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  作者: 時雨
7/21

崩れる日常NO.2

消えていったかすみを見送り、二人はしばらくその場でじっとしていた。

「‥‥‥ああああああ!!!しまった!!!絵里のこと忘れてた〜!!!!」

「絵里って‥‥上で気絶してた子の事か?」

「どうしよう!!早く戻らないと!!」

やよいは焦って階段に向かおうとした。

だが、雉の手によって塞がれてしまった。

「ちょっと雉!!何のつもり‥‥‥」

そう言った瞬間、やよいは雉に抱きかかえられた。

「こっちの方が早いやろ。しっかりつかまっとけよ!!」

「ええええ!?!?!?///」

雉は、やよいを抱えたまま飛び上がった。









ちょうどそのころ、

「‥‥‥‥あ‥‥あれ?わたし‥‥何でこんなところで‥‥?そういえばやよいは!?」

絵里は目を覚ましたらしい。

辺りを見渡したが、それらしい人影はなかった。

「いったいどこ行ったんだろ‥‥あ!ひょっとして下にいるかも!!」

ふと、絵里は思いついたようにフェンス越しに下を見ようとした。





そのとき、

















ちょうど雉と雉に抱えられたやよいが屋上に到着した。

















無論、絵里はその決定的瞬間をしっかりと見たのである。



















「ええええええええ!?!?や‥‥やよいだよね!?!?っていうか横の人誰!?!?なんで羽生えてるの!?!?!?」

絵里はパニック状態だった。だがやよいの方も、

「〜!?やば!!ちょっとどうすんのよ雉!!思いっきり見られたじゃん!!!!」

「んなこと俺に言われても!!つーかお前がはよ屋上行きたい言うから飛んでやったんやで!?」

「なによ!!わたしが悪いってわけ!?」

「当たり前やんか!!自業自得や!!」

「何ですって!?」

「なんやねん!!」

こっちはこっちでけんかが始まった。

しかし、すぐに終止符を打たれた。

「ねえやよい!!その人誰なの!?!?」

「ええええ!?!?そ‥‥その‥‥‥‥‥‥」

何とかごまかそうとしたが、なかなか思いつかない。


絵里はそんなやよいの行動を見て、

「まさか‥‥まさかサーカス団の彼氏!?」

思いっきり勘違いをした。絵里は相当の天然らしい。


「んなわけないじゃん!!!!!!!」

やよいもさすがに今の絵里のボケには驚いた。

ぶっちゃけ、天然過ぎにも程がある。

絵里はそんなやよいを無視して、ぽかんとしている雉を見た。

「やよいとつき合ってるんですか!?」

「いや、やよいとは不本意にも契や‥‥『何言ってんのよこのアホボケキジバト!!』‥‥な‥なんやとぉ!?」

「やよいって呼び捨てなんだ‥‥!!なんか怪しい!!」

絵里はますます変な方向に思考を巡らせていった。

「だから違うんだって!!」

やよいは抗議したが、


キーンコーンカーンコーン‥‥‥‥


予鈴が鳴ってしまったので、ちゃんと抗議できなかった。

「じゃ、とりあえず俺は鳩の姿になっとくで‥‥。」

「‥‥‥‥‥‥‥もうやだ‥‥‥‥‥」

それから授業中は、絵里からずっと質問攻めだったらしい‥‥‥。


















授業が終わると、やよいは超特急で家に向かった。

本当は生徒会の仕事があるのだが、絵里から少しでも早く逃げるほうに必死でそんなことはすっかり忘れていた。

「ああもう!!今日は最悪じゃん!!‥‥‥‥‥かすみ姉には会えたけど‥‥‥‥。」

小さく呟いた声は、近くを飛んでいた雉にしか聞こえなかった。














「ただいま!!!」

やよいは家に帰るなり、すぐに自分の部屋へ飛び込んだ。

だが、入った瞬間、

「うわあああああああ!!!!」

やよいは大きな悲鳴を上げた。

それもそのはず。部屋に入った瞬間、知らないおじいさんがいたからだ。


いや、おじいさんの霊だった。


「ちょっと〜!!どうなってるの!?」

慌てて後ろからついてきていた雉に聞いた。

「まぁ、ちょっと待っとれ。」

雉はそう言って、人間の姿になり、そっとそのおじいさんの霊に触れた。

すると、おじいさんの霊はすっと音もなく消えていった。


「え‥‥!?な‥‥何をしたの!?っていうかさっきのじいさんは何だったの!?」

「さっきのはじいさんの霊や。俺はその霊を成仏させただけやで。」

「れ‥‥霊!?わたし今まで霊感なんかなかったのに!!」

「それは俺と契約したからとちゃうかなぁ‥‥。」

「えええええええええええ!?!?!?」

雉の答えに、やよいは相当驚いた。

(それじゃあ、これからずっとこんな感じなわけ!?)


そのことばかりで、扉の向こうから近づく音に気づかなかった。

「ちょっとお姉ちゃん!!うるさいんだけど‥‥‥‥!?」

突然、妹がノックもなしにやよいの部屋へ入ってきた。



もちろん、雉は隠れそこなった。















「お姉ちゃん‥‥‥その男の人‥‥誰!?」

妹の厳しい視線がやよいに向けられた。


(なんでこうなるのよ〜!!だれか〜助けてぇ〜!!!!)



やよいの心の叫びは、誰にも聞こえなかった。




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