28.
すみません。短いです。
少し落ち着いたのか、彗が翔平に凭れたまま、居眠りを始めた。
微かな寝息を確かめて、静が口を開く。
「あのね、翔、彗ちゃんには従兄がいるんだけど。」
「根本 奏太のことか?」
「……知ってたの?」
「ああ。実はちょっと調べた。彗にストーカー紛いの行動をしていた奴だろう?!」
静はホッと息をついた。
「知ってるんなら良かったわ。会社が危うい時だから、尚更狙われるんじゃないかと思って、彗ちゃんが心配だったのよ。調べたら、信託になっているお金が残されていたし。」
「ああ。それも確認した。十六で一千万、二十歳に二千万、彗に入ることになっているな。………今度の誕生日で十六になるから、とりあえず警戒はしているが。」
駿一も口を挟む。
「念の為、哲には俺が付く。哲本人がそうして欲しいと言っているしな。」
「……そうなのか?」
「ああ。翔や彗ちゃんの足枷になりたくないからって、頼まれた。」
「………アイツは妙に聡い時があるからな。なら悪いが、頼む。」
彗が微かに身じろぎした。が、翔平が顔を見ると、まだ眠っているようだ。
静がまた口を開く。
「………話は変わるけど、翔がこの家に帰るのなら、マンションはどうするの?」
翔は頬杖をついた。
「……本当はこの家に一緒に住んで、ここを拠点にできると良いんだが。哲は反対しないだろうが、彗はまだ不安定だから、勝手に決めて押し通す訳にもいかないし。もう少し時間をくれるか?」
駿一と静は無言で頷いた。
途切れ途切れに聞こえた話が夢か現実なのか判らなかったが、それでも彗は衝撃を受けた。翔平はこの家に戻る前、マンションに静と一緒に暮らしていたのだと。




