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  作者: 時雨
4/21

変わる朝

気づけばもう朝だった。

「‥あれ‥‥?わたしいつの間に寝ちゃったんだろ‥‥‥?」

ふと、時計を見ようとすると、そこには‥‥‥‥

堂々と雉が寝ていた。



「‥‥‥‥な‥‥なんであんたがこんなところで寝てんのよ〜!!!」

「‥‥‥なんやねん‥‥朝っぱらからうるさいのぉ‥‥‥。」

雉はゆっくりと目を覚ました。どうやらなかなか口論に終止符がうたれなかったらしい。うっすらと目に隈ができている。

「お前とぎゃーぎゃーさわいどったうちに寝てもうたんやろ。」

雉はあくびをしながらそう答えた。そうとう眠いらしい。

だが、やよいはそんなことは無視して言った。

「いったいいつまでここにいるのよ!!契約を破棄する方法を探すんでしょ?」

「それができるんやったらとっくの昔にやっとるがな。」

「‥‥どういうこと?」

やよいはおそるおそる聞いた。なんだかいやな予感がする。

「一度契約したら契約したもの同士は30M以上離れることができんのや。」

「なにそれ!?!?そんなの初耳だよ!?」

やよいのいやな予感が的中した。

「お前がなんか力持っとったら少しは変わってくるねんけど‥‥‥見たところこれといったものはないしなぁ。」

「じゃあ、わたし学校どうすれば‥‥‥あ、そういえば‥‥‥」

やよいはふと思い出したように時計を見た。

時計の針は、7時30分を指していた。


「やば〜っ!!!!遅刻する〜!!!」

そう叫んだ瞬間、ドアをノックする音が聞こえた。

「お姉ちゃん?入るよ〜。」

その声は妹だった。

「や‥‥やば!!雉!!早く隠れて!!!!」

「えええ!?!?」




「お姉ちゃん。‥‥何やってたの?」

やよいは雉をクローゼットの中にほり込んだ。

どうやら、妹には、クローゼットを勢いよく閉める姉の姿しか見えなかったようだ。

「いや‥‥その‥‥今起きたところで‥‥‥急いでたからつい‥‥あはは。」

「今日は早く行かなくていいの?」

「き‥‥今日はいいの!!今から着替えるから、先に下にいっといて!!」

「‥‥‥変なお姉ちゃん‥‥‥。」

そういって、静かにドアを閉めた。


「‥‥もう出てもええか?」

「着替えるからもう少しそこにいて。」

そう言ってやよいは1分ぐらいで制服に着替えた。

「雉。もう出てきてもいいよ。」

そう言われたので、雉はそっと出てきた。

「それよりあんた、学校までついてくるつもり?」

「契約してもうたからしゃーないやろ。鳩になってお前の近くにある電線にでも止まっとくわ。」

「授業の邪魔とかは一切しないでよ!!」

「んなことするわけないやん。特にお前になんか。」

「なによ!どういうこと!?」

またけんかが始まりそうになった。だがそのとき、

「やよい〜!!早くしないと遅刻するわよ〜!!」

という母の声がしたので、やよいは雉を睨みながらも下へとおりていった。







「ねえ、お姉ちゃん。昨日何かあったの?」

食事中、いきなり核心に触れるようなことを妹に問われ、やよいは食べていた焼き魚をのどに詰まらせた。

「ごほごほ!!な‥何もないよ?」

やよいは何とかごまかそうとした。

だが、すみれは一歩も退かない。

「何もなかったら、いきなりぎゃーぎゃー騒がないよね?」

「う‥‥‥あ!もう学校行かなきゃ!!ごちそうさま〜!!」

「あ、ちょっと!お姉ちゃん!!」

「やよい!」

やよいは、食べかけのものを台所に持っていくと、急いで鞄を取りに部屋へ向かった。

二人の声が聞こえたが、やよいは無視して部屋に行き、鞄を持って走りながら玄関を出た。

「いってきま〜す!!」

慌ててそう言って、逃げるように走った。


「お姉ちゃん‥‥ますます怪しい。」





「ああもう最悪!!なんで朝からこんなに焦らないといけないのよ!!」

「それは自業自得やで。」

「うわあ!!脅かさないでよ!!」

ぶつぶつと呟いていると、いつの間にか雉が目の前にいた。

突然だったので、やよいは尻餅をつきそうになった。

「って、人間の姿でついてくるつもりなの!?」

「ちゃうちゃう。俺は、昨日倒れとったところまでいったらキジバトになるつもりや。」

そう言っているうちに、雉が倒れていたところに着いた。




そこには先客がいた。

ワンピースを着た長髪の、やよいと同い年ぐらいの少女だった。


「あれ‥‥?誰かいる。」

「‥‥やっぱ見えるんか‥‥‥。」

やよいは今の雉の言葉の意味がわからなかった。

何のことか聞こうと雉の方を見ると、雉は鋭い目で前に立っている少女を睨んでいた。





ふと、前に立っている少女がこっちを見て、そっと口を開いた。

「やよい。」

少女はそう言って微笑んだ。




「嘘‥‥かすみ姉!?なんで‥‥!?」

やよいの目は驚きの色しか映さなかった。





そう、やよいの姉、かすみは、3年前に死んだはずだから。


















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