【013 回想バクラの戦い(二) ~開戦~】
【013 回想バクラの戦い(二) ~開戦~】
〔本編〕
龍王暦一〇五〇年三月一日未明。帝國軍十万が動き出した。
右側から白い鎧の竜騎兵を中心とした兵が二万。左側から真紅の鎧の金騎兵を中心とした兵が二万。中央から漆黒の鎧の金剛槍兵を中心とした兵が二万。それぞれ進軍をはじめた。進軍していないのは後方に控える帝王直属の兵二万ぐらいである。
同盟国であるミケルクスド國の二万の飛兵は、空中から進軍している陸上軍と歩調を合わる。先ず、弓兵の中で唯一飛兵でもある飛竜弓兵が牽制の為に聖王国軍の中に矢を打ち込んだ。
この前夜。二八日の夜半であるが、聖王国軍はクルックス共和国の同盟兵が到着したこともあり、最前線でありながら宴会を催していた。また同日深夜。五千もの自国の兵がさらに合流出来た。
しかし、それらの軍編成は明日(三月一日)以降に行うこととしたため、結果、三月一日の決戦ではクルックス共和国の同盟軍と五千の援軍は、遊軍のような形で戦闘に参加せざるを得ず、十分は戦力とはなり得なかった。
またそれとは別に悪い報告が王城マルシャース・グールからもたらされた。南の弱小国であるフルーメス王国の中立宣言である。ソルトルムンク聖王国としては、ミケルクスド國がバルナート帝國についたことに続きショッキングな報告であった。そのため士気をあげると称して必要以上に宴会を盛大にした感もある。いずれにせよバルナート帝國とミケルクスド國の連合軍が動き出したとき、半分近くの聖王国連合軍の兵が、酒が抜けていないという状態であった。
しかし、聖王国軍としても全く無為無策だったわけではない。敵の騎兵の機動力を殺すため、前面に重装備の槍兵を連ね、その背後に弓兵も多く配備してあり、敵の飛兵対策や間接攻撃の態勢も整っていた。
しかしすぐに、それらの対策の一切を無に帰してしまうほどの、一人で、他国の三人の兵力に相当されると恐れられているバルナート帝國兵の底力を見せつけられてしまうことになる。
〔参考一 用語集〕
(国名)
ソルトルムンク聖王国(大陸中央部から南西に広がる超大国。第八龍王優鉢羅の建国した國)
バルナート帝國(北の強国。第七龍王摩那斯の建国した國。金の産地)
ミケルクスド國(西の小国。第五龍王徳叉迦の建国した國。飛竜の産地)
クルックス共和国(南東の小国。第四龍王和修吉の建国した國。唯一の共和制国家。大地が肥沃)
フルーメス王国(南の弱小国であり島国。第二龍王跋難陀の建国した國)
(地名)
マルシャース・グール(ソルトルムンク聖王国の首都であり王城)
(兵種名)
最終段階(兵の習熟度の称号の一つ。一番上のランク。この称号を与える権限は國の王のみが持つ。トップランクとも言う)
ドラゴンナイト(最終段階の小型竜に騎乗する騎兵。竜騎兵とも言う)
ゴールドナイト(最終段階のゴールドホースに騎乗する重装備の騎兵。金騎兵とも言う)
メタルナイト(最終段階の重装備の槍兵。金剛槍兵とも言う)
ワイヴァーンハンター(最終段階の飛竜に騎乗する軽装備の弓兵。飛竜弓兵とも言う)
〔参考二 大陸全図〕




