【006 滅亡】
【006 滅亡】
〔本編〕
この両国(ソルトルムンク聖王国とバルナート帝國)の国境での戦いは三日間続き、元々志気の低かったソルトルムンク聖王国連合軍は多勢でありながら、終始、バルナート帝國連合軍に押されっぱなしであった。
そして三日目の龍王暦一〇五〇年三月三日。それまで日和見を決め込んでいたカルガス國が、バルナート帝國側に寝返ったことにより、この戦いの趨勢が決した。
結局、この三日間の戦いで、バルナート帝國連合側の死傷者四千人に対し、ソルトルムンク聖王国連合側の死傷者は十倍の四万人に達した。この戦いを国境の町の名前を取り、後に『バクラの戦い』と呼ばれる。
バクラの戦いの後の戦いでも聖王国側は連戦連敗をかさね、ついに三月一〇日、ソルトルムンク聖王国の首都であり王城でもある『マルシャース・グール』も陥落し、ジュルリフォン聖王子も数百名に守られながら、ヴェルト大陸最南端の城『ツイン城』に逃げ込んだ。
聖王国の王城マルシャース・グールを占領したバルナート帝國のロードハルト帝王は、ソルトルムンク聖王の王としての証である『聖王の冠』、『聖王の杖』、『聖王の剣』のいわゆる三種の神器を手中に収めた。
現聖王であったコリムーニ老聖王は亡くなり、ソルトルムンク聖王国の三種の神器を他国に奪われたことにより、名実共にソルトルムンク聖王国という國は、歴史的視点に立つならここで一旦、滅びたということになる。
〔参考一 用語集〕
(神名・人名等)
コリムーニ老聖王(ソルトルムンク聖王国の王。故人)
ジュルリフォン聖王子(ソルトルムンク聖王国の王子)
ロードハルト帝王(バルナート帝國の帝王)
(国名)
ソルトルムンク聖王国(大陸中央部から南西に広がる超大国。第八龍王優鉢羅の建国した國)
バルナート帝國(北の強国。第七龍王摩那斯の建国した國。金の産地)
カルガス國(北東の中堅国。第六龍王阿那婆達多の建国した國)
(地名)
ツイン城(ソルトルムンク聖王国の最南端の城)
バクラ(ソルトルムンク聖王国とバルナート帝國の国境にある町)
マルシャース・グール(ソルトルムンク聖王国の首都であり王城)
〔参考二 大陸全図〕