋の中にぎっしり詰まっている。

「お粥、知らないの?」

俺は頷いた。するとアリスは驚いたように眉を持ち上げた。

「ちなみにりんごも初めて食ったな」

「じゃあ今まで何を食べて生きてきたの?」

「さあ?食べ物の名前なんて気にしたことなかったからなー」

アリスはため息をついて器にお粥をよそった。

「これは炊いたお米と水とその他色々を鍋に入れて煮た食べ物」

「ふーん」

俺がそんな適当な返事をしたからだろうか、アリスはむっと眉をひそめて、

「食べて」

そうしてクソ熱い器を俺に押し付けるもんだから俺はお粥をスプーンで掬って口に入れた。

「どう?」

いつも半開きの目をニヤつかせてアリスは俺を見ている。その時、俺の手に何かの滴が垂れた。

「え……」

それが自分の目からの滴だということに気づくのに少しの時間が必要だった。

「泣くほど美味しかったの?ふふん、私を崇めてもいいのよ?」

アリスは多分無い胸を張っている。と、いうのも俺の視界は涙でぼやけてすぐ向かい側のアリスの姿さえおぼつかないからだ。俺もなぜこんなにも涙が溢れるのか解らない。なぜこんなにも美味しいのか解らない。なぜ……こんなにも温かいのか解らない。

「なあ……お粥ってのを食った奴はみんなこうなるのか?」

「ならない。ハーメルンが変なだけ」

「はは……そうかい……」

それから俺は涙を拭い拭いお粥を食べた。


そして食後、今度は俺の体はアリスの魔法で椅子に拘束されていた。

「なあ、これ、解いてくれねぇかな」

何せ椅子に座った状態から体のどの部位も動かないのだ。肩が凝ってしょうがない。

「自由にしたらまた襲う」

アリスは見向きもせずに本を読んでいる。まあ最初のが悪手だったかな……

「じゃあせめて首だけでも動くようになんねぇかな」

「ハーメルン、おっさんくさい」

「うるせ、凝るものは凝るんだよ!」

そうやってゴネること十分程、アリスが折れて俺は自由の身になった。まあおかしなことをすれば即拘束されるんだろうけど。まあゆっくりチャンスをうかがうとしよう。

「それでハー……ハメル」

俺はまさかこれが自分のこととは思わず、窓から空を眺めていた。ところがアリスはそれを無視ととったらしく、もう何度目か知れない激痛を俺は味わった。

「いででででっ!」

俺は床を叩いてギブアップ宣言をしようとしたがそれすらできない。

「ハメル、何で無視したの?」

しゃがんで俺の頬をつっつきながらそう聞かれる。俺としては別に無視したわけじゃなく……いやしたんだけど、まさか自分のことだとは思わなかったのだからか仕方がない。とんだサドティストだ。

「分かった分かった、何でございましょうかアリス様!」

半ばヤケクソ気味にそう叫んでみる。するとあっさり拘束は解けた。

「何て言おうとしたが忘れた」

「おいおい……まあそれはいいとしてお前ハメルって何だよ!」

「ハーメルンって長いから」

アリスはしれっとした顔でそう言いやがった。

「……まあ好きなように呼べばいいけど……」

「じゃあ……」

この後アリスが何と言うか大体の察しはつく。だから先回りしてその道を塞いでおく。

「但しハメルは却下」

「むー、いいと思ったんだけど」

それをいいと思うってお前、ネーミングセンスどこに落っことしてきたんだよ……

「じゃあクロ」

「は?」

「だからクロ」

最初は聞き間違いかと思ったけどどうやらそうでもないらしい。ハメルからクロ、ね。こいつ何考えてるかわかんねぇな……

「ちなみに何でそんな突拍子もない呼び方になったのか聞かせてもらってもいいですかね?」

するとアリスは俺の頭と目を指差して

「黒、だからクロ。私、その色好きだから」

なるほど、俺の髪と瞳の色からとったのね、まあハメルよりはマシか。

「じゃあ俺もソラって呼んでもいいか?」

アリスの髪と瞳の色は綺麗な空色だ。そこからとった訳だがアリスは視線を落として

「アリス、でいい。私、この色嫌いだから」

どうやらそこは触れてはならない所だったようだ。アリスはすっかり元気をなくして読書に戻ってしまった。俺から見れば何の飾り気もない黒より空色の方がいいと思うのだがそれは隣の芝は青いってやつなのか。

「そうかい。それよりメルク遅せーな」

と、いう訳でお茶を濁すことにした。

「いつも帰りは遅い」

いつもってことはこういうのは日常茶飯事なわけか。ならチャンスはメルクの外出中、あとはアリスの魔法だな……つーか何で部屋の中で帽子なんて被ってんだ?まあいいか、どっちみちアリスの弱点が見つかるまで動けそうにないしな、それに……ここを出て行くあてもないし……な。

どうも!気づけばこのシリーズも十話を超えました!これも皆様の応援あってこそです。ただ月一話と更新ペースは遅いのはお許しください。


さて、今日は二月一日、もあと三十分な訳ですが、中学受験ですね、私も昔寒い中、カイロをシャツの中に入れて電車に乗ったのを覚えています。受験生!頑張れ〜!

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