追求 ごまかし 後の祭り
現在、一階のテーブルの周りにあるイスにはすみれ、そしてそれに向かい合うようにやよいと雉が座っている。
そして、すみれからは厳しい視線が突きつけられていた。
「雉の馬鹿!!どうしてもっと早く隠れなかったのよ!!っていうかなんであんなこと言おうとしたの!?」
「しゃーないやん!!話に夢中で気づかんかったし。それに俺は正直者やねん!!」
「誇らしげに言うな!!」
さっきからそんな小言ばかり言い合っている。
「じゃ、そろそろ説明してもらおうかな。」
妹の容赦ない追求が始まった。
「それじゃあまず!!」
すみれは雉を指さした。
「あんた誰?」
「俺は雉っちゅう者や。」
「じゃあ、お姉ちゃんの何?」
いきなり超特急ど真ん中の質問が突きつけられた。
雉はあっけにとられ、何も言えなかった。
「馬鹿雉!!何で何にも言わないのよ!!」
「んなこと言うたって、何言えばええかなんてわかるかい!!」
またひそひそ話が始まった。
「相当仲がいいんだね。」
すみれの容赦のない指摘がきた。
そして、今度はやよいを指さし
「お姉ちゃん。やっぱつき合ってるんでしょ?」
またまた超特急ど真ん中な質問が突きつけられた。
「違う!!絶対に違うから!!」
やよいは慌ててそう言った。
だが、すみれには逆効果だったらしい。
「やっぱり怪しい!!」
「‥‥なあ、やよい。」
「‥‥‥‥‥何‥‥‥‥?」
「ほんまの事言った方がええんとちゃうか?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
結局、洗いざらい話すことになった。
5分後、説明が終了した‥‥
‥‥と同時に‥‥
「ぎゃははははあはっはああああははははっっはあああはははは!!!」
ものすごい笑い声が響き渡った。
「‥‥‥‥だから言いたくなかったのよ‥‥‥‥‥‥‥」
「いや、お姉ちゃんが自分で勝手に‥‥ぎゃははは!!」
やよいと雉が契約したところが、すみれには相当おもしろかったらしい。
すみれは笑い過ぎて、少し引っかけた。
「‥‥いや〜ごめんごめん。あんまりにもおもしろかったから。まあ、だいたい分かった。それで‥‥」
すみれは雉の方を見た。
「雉さんって、いったい何者?そしてどこから来たの?」
雉はその質問に、少し表情を曇らせた。
「俺はただの妖魔や。人間でもないし‥‥魔物でもない‥‥。だから、時代を超えてここに来たんや‥‥。」
「‥‥‥え‥‥‥?」
これはやよいも初耳だった。
「俺は、最初は江戸におったんや。そこで死んで‥‥一回未来である現世に来て‥‥それから今で言う平安にいって‥‥また現世に戻ってきたんやろうな。」
「それって‥‥タイムスリップ!?っていうか一度ここに来たことあるの!?」
「そんな長い事やないけどな。」
「‥‥‥へぇ〜‥‥‥。大変だったんだ‥‥雉さんって。」
「まぁ、終わった事気にしても何も始まらんけどな。」
そういって雉は笑った。
だが、やよいには雉が無理しているようにしか見えなかった。
そんなことを知ってか知らずかすみれは
「ねえ、雉さんとお姉ちゃんって離れられないんでしょ?隠れるのも大変だろうし、ちょうどいいアイデアを思いついたんだけど!!」
「「え!?」」
二人の声が重なった。
「まあ、わたしに任せなさい!!」
妹の自信ありの顔に、二人はただただ流されていった‥‥‥。