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ダブルS  作者: かじき
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34.

34/


「お帰り。」

 家に帰ると、何事も無かったかのように、静が台所に立っている。

 四人がとりあえずソファに座ると、笑顔を向けた。

「お疲れさま。何か飲む?」

「………その前に、静。」

翔平の声が、若干重い。

「……何?」

「彗に付けたな?」

 静はちょっと舌を出した。

「バレた?」

「当たり前だ。……どこに付けた?」

「彗ちゃんの宝物に……。」

「彗の宝物………?」

 翔平は、自分の服の裾をつまんだまま隣に座る彗の瞳を覗き込んだ。

「彗、お前が肌身離さず持っている宝物って………何だ?」

 彗は頬を赤らめて俯いた。

「静がそれに盗聴器と発信器を付けている筈なんだ。」

 翔平が言うと、静が声を上げた。

「失礼ね!彗ちゃんには発信器だけよ!盗聴器は付けてないわ!でなかったら、拉致された瞬間に判ってる筈でしょ?!」

「………それもそうか。なら、良い。今日みたいなことがあったら困るから、発信器は付けたままにしておく。」

「英断ね。」

「盗聴器は付けるなよ?!」

「解ってるわよ。大体、翔が彗ちゃんを口説いてんのを盗み聞きして、何が楽しいの?!」

 駿一が口を挟んだ。

「そりゃ面白いだろう!聞きたい!聞きたい!!」

「切られたいか?駿。」

「……いや、遠慮しとく。」

「それから、彗。」

 呼ばれて彗は瞳を上げた。翔平の澄んだ瞳が見つめ返してくる。

「お前に信託の遺産が残っている。」

「……えっ?」

「お前のご両親がお前の為に残したものだ。」

「私、放棄した筈じゃ………。」

「これだけは生きていたんだ。」

 いつの間にか彗は翔平の服の裾をしっかりと握り締めている。

「その大切なお金を、更に放棄しろとは俺には言えない。だが、放棄しない限り今後も狙われることは確実だ。」

 彗は小さく頷いた。

「俺が護るつもりでいるが、今回のように、安全だと思っていた学校にさえも危険がある。どうするかはお前が決めろ。今すぐでなくて良いから。」

「………うん。」

 と、翔平の顔が近付いてくる。思わず後ろに仰け反った彗をソファの背もたれが止めた。額に額が触れる。

「………やっぱりまだあるな、熱。少し眠れ。一緒にいてやるから。」

「………うん。」

 頷いて、彗は翔平の後に付いていった。



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