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ダブルS  作者: かじき
10/36

10.



 翔平の単車の後ろに乗せられた彗は、そのまま家まで連れて来られた。

 リビングに連れられて、翔平の正面に座らされた彗には、彼が怒っているのが凄く伝わってくる。はっきり言って、やっぱり怖かった。

 帰りの遅い彗を心配して、哲平も起きて待っていた。その哲平が兄に懇願する。

「兄さん、お願い!彗を叱らないで!」

 だがそれには答えず、翔平は、感情を抑えたままの彗を睨みながら、駿一に向けて言った。

「駿。」

「はいよ。」

「静を呼んでくれ。」

「静を?何で?」

「鎧を剥ぐ。」

「……ふうん………。」

 駿一は携帯で連絡を取る為、廊下に出て行った。

「哲。お前も、もう寝ろ。明日も学校だろう。」

「………うん。」

 哲平は心配そうな顔をしながらも、兄に従って部屋を出て行った。

 彗は翔平と二人、取り残される。

「……彗。」

 翔平の低い声に、彗の細い肩がぴくんと揺れた。

「お前がしなきゃならなかったのは、橋から飛んで母親に会いに行くことじゃなく、真っ直ぐここに帰ってくることだった筈だ。………違うか?」

 彗は俯いた。あの時はぼんやりと思ったことを口にしただけで、本心からそうしようと思った訳ではない。けれど、怒る翔平が怖くて言い出せなかった。

「俺はお前がそんなことをするのを赦すつもりはない。そういう行動は取らないだろうと信じていたんだが、そんな俺の信頼を裏切った以上、お前を監視させてもらう。二度と母親の元に行こうとしないようにな。」

 彗は驚いて瞳を見開いた。

「監視っ?!」

「反論するな。元々俺の命令には絶対服従だと言ってあった筈だ。」

「でも、監視なんて!」

 翔平は意地の悪い笑みを浮かべた。

「大丈夫だ。トイレや風呂は勿論、学校の中やアルバイト中の家にまで乱入したりはしない。だが。」

 翔平の眼光が鋭利な刃物のように鋭く変わる。

「それ以外は俺か静がお前に付くと思え。それから、当分の間、お前は俺の部屋で過ごせ。お前の部屋は静に使わせる。」

「寝る時も?」

「寝る時も。………寝静まった後に出て行かれたら大変だからな。」

「そ、んな………。」

「ゴキブリからは守ってやるぜ?」

 翔平はニヤリと笑う。

「傲慢だと思うか?だがこれがお前の兄貴になった男だ、諦めるんだな。」

 そこに駿一が戻ってきて言った。

「静と連絡が取れたぜ?今から来るってさ。」

「さんきゅ。」


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